トップ ニュース 中国軍、「中国版ハイマース」7発を発射、台湾北西沖に着弾 海巡署「中華民国水域への侵入は断じて容認しない」
中国軍、「中国版ハイマース」7発を発射、台湾北西沖に着弾 海巡署「中華民国水域への侵入は断じて容認しない」 中国人民解放軍は「正義使命-2025」と名付けた台湾周辺での軍事演習を実施し、実弾射撃も行った。台湾の海巡署は演習期間中、中国海警船の動向を全行程にわたり監視した。(写真/海巡署提供)
中国人民解放軍東部戦区は29日、台湾周辺での軍事演習「正義使命-2025」の実施を発表し、本日(12月30日)午前9時より実弾射撃を行った。これに対し、台湾国防部(国防省)が全面的に対応にあたっているほか、海洋委員会海巡署(以下、海巡署/台湾の海上保安庁に相当)も、中国軍がロケット弾計7発を相次いで発射し、それぞれ第1および第2飛行禁止区域に着弾したことを把握していると発表した。現時点で海上の人員および船舶は無事であり、事故等は発生していない。海巡署は「中華民国の水域において法執行権を有するのは海巡署のみであり、中国海警局による越権行為は断じて容認しない」と強調した。
海巡署の説明によると、中国軍は本日、平潭(ピンタン)島方面から多連装ロケット砲「PCH-191」の射撃を実施した。海巡署は同日午前9時より、国防部および国家安全関連機関と連携し、合同情報監視偵察手段を用いて状況を監視。その結果、発射された7発のロケット弾が指定された飛行禁止区域内に落下したことを確認した。
中国人民解放軍が発射したロケット弾は、第1および第2の航行禁止区域内に着弾した。(資料写真/国防部提供)
海巡署は、中国海警局の船艇の動きを常時監視しており、国内外の航行船舶への妨害を阻止する構えだ。台湾の水域に違法に侵入しようとする海警船に対しては、1対1の体制で並走監視を行い、強力な退去勧告を実施している。海巡署は改めて「中華民国の水域における法執行権は海巡署にのみ属するものであり、中国側の侵犯は決して許さない」との断固たる姿勢を示した。
また、中国国営メディアが「台湾の4つの主要港湾を封鎖した」と宣伝していることについて、海巡署は「完全な偽情報(フェイクニュース)であり、世論を混乱させる意図がある」と指摘した。海巡署は海上交通路の維持に努めるとともに、交通部航港局が打ち出した4大措置と連携し、航行船舶の安全を確保するとしている。
海巡署はさらに、「中国は国際的な規範を無視し、軍事的威圧によって周辺国を恫喝している。これは台湾への脅威であるだけでなく、インド太平洋地域の平和と安定を破壊するものだ」と非難。「このような無責任な振る舞いは『正義の力』などではなく、単なる『トラブルメーカー』に過ぎない。我々は衝突を激化させず、争いを引き起こすこともないが、国家の安全を守り、民主主義と自由を維持する決意は揺るぎない」と強調した。
なお、今回使用された「PCH-191」は、海外メディアから「中国版ハイマース(HIMARS)」とも形容される兵器である。米国のハイマース(HIMARS) と同様、誘導機能を持つロケット弾を使用し、発射機には独立して交換可能な2つの箱型弾薬ポッドが搭載されている。特筆すべきは、中国の衛星測位システム「北斗(BeiDou)」の誘導により、その打撃精度は誤差15メートル以内とされる点だ。これは短距離弾道ミサイルに匹敵する精度でありながら、コストはミサイルの10分の1以下とされており、台湾にとって最大の脅威の一つとなっている。
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