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トランプ氏、ワシントン警察を電撃接管し州兵800人派遣 大統領に権限はあるのか問う声 2025年8月11日。アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏がワシントンのホワイトハウスのブリーフィングルームで記者と会話中に図表を掲げている。(写真/AP通信)
米国大統領ドナルド・トランプ氏は11日、ワシントンD.C.の警察を「直接連邦管制下に置く」と表明し、約800人の州兵を派遣すると発表した。理由として「首都を犯罪、流血、混乱から救うため」と説明している。刑事司法委員会(Council on Criminal Justice)の統計によれば、当地の暴力犯罪は過去2年間で明らかに減少しているものの、殺人発生率はニューヨークやシカゴといった大都市を依然として大きく上回り、特定の地域では極めて危険な状況が続いている。支持者はこの措置を必要だと評価する一方、批判者は政治的パフォーマンスだと反発している。
米CNN によれば、今回の決定のきっかけとなったのは今月初めの未遂強盗事件である。8月3日未明、かつて米政府効率部(DOGE)に勤務していた19歳の青年エドワード・コリスティーン氏が、ワシントンD.C.で10人の若者に囲まれ暴行を受けた 。この事件はトランプ氏の強い関心を呼び、氏は自身のSNSプラットフォーム「Truth Social 」において、「ワシントン当局が行動を起こし、都市の犯罪を解決しないのであれば、連邦政府が接収するほかない」と投稿した。
トランプ氏は11日、自身のSNS「 Truth Social 」に「ワシントンD.C.は本日、解放される!」と投稿した。CNNが報じたところによると、事情に詳しい3人の関係者は、ワシントンD.C.のミュリエル・バウザー市長や首都警察幹部は、トランプ氏の発表まで一切知らされていなかったと証言している。バウザー氏は同日、記者会見でこの措置を「不安を覚える、前例のないものだ」と述べ、トランプ氏の特区観は新型コロナウイルス流行時の経験に影響されていると指摘した。当時、首都の犯罪率は上昇していたという。一方、首都警察労組のグレゴリー・ペンバートン委員長はこれを支持し、「確かに何らかの行動が必要だ」とコメントした。
トランプ氏はワシントンDC警察を掌握できるのか? ただし、この措置には法的な条件がある。1973年制定の「地方自治法(Home Rule Act)」によれば、米大統領は「特別な緊急事態」があると判断した場合、48時間以内であればワシントンD.C.警察を連邦の管轄下に置き、「連邦目的」に利用することができる。管轄期間を30日まで延長するには、連邦議会の特区立法を所管する委員会の委員長および上級委員に通知しなければならず、トランプ氏は既にその意向を示している。30日を超える場合は、立法措置が必要となる。
トランプ氏は11日の命令で、連邦政府庁舎や国家記念碑を保護するためにワシントンD.C.警察を接収すると明言した。イーストカロライナ大学刑事司法・犯罪学部のハイディ・ボナー学科長はCNNに対し、この権限が発動されるのは法律施行以来初めてであると指摘した。一方、コロンビア特区検事総長ブライアン・シュワルブ氏は米政治専門メディア「ポリティコ」に対し、「前例がなく、不要で、違法だ」と批判。首都には警察接収を要する「犯罪緊急事態」は存在せず、暴力犯罪率は現在、過去30年で最も低い水準にあると述べた。
トランプ氏は国民警備隊の派遣を計画しているのか? 他の50州と比べ、トランプ氏はワシントンD.C.の州兵に対してより強い統制権を持っている。米政治専門メディア「ポリティコ」によれば、米大統領は非常事態や戦時には州兵を「連邦化」できるものの、通常は州兵は各州知事の指揮下に置かれている。しかし、ワシントンD.C.には州知事がおらず、市長にも州兵を管轄する権限はないため、特区州兵は常に大統領の直接管理下にある。
2025年8月12日。国民警備隊がワシントンDC国民防衛軍本部に到着。(写真/AP通信)
国内治安維持に軍隊を使用することに制限はあるのか? 制限はあるものの、その適用はワシントンD.C.州兵には及ばない可能性がある。1878年制定の「民兵団法(Posse Comitatus Act)」は、憲法や連邦法による権限がない限り、米軍の国内法執行への使用を禁じている。トランプ政権は現在、6月にカリフォルニア州兵を動員して移民関連の抗議活動を鎮圧したとして、ロサンゼルスで訴追を受けている。
しかし、ワシントンD.C.の場合は事情が異なる。米政治専門メディア「ポリティコ」によれば、大統領による特区州兵の動員は、これまでほとんど法的な抵抗に遭っておらず、多くは地元指導者との協力のもとで行われてきた。司法省は長年、特区州兵は他州とは異なり、「民兵団法」に違反せずに国内法執行に用いることができるとの立場を取ってきた。司法省法律顧問局(OLC)の1989年の意見書でも、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領は「麻薬戦争(War on Drugs)」の中で特区州兵を法執行任務に投入できると結論づけている。
「ポリティコ」は、もしトランプ氏による特区州兵の動員が訴訟に発展した場合、裁判所はこの意見書をほぼ確実に参考にするとみられるが、拘束されるわけではないと指摘している。
トランプ氏は特区政府を「連邦化」できるのか? トランプ氏は一方的にワシントンD.C.の地方政府の統制権を奪うことはできない。米憲法は「首都地区」に対し連邦議会に「完全な立法権」を付与しており、1973年に制定された「地方自治法(Home Rule Act)」によって、ようやく現在の特区政府が設立された。この法律に基づき、特区は日常的な地方行政を担う一方、連邦政府は連邦の土地や財産を管理し、議会は特区議会が可決したあらゆる法案を最終的に否決できる権限を持つ。
大統領には特区政府そのものを「連邦化」する権限はなく、これを行うには議会が地方自治法を改正する必要がある。
トランプ氏がワシントンD.C.に連邦の力を投入したのは今回が初めてではない。過去にもたびたび、特区における連邦捜査官や州兵の動員権限を行使しようとしてきた。米政治専門メディア「ポリティコ」によれば、トランプ氏は首都に配置された数万人規模の連邦法執行機関職員、すなわち連邦捜査局(FBI)、米連邦保安局(U.S. Marshals Service)、シークレットサービス、米公園警察などを直接指揮できる立場にある。2020年6月には、こうした部隊を動員し、ホワイトハウス前のラファイエット公園から「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)」の抗議者を排除した。
一方、2021年1月6日に議会が暴徒に襲撃された際には、国民警備隊の迅速な派遣を確保しなかったとして厳しい批判を浴びた。側近らは事前に必要に応じて派遣を承認していたと説明したが、複数の証言によれば、暴動の最中にトランプ氏は軍指導部に連絡を取らず、代わりに当時のマイク・ペンス副大統領が連邦支援を急ぐよう直接電話で要請したという。
さらに11日(月)、トランプ氏はワシントンD.C.警察に対し、挑発的に唾を吐きかけたり至近距離で怒鳴ったりする者がいれば「力強く反撃せよ」と促した。しかし皮肉にも、その一方で氏は1月6日に議会を襲撃し、警察官を武器で傷つけた者を含む数百人を恩赦し、その行為を「些細なこと」と評している。
2025年8月11日。反対デモがホワイトハウス前で、トランプ大統領のワシントンDCの連邦化と国民警備隊派遣計画に対して行われた。(写真/AP通信)
この後何が起こるのか? 米CNNによれば、トランプ氏がワシントンD.C.に「緊急事態」を宣言し、特区警察を連邦管轄下に置いた後、首都警察と犯罪対策を担う複数の連邦機関は、それぞれの役割や方針を急ぎ確認している。トランプ氏は11日、ホワイトハウスで「この街を、皆が思い描く輝かしい首都へと戻す」と述べた。しかし、この会見に先立つ事前の調整はほとんど行われず、ワシントンD.C.の市長や警察本部長すら、発表をライブ中継で初めて知ったという。
このため、誰が首都警察を指揮するのか、警察政策がどう変わるのか、さらには地域警察の訓練を受けていない多数の連邦捜査官がどのように地元警察と協力するのかなど、多くの点で不透明さと混乱が広がっている。別の記者会見で、ミュリエル・バウザー市長は司法長官パム・ボンディ氏との会談を調整中だと述べた。トランプ氏はボンディ氏が自らの命令の実行を担うと説明している。一方でバウザー氏は、警察本部長パメラ・スミス氏は引き続き自身の指揮下にあり、副市長を通じて市長に報告すると強調した。
イーストカロライナ大学刑事司法・犯罪学部長のハイディ・ボナー氏はCNNに対し、「これが何を意味するのかを判断するのは難しい。誰が最終的な責任者なのか、依然として謎だ。部隊が連邦化された後も警察本部長が最高指揮官といえるのか。それに加えて、ワシントンD.C.は州ではないため、大統領の州兵における立場は事実上、州知事と同等だ」と語った。
司法省は、ワシントンD.C.警察の今後の運用について問われると、トランプ氏の命令文の一節を引用し、「市長は司法長官が必要かつ適切と判断する場合、大都市警備部隊のサービスを提供しなければならない」と説明した。しかしCNNは、こうした取り決めが実際にどのように履行されるのかは不透明だと指摘している。命令には、大統領がさらなる措置を取る必要がある場合、司法長官が随時トランプ氏に最新状況を報告するとも明記されている。
CNNによれば、11日には複数の著名な民主党議員がバウザー市長に電話をかけ、支持を表明するとともに、今回の接収を阻止する手段はほぼないと伝えた。バウザー氏は「この行動の意義や、我々の自治権が侵害された事実を過小評価するつもりはない」と述べ、「不安を覚える、前例のない行為だ」と批判。大統領による一方的な行動を防ぐため、ワシントンD.C.の州昇格を改めて訴えた。警察本部長パメラ・スミス氏は、記者会見後に初めて連邦側の連絡担当者と面会し、「行動計画」の策定を開始する予定だとしている。
国民兵とFBI捜査官が街頭に派遣される 米国防総省によれば、トランプ氏はすでに800人のワシントンD.C.州兵を動員し、そのうち最大200人を法執行支援任務に充てる方針である。国防総省は「これらの人員は行政・後方支援、そして法執行任務の補助に従事する」と説明している。CNNによれば、トランプ氏は週末の時点で複数の連邦機関職員を動員し、首都警察と共に市内の一部地域を巡回させており、その中には最大130人の連邦捜査局(FBI)捜査官が含まれ、連邦の存在感を強めている。
しかし、FBI捜査官は通常、地域警察のようなコミュニティ警察活動の訓練を受けておらず、また致死性武器の使用方針など、運用規則が地元警察と異なる。このため、同じ現場の脅威に直面しても所属機関の規定によって対応が異なる可能性がある。複数の連邦法執行関係者によれば、捜査官を街頭巡回に投入する計画はFBI内部で懸念を呼んでおり、資源の消耗や日常巡回訓練を受けていない捜査官へのリスクが指摘されている。
関係者は、捜査官を通常の捜査業務から外すことで、テロ対策、外国諜報活動の防止、サイバー侵入対策、フェンタニル危機など、他の重大犯罪捜査に影響が出ると警告する。CNNに語ったある消息筋は「理由は単純だ。我々が巡回に出れば、他の脅威に対応できなくなる」と述べた。
さらにCNNは、連邦捜査官は車両検問に関して基本的な訓練しか受けておらず、これは警察業務の中でも最も危険な任務の一つだと指摘する。日常の警察活動では、容疑者と接触する際に警官が1人か2人しかいない場合があるが、FBIが逮捕を行う際は事前に綿密な計画を立て、容疑者数を大幅に上回る人員を動員して任務を遂行するのが通常である。
11日の記者会見でトランプ氏は、近年の統計で犯罪率が明確に低下しているにもかかわらず、「首都の犯罪は制御不能だ」と主張した。これに対し、ミュリエル・バウザー市長は「ワシントンD.C.は犯罪急増ではなく、むしろ減少している」と反論した。ボナー学部長は、今回の大統領命令には30日間の制限があり、長期的な犯罪抑止にはつながらないとの見方を示した。「このような即効的措置は犯罪の根本原因を解決するものではなく、持続的な効果は見込めない。30日後に、本当に犯罪率を下げられたのか、あるいは今回の行動目的を達成できたのかを検証する必要がある。その後、長期的な解決策に向けた別の施策を取るのか注視すべきだ。根本原因を解決しなければ、犯罪情勢を長期的に変えることはできない」と述べた。
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台湾民意基金会調査》頼清徳総統、支持率が急落「不支持54%」 専門家「深刻な政治危機が迫る」 台湾民意基金会は最新の8月全国世論調査を公表した。それによると、頼清徳総統の支持が「雪崩式に下落」し、賛同は前月比で9.6ポイント急減、反対は9.9ポイント急増した。結果、国家運営の手法に「賛同しない」割合は「賛同する」を21.1ポイント上回った。台湾民意基金会の游盈隆董事長は、頼氏の支持率は過去に例のない急落を見せ、民意は火山のように爆発し、深刻な政権運営......
評論:裏切るのは常に同盟国─台湾とTSMCの悲劇 TSMC、さらには台湾全体にとっても、近ごろの一連の出来事は「背後から刺すのはいつも同盟国だ」という言葉の真意を痛感させるものである。先週、国内のハイテク業界を最も震撼させたのは、TSMC社員複数名が2ナノメートル技術に関する機密不正取得に関与したとされる事件である。報道によれば、2ナノメートルは国家の核心技術に指定されており、外部流出は国家安全法違反に当た......
日米関税合意が暗礁に 「戦国時代」突入の日本政治に波紋 日米関税交渉は重大な対立に直面し、双方の合意内容に対する認識の隔たりが鮮明となり、国際社会に衝撃を与えている。日本国内では世論が沸騰し、首相石破茂氏は有効な対抗策を打ち出せないという苦しい立場に追い込まれた。加えて、自民党が参議院選挙で敗北したことで、石破内閣の基盤は一層弱まり、日本政界は再編圧力に直面し、今後の行方は不透明である。こうした重要局面において、......
三浦半島最大級1万発が夜空を彩る 「よこすか開国花火大会2025」10月5日開催 神奈川県横須賀市で、三浦半島最大級となる約1万発の花火が夜空を彩る「よこすか開国花火大会2025」が、2025年10月5日(日)17時55分から18時30分まで開催される。大会特設サイトも公開され、最新情報が随時更新されている。今年も隅田川花火大会のコンクールで優勝経験を持つ煙火店・株式会社マルゴーが担当し、迫力ある尺玉をはじめとした多彩な花火が横須賀の海を......
米・イスラエルの対イラン攻撃は「長年の核開発阻止政策の延長」 高橋和夫氏が分析 イスラエル・米国によるイラン攻撃から1カ月半が経過する中、放送大学名誉教授で中東情勢に詳しい高橋和夫氏は7日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見を行い、6月に実施された米国とイスラエルによるイラン核関連施設への大規模攻撃について分析した。高橋氏は、この攻撃はイスラエルが長年進めてきた周辺国の核開発阻止政策の延長線上にあると指摘。過去のイラクやシリアの原......
参政党はなぜ支持を広げたのか 成蹊大・伊藤教授が分析する「右派ポピュリズムの構造」 2025年8月7日、東京都千代田区の日本記者クラブで、メディア論・社会学を専門とする成蹊大学教授の伊藤昌亮氏が「参院選後の社会:右派ポピュリズムの新たな展開」と題して講演した。7月の参院選で躍進した参政党のマニフェストを分析し、1990年代以降のネット右翼や欧米の右派ポピュリズムとの共通点や相違点を踏まえ、支持拡大の背景を詳述した。司会は日本記者クラブ企画委......
「蕭美琴神話」崩壊? 米専門家が賴政権のトランプ巡る誤判断を痛烈批判 米国務省の元上級顧問クリスチャン・ウィットン氏がこのほど「台湾はいかにしてトランプを失ったか」と題する論考を発表し、台湾政界に衝撃を与えた。賴清徳政権の一連の外交失策を痛烈に批判し、トランプ氏当選時に即座に祝電を送らなかったこと、脱原発方針やニューヨーク経由の強行訪問、さらに対米政策が「グローバリズム左派」に過度に傾いたことなどが、台湾とトランプ陣営との距離......
米中「新冷戦」は既成事実か 東大名誉教授がトランプ第2期の影響を分析 アメリカのトランプ大統領は第2期に入り、政策路線を大きく転換した。「相互関税」などの強硬な貿易措置を打ち出すだけでなく、国際戦略や外交姿勢でも「アメリカ・ファースト」を鮮明にし、冷戦終結後に歴代政権が築いてきた慣例を覆した。こうした変化は台湾、日本、韓国などアジア太平洋諸国にも影響を及ぼしている。政権交代の中、米中対立が一時的な緊張にとどまるのか、それとも長......