パイナップルだけじゃない!台湾の「ある農産物」が日本でシェア95% 中国市場からの転換進む

2025-12-31 11:38
サプライチェーンの再編や地政学的影響により、日本は中国を抜き、台湾にとって第2位の農産物輸出市場となった。生鮮果実に限れば、日本が最大の輸出先となっている。(写真はイメージ/Pexels)
サプライチェーンの再編や地政学的影響により、日本は中国を抜き、台湾にとって第2位の農産物輸出市場となった。生鮮果実に限れば、日本が最大の輸出先となっている。(写真はイメージ/Pexels)

近年、国際的なサプライチェーンの再編や地政学的影響を受け、台湾農産物の輸出構造に大きな変化が生じている。日本は中国を抜き、台湾にとって第2位の農産物輸出市場となっただけでなく、生鮮果実においては最大の輸出先となっている。台湾産パイナップルやバナナの90%以上が日本へ輸出されていることは知られているが、実はそれ以上に日本市場への依存度が高い品目がある。

台湾農業部の最新統計によると、今年1月から10月までの台湾産生鮮果実の対日輸出額は、輸出全体の57%を占めた。さらに注目すべきは、台湾の3大切り花品種である「オンシジューム」「アンスリウム」、そして「トルコギキョウ」の輸出先が日本に高度に集中している点だ。特にトルコギキョウに至っては、対日輸出額の割合が95.09%に達し、ほぼ全量が日本市場で消費されていると言っても過言ではない。

危機を好機に 日本が台湾フルーツ最大の輸出先に

2021年以降、中国が国際貿易の慣例に反する理由で台湾産農産物の禁輸措置を相次いで実施したことを受け、日本の役割は決定的に変化した。

●フルーツ市場のトップへ:今年10月時点で、日本は台湾産生鮮果実の最大輸出先となり、その割合は57%に達している。

●パイナップルがつないだ絆:中国による突然の禁輸措置の際、安倍晋三元首相が台湾産パイナップルと共に写った写真をSNSで公開し、支援を表明したことは記憶に新しい。これが大きな契機となり、日本は台湾産パイナップルの主要市場となった。

切り花市場でも日本が主力、9割が日本へ

生鮮果実だけでなく、切り花においても日本は最大の輸出先であり、全体の87.9%を占めている。データを見ると、台湾の切り花産業がいかに日本市場と深く結びついているかが浮き彫りになる。

【今年1-10月の主な花卉品目 対日輸出データ】

花卉品種輸出総額対日輸出額対日輸出シェア
トルコギキョウ77.5万ドル73.7万ドル95.09%
オンシジューム988.9万ドル891.2万ドル90.12%
アンスリウム382.1万ドル330.7万ドル86.5%

特にトルコギキョウの95%という数字は、日台間の花卉産業チェーンにおける高度な相互補完関係を示している。

「まさかの時の友」日中緊張下での日台相互支援

最近では、高市早苗首相が「台湾有事」に関して言及したことに中国側が反発し、「放射性物質の検査不十分」を理由に日本産水産物の輸入を禁止するなど、日中間の貿易摩擦が激化している。

これに対し、台湾の頼清徳総統は即座に行動で日本への支持を表明。自身のX(旧Twitter)アカウントに「ランチの寿司」の写真を投稿し、日本産水産物の安全性をアピールした。

また、台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は21日、「日本は今、中国からの経済的威圧に直面している」として、台湾の人々に日本の農水産物を積極的に購入し、日本の損失を補うよう呼びかけた。李代表は、かつて台湾がパイナップル危機に陥った際に日本が救いの手を差し伸べてくれたことへの「恩返し」であると強調している。

この日中間の外交的緊張は、皮肉にも日台間の貿易関係をより緊密にし、「善の循環」による相互扶助を加速させる結果となっている。

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編集:梅木奈実

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