台湾と日本の関係が注目されるなか、台湾政府は日本への支持姿勢を一段と明確にしている。台湾の林佳龍外交部長(外相)は20日、メディア取材に対し、日本を支持する具体的行動として「日本への観光旅行、日本製品の購入、SNSでの発信」を呼びかけた。また、衛生福利部(衛福部)の林静儀政務次長は、福島など5県の食品輸入規制について「解除に向けた予告期間はすでに満了し、上級の最終決定を待つ段階に入っている」と『風傳媒』の取材に答えた。
日中関係は、高市早苗首相が国会答弁で「台湾有事」に関する仮定の状況を説明したことを受け、中国側が強く反発したことから緊張が続いている。中国は、日本の「治安悪化」を理由に渡航警戒を発出したほか、留学に関する注意喚起も行った。さらに共同通信は19日、中国政府が7月にようやく再開した日本産水産物の輸入を再び停止すると正式通知したほか、日本産牛肉の輸入再開交渉も中断したと報じた。中国外交部の毛寧報道官は、高市首相の「倒行逆施(時代に逆行する行為)」などの「誤った言論」に中国国民が強い公憤を抱いていると述べ、「現状では、日本の水産物が輸出されても市場はない」と強調した。
林佳龍外交部長「年末には台湾からの訪日客が中国を大きく上回ることを期待」
林外交部長は20日、立法院外交・国防委員会での報告前に取材に応じ、「中国共産党は経済的威圧や軍事的威嚇で他国をいじめる事例が数え切れないほどある。台湾に対しても言論と武力で脅し、調達・貿易・投資・観光を『武器化』してきた」と指摘したうえで、「この重要な時期にこそ、日本を支持し、局面を安定させ、中国のいじめを阻止すべきだ」と述べた。
さらに立法院で、民進党の王定宇議員が「台湾が中国から農産品の圧力を受けた際、真っ先に支援してくれたのは日本などの友好国だった。台湾産パイナップルの最大輸出先も日本である」と指摘。これに対し林外交部長は、「台湾国民は具体的行動で高市早苗首相とその政策を支持すべきだ。日本観光は今が最適な季節で、日本製品の購入によって台日の友好を示すべきだ」と応じ、「いま日本が最も必要としているのは台湾の支持だ」と強調した。
休憩時間の取材では、「日本観光、日本製品の購入に加え、日本関連の飲食店を利用したらSNSで投稿してほしい。若い人には創意工夫を期待している」と述べた。また、年内の台湾人訪日客数が過去最高を更新するとみており、「年末には、日本を訪れる台湾人の数が中国人観光客を大きく上回ることを期待している。それによって高市首相と日本政府への支持を表したい」と語った。
福島5県食品の輸入規制 予告期間満了、解除は「上級決裁を待つのみ」
衛福部の林静儀政務次長は『風傳媒』に対し、福島など5県の食品輸入規制を解除するための行政予告(8月29日発出)について、「60日の予告期間はすでに終了している」と説明した。
草案では、5県産食品の輸入禁止を解除し、日本政府による食品流通規制(出荷制限)と、台湾側のリスクベースの放射能検査の併用に切り替える内容が示されていた。10月末に予告期間が満了した後、外交部は「具体的な解除時期は主管機関の最終公告に従う」と説明していた。
林政務次長は、「予告期間中に専門家・学者から特別な反対意見はほぼなかった。科学的証拠で安全性は確認されており、これまでの国境検査もすべて基準内だったため、特段の異論は寄せられていない。あとは上級の判断を待つだけだ」と述べた。
食薬署の公告によれば、国際原子力機関(IAEA)の公開情報では、日本政府は妥当な監測・対応を実施し、食品供給チェーンの安全性を確保していると評価されている。台湾側も2022年2月21日〜2025年7月31日の期間に、福島など5県食品を2万1717件検査しており、2024年はさらに26.3万件以上を検査したが、すべて台湾および日本の基準に適合し、不合格率はゼロだった。
編集:梅木奈実 (関連記事: 高市早苗氏の「台湾有事」で中国が激怒 台湾・林佳龍外交部長が台灣人の日本観光を支持 | 関連記事をもっと読む )
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