トランプ政権、TSMC誘致に加えインテル出資も検討 陳立武氏を「親中」批判し極限圧力と交渉戦術を展開

2025-08-15 11:50
アメリカの半導体大手インテル(Intel)。(写真/AP通信提供)
アメリカの半導体大手インテル(Intel)。(写真/AP通信提供)
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米《ブルームバーグ》は15日、トランプ政権が半導体大手インテルと「直接出資」を巡り協議していると独自に報じた。米政府が経営難に陥ったこの象徴的ハイテク企業の株主となる可能性があり、この動きは米政府とハイテク産業の関係を根本から塗り替えるだけでなく、インテルがオハイオ州で進める長期停滞中の半導体工場計画に強力な追い風を与えるものとみられている。

トランプ氏は先週、インテルの最高経営責任者(CEO)陳立武氏の「親中」姿勢や利益相反を公然と批判し、辞任すべきだと名指しで要求していた。しかし、陳氏は11日に急きょホワイトハウスを訪れ、米大統領と面会。その後トランプ氏はSNSに「非常に興味深い会談だった。彼(陳氏)の成功と台頭は驚くべき物語だ。陳氏と私の閣僚が来週協議し、私に提言を行う予定だ」と投稿した。

米政府とインテルの交渉は非公開で進められており、ブルームバーグに情報を提供した関係者も匿名を希望した。政府が求める持株比率は明らかでない。インテルは当初、同社のオハイオ州工場を世界最大の半導体製造拠点にすると約束していたが、計画は繰り返し延期されてきた。今回、出資協議にまで踏み込んだことで、陳氏の経営トップとしての地位は当面安泰とみられる一方、トランプ政権の産業政策は一層読みづらくなっている。

持株規模や取引の詳細は依然協議中で、計画が変動する可能性もあるが、米政府が出資しインテル株を取得するというのが中核案である。報道を受け、インテル株は15日に急騰し、終値は前日比7.4%高の23.86ドル、市場評価額は約1,044億ドルに達した。時間外取引でも一時4%上昇した。

ホワイトハウスの報道官クシュ・デサイ氏は「政府が正式発表する前の仮定の取引についての議論はすべて憶測とみなすべきだ」と述べた。インテル側もコメントを拒否し、声明で「米国の技術と製造業のリーダーシップ強化に向けたトランプ大統領の取り組みを揺るぎなく支持する」と強調。今後も政府との協力を期待するとしつつ、噂や憶測には応じないとした。

オハイオ州の未完の夢

今回の交渉の焦点は、インテルがオハイオ州リッキング郡に計画する半導体工場である。前CEOのパット・ゲルシンガー氏はかつて、この地を「世界最大の半導体製造拠点」にすると豪語していた。この計画は、インテル再建の切り札であると同時に、米国製造業の回帰と国内半導体サプライチェーン強化を象徴する国家的プロジェクトと位置付けられている。

しかし現実は厳しい。近年、インテルは市場での競争激化に直面し、シェアを大幅に失い、かつての技術的優位も過去のものとなった。財務悪化はオハイオ州計画にも直撃し、今年初めには稼働開始を2030年代に延期すると発表。7月には建設ペースをさらに落とす方針を示した。今年3月にCEOに就任した陳立武氏は、財務立て直しを最優先課題に据えている。

こうした中、トランプ政権による出資が実現すれば、インテルの財務基盤に強力な支援となるだけでなく、難航するオハイオ州工場計画にも活路を与える可能性がある。加えて、オハイオ州はトランプ氏にとって過去3回の大統領選で勝利してきた重要州であり、副大統領のJD・バンス氏も同州選出の元連邦上院議員であることから、この投資案件には政治的な思惑も色濃く反映されている。

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