トランプ氏、ワシントン警察を電撃接管し州兵800人派遣 大統領に権限はあるのか問う声

2025-08-14 11:20
2025年8月11日。アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏がワシントンのホワイトハウスのブリーフィングルームで記者と会話中に図表を掲げている。(写真/AP通信)
2025年8月11日。アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏がワシントンのホワイトハウスのブリーフィングルームで記者と会話中に図表を掲げている。(写真/AP通信)
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米国大統領ドナルド・トランプ氏は11日、ワシントンD.C.の警察を「直接連邦管制下に置く」と表明し、約800人の州兵を派遣すると発表した。理由として「首都を犯罪、流血、混乱から救うため」と説明している。刑事司法委員会(Council on Criminal Justice)の統計によれば、当地の暴力犯罪は過去2年間で明らかに減少しているものの、殺人発生率はニューヨークやシカゴといった大都市を依然として大きく上回り、特定の地域では極めて危険な状況が続いている。支持者はこの措置を必要だと評価する一方、批判者は政治的パフォーマンスだと反発している。

CNNによれば、今回の決定のきっかけとなったのは今月初めの未遂強盗事件である。8月3日未明、かつて米政府効率部(DOGE)に勤務していた19歳の青年エドワード・コリスティーン氏が、ワシントンD.C.で10人の若者に囲まれ暴行を受けた。この事件はトランプ氏の強い関心を呼び、氏は自身のSNSプラットフォーム「Truth Social」において、「ワシントン当局が行動を起こし、都市の犯罪を解決しないのであれば、連邦政府が接収するほかない」と投稿した。

トランプ氏は11日、自身のSNS「Truth Social」に「ワシントンD.C.は本日、解放される!」と投稿した。CNNが報じたところによると、事情に詳しい3人の関係者は、ワシントンD.C.のミュリエル・バウザー市長や首都警察幹部は、トランプ氏の発表まで一切知らされていなかったと証言している。バウザー氏は同日、記者会見でこの措置を「不安を覚える、前例のないものだ」と述べ、トランプ氏の特区観は新型コロナウイルス流行時の経験に影響されていると指摘した。当時、首都の犯罪率は上昇していたという。一方、首都警察労組のグレゴリー・ペンバートン委員長はこれを支持し、「確かに何らかの行動が必要だ」とコメントした。

トランプ氏はワシントンDC警察を掌握できるのか?

ただし、この措置には法的な条件がある。1973年制定の「地方自治法(Home Rule Act)」によれば、米大統領は「特別な緊急事態」があると判断した場合、48時間以内であればワシントンD.C.警察を連邦の管轄下に置き、「連邦目的」に利用することができる。管轄期間を30日まで延長するには、連邦議会の特区立法を所管する委員会の委員長および上級委員に通知しなければならず、トランプ氏は既にその意向を示している。30日を超える場合は、立法措置が必要となる。

トランプ氏は11日の命令で、連邦政府庁舎や国家記念碑を保護するためにワシントンD.C.警察を接収すると明言した。イーストカロライナ大学刑事司法・犯罪学部のハイディ・ボナー学科長はCNNに対し、この権限が発動されるのは法律施行以来初めてであると指摘した。一方、コロンビア特区検事総長ブライアン・シュワルブ氏は米政治専門メディア「ポリティコ」に対し、「前例がなく、不要で、違法だ」と批判。首都には警察接収を要する「犯罪緊急事態」は存在せず、暴力犯罪率は現在、過去30年で最も低い水準にあると述べた。

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