前総統の馬英九氏は、今週金曜日の抗戦勝利80周年を機にFacebook上で「8月14日は国際『慰安婦』記念日でもある」と強調した。本来であれば、台湾で唯一の慰安婦記念像が設置されている台南市で、この痛ましい歴史を追悼する予定だったが、台風11号「ポードル」が台南に影響を及ぼす可能性や人員の安全を考慮し、記念式典は中止となった。ただし馬氏は「特にこの場を借りて、改めて心の痛む歴史を追悼したい」と述べた。
一方、太平洋の反対側では、数百人の寄付によって制作された重さ60キロの「華人平和の少女」像が、海を越えてオーストラリア・メルボルンに到着した。この像は、米国籍の華人ドキュメンタリー監督レオ・シー・ヤング(Leo Shi Young)氏と中国の彫刻家・潘毅群氏が共同で設計したもので、第二次世界大戦における慰安婦の苦難を象徴している。当初はメルボルンに既に設置されている韓国の平和の少女像の隣に並べる計画だったが、予期せぬ「困難」に直面している。
オーストラリア初の華人「慰安婦」銅像
オーストラリア放送協会(ABC)の報道によれば、華僑の李健民(ジミー・リー)氏とその仲間が設立した「オーストラリア華人平和協会」が1年前に「平和像」プロジェクトを立ち上げた。これはオーストラリア初となる中国系の平和の少女像であり、第二次世界大戦中に日本軍によって強制的に性奴隷(慰安婦)とされた女性や少女たちを追悼することを目的としている。
李氏はABCに対し、「戦争の被害者を記憶に刻むため、私たちには何かをする責任がある。同時に銅像を建てることで、戦争の残酷さと平和への決意を世に示したい」と語った。
報道では、像の少女は鋭いまなざしを向け、両手を固く握りしめ、服装や髪型は1930年代の中国南部の少女を思わせる姿だと描写している。李氏は「銅像は、私たちが戦争を忘れていないこと、彼女たちの苦難を忘れていないことを象徴している。あらゆる戦争において、最も大きな被害を受けるのは女性であり、とりわけ日本軍に強制的に慰安婦にされた女性たちは、声なき、言葉にできない屈辱を受けた」と述べた。
国連の推計によれば、第二次世界大戦期の慰安婦は20万人に上り、中国、韓国、フィリピン、インドネシアなどから動員されたとされる。しかし、日本政府はこの数字について「確たる証拠がない」と主張している。

韓国版「慰安婦」銅像は豪州で5年以上
報道によれば、オーストラリア・メルボルン東南郊外のハンティングデール(Huntingdale)駅近くにある韓国系会館の前には、韓国の「平和の少女像」が5年以上にわたり静かに座り続けている。この像は韓国の芸術家である金運成氏と金曙炅氏夫妻によって設計されたもので、短髪を耳に垂らし、チマチョゴリを着た少女の肩には自由を象徴する小鳥がとまっている。
金夫妻のデザインによる「韓国平和の少女像」は、ソウルをはじめ、ドイツ・ベルリン、オーストラリア・シドニーやメルボルン、さらには米国カリフォルニア州やミシガン州など、世界各地に設置されている。李健民氏らは当初、中国系の銅像をこのメルボルンの韓国少女像の隣に並べる計画だったが、思わぬ壁に直面した。設置予定地の土地が複数の韓国系団体の共同所有であり、中国像の受け入れについて合意が得られなかったため、両像はいまだ並んで座ることができていない。