【単独インタビュー】日本酒にラグジュアリー革命を SAKE HUNDRED生駒代表が語る「台湾が試金石」の理由

日本酒の「ラグジュアリー化」を掲げるSAKE HUNDREDの生駒龍史代表は、「日本酒への理解が深い台湾で成果を出せるかが、世界展開の試金石になる」と語った。(SAKE HUNDRED)
日本酒の「ラグジュアリー化」を掲げるSAKE HUNDREDの生駒龍史代表は、「日本酒への理解が深い台湾で成果を出せるかが、世界展開の試金石になる」と語った。(SAKE HUNDRED)

日本酒業界に「ラグジュアリー」という新たな市場を切り開き、国内外から注目を集めているのが、株式会社Clear(クリア)だ。同社は「日本酒の未来をつくる」というビジョンのもと、専門メディアと高級酒ブランドという二つの軸で業界を牽引してきた。『風傳媒』は、創業者で代表取締役CEOの生駒龍史氏に単独インタビューを行い、起業の原点から独自のブランド哲学、そして現在とりわけ重視している台湾市場の位置づけまで、率直な話を聞いた。​

日本酒にラグジュアリー革命を起こすSAKE HUNDREDの生駒代表は、日本酒への理解が深い台湾市場での成功こそが世界進出の試金石であると語った。SAKE HUNDRED
日本酒の「ラグジュアリー化」を掲げるSAKE HUNDREDの生駒龍史代表は、「台湾市場での手応えを世界展開につなげたい」と語った。(画像/SAKE HUNDRED)

生駒氏が日本酒の世界に本格的に関わり始めたのは25歳のときだった。日本酒の奥深さに強く惹かれる一方で、売上低迷や酒蔵の廃業、後継者不足といった業界全体の厳しい現実にも直面したという。「大好きな日本酒を広めるには、個別の商品を売るだけでは足りない。業界が抱える構造的な課題そのものに向き合う必要がある」。そうした問題意識が、起業という決断につながった。会社は2013年に創業し、掲げたビジョンは一貫して「日本酒の未来をつくる」だった。

Clearの事業モデルには、既存の枠組みを前提としない明確な戦略がある。それは、酒蔵同士で限られた市場を奪い合うのではなく、「新しい市場」を創出することだ。生駒氏は「1,000円や2,000円の価格帯で勝負して、既存の酒蔵と競合するつもりはない」と語る。日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」で情報基盤を整えつつ、ブランド事業のSAKE HUNDREDでは高価格帯の「ラグジュアリー市場」を開拓する。二つの事業を並行させることで、日本酒業界全体に新たな価値と売上を生み出す狙いだ。

日本酒にラグジュアリー革命を起こすSAKE HUNDREDの生駒代表は、日本酒への理解が深い台湾市場での成功こそが世界進出の試金石であると語った。SAKE HUNDRED
日本酒の「ラグジュアリー化」を掲げるSAKE HUNDREDの生駒龍史代表は、「台湾市場での手応えを世界展開につなげたい」と語った。(画像/SAKE HUNDRED)

ブランド立ち上げから7年を経たSAKE HUNDREDは、国内で確かな存在感を築いている。その成長の背景について、生駒氏は「ラグジュアリー」という立ち位置を明確にしたこと、そしてデジタルマーケティングを軸としたECモデルを早期に確立できた点を挙げる。製品づくりの中核にあるのは「飲む人のリテラシーに依存しない美味しさ」という考え方だ。専門知識を持つ愛好家でも、日本酒に不慣れな人でも、一口で「美味しい」と感じられる品質を基準とする。そのため、協業する酒蔵には設備や温度管理、保管環境に至るまで、非常に高い基準を求めている。

SAKE HUNDREDは、葛飾北斎「神奈川沖浪裏」に着想を得たロメロ・ブリット氏とのコラボ限定酒『百光 ROMERO BRITTO - Hokusai Edition -』(1本100万円・全世界100本限定)を11月5日から発売する。
SAKE HUNDREDは、葛飾北斎「神奈川沖浪裏」に着想を得て、ロメロ・ブリット氏とコラボレーションした限定酒「百光 ROMERO BRITTO - Hokusai Edition -」を、11月5日から発売する。価格は1本100万円、全世界100本限定。

2025年以降、同社はこれまでの実績を土台に海外展開を本格化させる方針だ。その前提にあるのが、「日本で厳しく評価されているからこそ、海外でも通用する」という信念である。まずは世界でも最も目が肥えている日本市場で評価を確立し、その延長線上としてアジアへ進出する。 (関連記事: ウニでも松葉ガニでもない 台湾が日本の「ある海産物」を爆買い 輸入比率は約8割、総額約134億円 総統も愛食 関連記事をもっと読む

SAKE HUNDREDが代官山で期間限定の「百光 “おみくじ” STAND」を開催し、運勢に応じて希少な日本酒をテイスティングできる体験を提供している。SAKE HUNDRED
SAKE HUNDREDは代官山で期間限定イベント「百光 おみくじ STAND」を展開。運勢に合わせて希少な日本酒を試飲できる体験を提供している。(写真/SAKE HUNDRED)

そのグローバル戦略の中で、同社が現在「最重要市場」と位置づけているのが台湾だ。生駒氏は、世界各地の唎酒師(ききさけし)が腕を競う国際コンクールで台湾人が連続優勝している点に触れ、「台湾は日本以外で最も日本酒への理解が深く、提案力も高い市場」と分析する。実際、台湾進出からわずか1年で、ミシュラン星付きレストランを含む50店舗以上での採用が決まり、売上は着実に拡大している。とりわけ印象的なのは、現地での顧客層の広がりだという。

最新ニュース
大阪・関西万博、最終黒字は370億円へ 海外客トップは「台湾」の17.5% 李逸洋駐日代表「日台往来は過去最高水準」
「日本のあの果物」が台湾で爆売れ!輸入量2.3万トン、台湾だけで750万個販売へ 青森産が圧倒的人気
パイナップルだけじゃない!台湾の「ある農産物」が日本でシェア95% 中国市場からの転換進む
李逸洋駐日代表、「頻発する演習は中国軍腐敗隠しの『虚勢』か」 日米連携の重要性訴え
2026年の「5大注目点」:高市早苗首相、大谷翔平選手、そして60年ぶり「丙午」の呪い
50周年の冬コミが開幕、初日に15万人が来場 半世紀の節目に熱気
中国、台湾封鎖を狙う「5つのエリア」を設定!演習日程、航空便への影響、10時間に及ぶ「実弾射撃」の全貌
松田聖子、5年ぶり紅白出場へ 特別企画で「青い珊瑚礁」披露 放送100年締めくくる
解析》台湾に迫る実弾射撃 中国軍「正義使命-2025」、軍事演習海域は過去最接近
舞台裏》台湾国産潜水艦「海鯤号」は本当に大丈夫か 台湾海軍と台船が「ある時期」を待つ理由
舞台裏》中国軍なぜ今、台湾包囲演習なのか?米軍「ハイマース」を意識した標的訓練 台湾当局が分析する「4つの真の狙い」
中国軍、10時間の軍事演習 航空便941便・10万人に影響 台湾民航局「粗暴な挑発」と厳しく非難
中国軍、「中国版ハイマース」7発を発射、台湾北西沖に着弾 海巡署「中華民国水域への侵入は断じて容認しない」
中国、再び「台湾包囲」軍事演習を実施 豪メディア分析「2026年に開戦する意図はないが、戦争準備は整っている」
中国軍、「正義使命-2025」台湾包囲軍事演習 中国軍機130機を確認、90機が中間線越え 台湾国防部発表
中国軍、台湾周辺で軍事演習「正義使命-2025」ポスターに隠された宮古・バシー海峡封鎖の戦術 台湾の「生命線」を寸断
「20年前からやっている」トランプ氏、台湾包囲演習を静観「習近平氏とは良好な関係、彼が何かするとは思わない」
防衛省、特定秘密・規律違反で計30人を懲戒処分 小泉防衛相「信頼回復の先頭に立つ」
TAKANAWA GATEWAY CITY、初めて迎える新年に「新春高輪横丁」を開催
政府、「ビジネスと人権」行動計画を改定 AI・環境など8重点分野で企業の取り組み加速へ
台湾・台北に「ちいかわ」常設店オープン!ここでしか買えない「垂れ耳」限定グッズも登場 華山ではちいかわベビーの期間限定ショップも同時開催
aespaニンニン、インフルエンザで紅白欠席 事務所は物議のSNS投稿に「意図なかった」と釈明
福山雅治×稲葉浩志、第76回NHK紅白歌合戦で夢の共演!コラボ曲「木星」をテレビ初披露、伝説の夜
高市早苗首相、総理公邸へ引っ越し完了 ラフなトレーナー姿に「親近感」の声
日本のBL漫画家、台湾サイン会が中止に 台湾版に「中国国旗」表示し批判殺到
トヨタグループ、横浜に没入型ミュージアム「THE MOVEUM」期間限定開設 クリムトらの世界を全身で体験
Nothing、福袋は「富士・鷹・なすび」!1月2日正午発売、CMF製品のセールも
多摩動物公園でオオカミ脱走、4時間後に捕獲 1800人が避難もけが人なし
「パンダは台湾で見ればいい」発言も話題に 親台派・上畠寛弘議員、台湾への思い語る
中国軍、台湾周辺で軍事演習「正義使命-2025」を突如発表 陸海空・ロケット軍を総動員、「主要港湾封鎖」で圧力強化か
特集》中国、貿易黒字1兆ドル突破、人類史上最高記録も「危険信号」 世界の黒字6割を独占し、新たな摩擦の火種に
日本の再生可能エネルギー政策が大きく転換 太陽光発電の「無秩序な拡大」に歯止め 高市早苗政権が補助廃止と環境審査強化へ
【台湾】「2027年侵攻準備」は実力不足の裏返し 頼総統が習氏の指示を独自分析
ウニでも松葉ガニでもない 台湾が日本の「ある海産物」を爆買い 輸入比率は約8割、総額約134億円 総統も愛食
「民族の魂が奪われる」韓国キムチ、国内市場で絶滅危機 改名も効果なし、安価な中国産が席巻の衝撃
米中AI攻防》NVIDIA「H200」は巧妙な価格戦略で中国市場へ ワシントンの戦略的弱点と中国の忍耐が浮き彫りに
北京観察》上将40人が消えた? 習近平の反腐敗の嵐は収まらず、空軍が次の“暴風眼”に
中国の圧力を恐れず 日本の前法相が台湾国防部を訪問 顧立雄氏「高市氏は脅威にも屈せず、敬意に値する」
ホワイトハウス、「中国製半導体は関税ゼロ」を発表 トランプ氏が習近平氏に再び融和姿勢、半導体“停戦”は2027年まで
入管庁、外国人在留支援センター「FRESC」の活用をSNSで周知 新年1月には就職支援セミナーや大阪・京都での合同相談会を開催
入管庁、Xで「審査進捗の電話問い合わせ控えて」と異例の呼びかけ 業務への影響懸念
【解説】ポイント計算不要の制度「J-Skip」 年収2000万円以上で最速1年の永住権取得が可能に
防衛費、過去最大9兆353億円を計上へ 無人機やミサイル防衛網「SHIELD」構築、航空宇宙自衛隊創設など抜本的強化
第76回NHK紅白歌合戦、オープニングで「放送100年」特別企画 名曲を豪華アーティストがメドレーで継承
矢沢永吉、第76回NHK紅白歌合戦に特別企画で出演決定 ソロ50周年の節目に「真実」を披露
台湾漫画、 第19回日本国際漫画賞で3作品受賞 銀賞・奨励賞・銅賞を獲得
出入国在留管理庁、新オンライン在留申請システムを2026年1月5日に導入へ
【速報】台湾東部沖でM7.0の地震 深夜に激しい揺れ、SNSで「921以来の体感」と驚きの声
第76回NHK紅白歌合戦の曲順発表
第76回NHK紅白、NHK ONEで「曲順チャプターリスト」を公開 ウラトークのゲスト出演シーンも網羅