2025年11月、「台湾有事」をめぐる答弁をきっかけに日中関係は急速に冷え込み、中国政府は日本に対し経済的威圧措置に踏み切り、日本産水産物の輸入を全面的に禁止した。地域の地政学的緊張が高まる中、台湾は「民主友盟」として日本を支える姿勢を鮮明にした。頼清徳総統はこれを受け、11月20日に「日本水産の昼食写真」を公開し、台湾では「ホタテを食べて応援しよう」という動きが広がった。農業部の最新データによると、2025年1~11月の台湾による日本産ホタテの輸入額は27億台湾ドル(約130億円)を突破し、同品目の輸入全体の約8割を占めた。実際の貿易データが、日台関係の近さを裏付ける形となっている。
頼清徳氏の一枚の写真が共感を呼ぶ
中国による日本産水産物の禁輸措置を受け、頼清徳氏は11月20日、「ソフトパワー」による対応に踏み切った。フェイスブック、インスタグラム、Threads、X(旧ツイッター)に同時投稿した昼食の写真には、鹿児島産ブリ、北海道産ホタテ、味噌汁が並んでいた。
頼氏は日本語でもメッセージを添え、日本のネットユーザーに直接呼びかけた。この投稿は在日代表処によっても紹介され、日本の利用者から「日台友好」と感謝の言葉が相次いだ。日本の主要メディアも「台湾総統が日本水産物を支持」として大きく取り上げ、日台両国の交流はSNSを通じて一気に広がった。
日本産ホタテが輸入全体の約80%に
台湾の日本産水産物への支持は、象徴的な行動にとどまらない。農業部が公表した2025年1~11月の統計では、台湾が輸入した日本産ホタテは8,677.2万ドル(約134.5億円)に達し、輸入量は2,855トンだった。
この金額は、台湾におけるホタテ輸入総額の79.6%を占める。特に中国が禁輸を発動した11月単月では、日本産ホタテの輸入額は1,520万ドル(約23.6億円)、輸入量は約490トンに上り、台湾市場が日本産水産物の重要な受け皿となっている実態が浮き彫りになった。
福島5県産食品も通常管理へ
消費者による支援に加え、政府も制度面で歩調を合わせている。衛生福利部食品薬物管理署は11月21日、日本食品の輸入に際して求めていた産地証明書や放射線検査報告書の提出義務を正式に撤廃した。
これにより、これまで特別な管理対象とされてきた福島県など5県産食品は、他地域と同様の一般的な輸入管理に戻された。
日本の与党・自民党で幹事長代理を務める萩生田光一氏は、この決定に謝意を示し、「被災地復興にとって大きな支えになる」と評価するとともに、今後さらに多くの台湾の人々が日本の食を楽しむことに期待を寄せた。
「歴史的に最良の関係」へ
頼清徳氏は12月22日、訪台した萩生田光一氏の訪問団と会談し、日台関係の重要性を改めて強調した。頼氏は、高市早苗首相が就任以降、台湾海峡の平和と安定に強い関心を示してきたことに感謝の意を示した。また、「民主主義の友盟は連携しなければ、個別に分断されかねない」と述べ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、協力を深める必要性を訴えた。
萩生田氏は、日本交流協会の世論調査を引き合いに出し、「台湾で最も好感を持たれている国は日本であり、日本でも約8割が台湾に親近感を抱いている」と指摘。現在の日台関係は「歴史的な高水準にある」との認識を示した。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp
編集:田中佳奈

















































