台湾・内政部の劉世芳部長は8月11日、立法院で「中華人民共和国を承認する」という発言を行い、関連の発言が波紋を呼んでいる。野党陣営は激しく批判し、劉世芳氏が中国政権を承認することは、台湾の主権が中国にあることを間接的に認めることになると主張している。この論争が1日発展した後、賴清徳総統は8月12日に「台湾は現状を変更する計画はない」と表明し、劉世芳氏に代わって事態収拾を図ったとされる。特に賴清徳総統は最近、すでに2度「現状維持」を表明しており、賴政府の両岸関係に関する主張には調整の兆しが見えるとして注目されている。
過去とは異なり、賴清徳総統が8月に提起した2回の現状維持の意向では、両岸が二国であり、互いに属さないことについて強調されていない。彼の両岸関係に関する主張には「漸進的緩調」の変化が見られ、両岸が真に平和と安定に向かうという積極的な変化が顕著である。
劉世芳氏は11日に驚くべき発言をし、公然と「中華人民共和国を承認する」と述べたが、これは「二国論」を公式に宣言することに等しいと受け止められている。劉世芳氏は11日、『憲法増修条文』や歴代の総統の発言に基づき、中華民国と中華人民共和国は互いに属し合わないことはとても明白であり、「中華民国政府の立場に立って、中華人民共和国を承認する」と述べている。

劉世芳氏の二国論発言に野党が激怒
劉世芳氏の関連発言は大きな論争を引き起こし、馬英九基金会の執行長蕭旭岑氏は8月11日に劉氏の説法は違憲であり、両岸関係に打撃を与え、台湾を憲法に反する方向に押しやろうとしていると厳しく批判した。劉世芳氏は「辞職して謝罪すべきだ」と述べた。
かつて国民党の大陸事務部主任を務めた台湾大学政治学部の左正東教授は8月12日に、中華人民共和国が台湾を自国の領土と見なしているため、我々が中華人民共和国を合法とすることはできないと述べた。今、劉世芳氏が中華人民共和国を承認することは、中華人民共和国が合法に存在することを認めるも同義であり、「それは彼らの全システムを合法と見なしていることを意味する」と述べ、「台湾に対する主権を承認することに等しい」と付け加えた。

左正東教授は、こうした行為は中華民国の主権を売り渡し、台湾の主体性を喪失させるものであり、「これより深刻なものは他に何があるのか?これを卑屈という以外に何と呼ぶのか?」と批判している。
しかし、注目すべき点は、劉世芳氏の二国論発言の事件が発展した後、賴清徳総統が8月12日に「2025台湾ベンチャーキャピタル年会」に出席し、台湾海峡の問題について意義深い発言を行ったことだ。 (関連記事: 「中国の人々は中華民国の国民ではない?」 教材に「二国論」が含まれると政大学者が批判 イデオロギーによる法解釈に懸念も | 関連記事をもっと読む )
賴清徳氏「現状維持」の深い意味?
賴清徳総統の関連発言は次のとおりである。
台湾は地政学的な理由から権威主義勢力の脅威に直面していることは周知の事実である。このような状況下において、我々は国防力の強化が不可欠である。
国防力の強化は、対外的な軍事装備の調達にとどまらず、防衛の自主性を高めることが極めて重要である。台湾は現状を変更する計画も、他国を脅かす計画も持っておらず、これまでも一度もそのような意図を示したことはない。
我々が望むのは、平和を確保し、自由・民主・人権が保障された現状を守ることである。そのためには責任を全うしなければならず、ゆえに国防の強化は避けられない。