中国、再び「台湾包囲」軍事演習を実施 豪メディア分析「2026年に開戦する意図はないが、戦争準備は整っている」

ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、10月31日に韓国・釜山で約100分間にわたり対面会談を行った。(写真/米ホワイトハウス公式サイトより)
ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、10月31日に韓国・釜山で約100分間にわたり対面会談を行った。(写真/米ホワイトハウス公式サイトより)

分析では、日本との関係も重要な要素として言及されている。近年の日中関係悪化に加え、日本の高市早苗首相が先日、「中国が台湾に侵攻した場合、日本が軍事的に対応する可能性がある」と示唆したことを受け、中国は日本に対しても強硬な姿勢を崩していない。

北京は、台湾をめぐる軍事演習を通じて、日本に対しても圧力をかけ、自国の地域的・国際的影響力を誇示しているとみられる。

中国人民解放軍はこのほど、「正義使命-2025」と名付けた大規模軍事演習を開始した。いわゆる「台湾包囲」演習で、中国が台湾を取り囲み、実弾射撃や海上・陸上目標への模擬攻撃、主要港湾の封鎖などを実行できる能力を誇示する内容となっている。

これについて、オーストラリアの主要メディアは、「台湾は唯一、あるいは主たる警告対象ですらない可能性がある」と分析し、「本当に狙われているのは、より強大な相手、すなわちアメリカではないか」と指摘している。

「項荘、剣を舞わせて沛公を狙う」真のメッセージはどこに

オーストラリア公共放送(ABC)は、中国駐在記者アリソン・ホーン(Allyson Horn)氏による論考を掲載し、「北京が発しているシグナルは極めて明確だ」と分析した。

それは、中国人民解放軍が、これまでになく台湾への軍事行動に近い状態にあるという事実である。

また、今回の演習の実施時期についても「偶然ではない」との見方が示されている。複数の分析によれば、アメリカのトランプ大統領は現在、他の国際問題に注意を奪われているという。

具体的には、ウクライナのゼレンスキー大統領やイスラエルのネタニヤフ首相との首脳協議、発展途上国との対立激化、さらにナイジェリアやシリアへの軍事行動などが挙げられる。

ABCが取材した専門家の一部は、中国が「アメリカは現在、中国の軍事行動に即応できない」と踏んでいる可能性があると指摘する。さらに、中国はこの演習を通じて、アメリカにとって台湾防衛がどの程度優先順位の高い問題なのか、その「意思」と「能力」を測っている可能性があるという。

日本への牽制も視野に

分析では、日本との関係も重要な要素として言及されている。近年の日中関係悪化に加え、日本の高市早苗首相が先日、「中国が台湾に侵攻した場合、日本が軍事的に対応する可能性がある」と示唆したことを受け、中国は日本に対しても強硬な姿勢を崩していない。

中国は、台湾をめぐる軍事演習を通じて、日本に対しても圧力をかけ、自国の地域的・国際的影響力を誇示しているとみられる。

日本首相高市早苗。(美聯社)
日本の高市早苗首相。(写真/AP通信)

トランプ氏は軍事演習を「軽視」 その意味とは

一方、アメリカのトランプ大統領は、中国の軍事演習について問われた際、脅威をやや軽視する発言を行った。 (関連記事: 中国軍、「正義使命-2025」台湾包囲軍事演習 中国軍機130機を確認、90機が中間線越え 台湾国防部発表 関連記事をもっと読む

トランプ氏は、「私は習近平主席と非常に良い関係にある。彼はこの件について何も言っていない」と述べ、「私は何も心配していない。まったく心配していない。彼らはあの地域で20年間、海軍演習を行ってきた」と語った。

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