馬英九氏、賴清德政権の対中政策を批判
台湾の馬英九前総統が先日、米国ハーバード大学で講演を行い、現政権の対中政策に警鐘を鳴らした。馬氏は、賴清德総統が掲げる「新二国論」が台湾の安全と両岸の平和にとって無益であり、憎しみと不安、混乱の種をまくだけだと強く批判した。
「台湾はチェスの駒ではない」馬氏が強調
馬英九氏は講演で、「台湾はチェスの駒ではない」と強調し、両岸の未来は台湾と中国の人々自身が決めるべきだと主張した。この発言は、国際社会、特に米国の影響力が増大する中で、台湾の自主性を訴えるものとして注目を集めている。
習近平との会談を評価 「柔軟で謙虚な態度」
馬氏は今年4月に北京で行われた習近平国家主席との会談に触れ、習氏の態度を「非常に柔軟で謙虚」と評価した。習氏が「両岸が中華民族であることを認識さえすれば、どんな問題でも話し合える」と述べたことを引用し、これを台湾に対する善意と誠意の表れだと解釈した。
「疑賴論」が国際社会に広がる 米国の懸念も
馬英九氏は、賴清德政権の「新二国論」が米国の政界、財界、学界に疑念を抱かせていると指摘した。「疑賴論」、つまり賴政権が台湾海峡の情勢を安定させられず、台湾が米国にとって厄介者になるのではないかという懸念が国際社会に広がっているという。
憲法に基づく「一つの中国原則」への回帰を呼びかけ
馬氏は賴清德総統に対し、「新二国論」の独立路線を改め、「中華民国憲法」と「両岸人民関係条例」に基づいて両岸関係を処理するよう呼びかけた。これらの法律を遵守し、両岸の平和と台湾民の安全を念頭に置いて、憲法の「一つの中国原則」に回帰し、両岸の相互信頼を再構築することが、中華民国総統の義務であり、両岸および地域の平和につながると主張した。
「対話こそが最も効果的」国際社会への訴え
馬英九氏は米国をはじめとする国際社会に対し、台湾と中国の対話を促すよう呼びかけた。これが両者および地域の安全にとって最も効果的で有益な方法だと強調した。一方で、両岸問題は両岸自身で解決すべきであり、他国が介入する余地はないとも述べた。
現実直視を求める 「戦争の犠牲は両岸の中国人」
最後に馬氏は、民進党政権に現実を直視するよう求めた。台湾のために自国の子弟を犠牲にする国はないと指摘し、両岸で戦争が起これば、犠牲になるのは両岸の中国人だと警告した。この発言は、台湾の安全保障に関する現実的な見方を示すものとして注目されている。
馬英九前総統のハーバード大学での講演は、台湾の政治情勢と両岸関係の複雑さを浮き彫りにした。賴清德政権の対中政策に対する批判と、対話を通じた平和的解決の重要性を訴える馬氏の主張は、今後の台湾海峡情勢に大きな影響を与える可能性がある。編集:高畷祐子 (関連記事: 台湾当局、中国建国記念日に香港人の「時代革命」旗を引き抜いた中国人観光客夫婦を強制退去処分に | 関連記事をもっと読む )
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