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米議会委員会「中国の台湾封鎖は『数時間以内』に可能」 北京は主権行使の「決定段階」へ 2025年11月12日、中国人民解放軍の儀仗兵が行進する様子。(AP通信)
「現在、北京は台湾に対して一方的に主権行使を迫ろうとする重要な局面に入っている。中国は武力による台湾奪取という目標に向かって前進しており、台湾とアメリカはその侵略を抑止する能力の維持に努めている。中国は台湾周辺での軍事活動を継続しつつ、強襲揚陸艦や移動式ドックなど新たな戦力を加え、台湾を封鎖または侵攻する能力を高めている。北京は軍事的威圧、経済的圧力、悪意ある影響工作を通じて、台湾への多面的なプレッシャーを強化している。」
USCC年次報告:2025 Annual Report to Congress
米国議会傘下で最も影響力を持つ「米中経済安全保障検討委員会(USCC)」は、2025年度報告書を公表した。その中で台湾の現状を分析した第11章は、49ページにわたり台湾海峡の現在のリスクと、北京が急速に推し進めている戦略目標について詳述している。すなわち、極めて短い時間で封鎖、さらには侵攻を開始し、台湾と国際社会にほとんど警戒猶予を与えないというシナリオである。
人民解放軍による電撃的な攻勢は、もはや机上のシミュレーション上の仮定ではなく、目前に迫った戦略的現実となっている。台湾に関する章の要旨(Executive Summary)でも、現在は「北京が台湾に対し主権を強制的に行使しようとする決定的な段階に入っている」と明確に指摘している。
ニュース辞典:米中経済及び安全保障検討委員会(US-China Economic and Security Review Commission)
米中経済・安全保障検討委員会(USCC)は、2000年に米議会の承認で設立された超党派の諮問機関だ。役割はシンプルで、「米中の経済・貿易関係が、アメリカの国家安全保障にどのような影響を及ぼしているか」を監視・調査し、議会に報告することにある。USCC自体に行政権限はなく、直接政策を決めることはできないが、「シンクタンクと立法府をつなぐ橋」として重要な位置づけを持つ。年次報告書には、情報機関や学界、産業界から集約された分析が盛り込まれ、対中政策の立案や国防予算の審査にあたる議員たちの主要な参考資料となっているほか、しばしばホワイトハウスの行政部門にも取り上げられ、具体的な大統領令や外交戦略へと反映されることも少なくない。
報告はさらに、過去1年間の動向として、北京が情報戦の照準を「台湾内部の政治的分断を深めること」と「台米関係の間にくさびを打ち込むこと」に合わせてきたと指摘する。中国は国際社会においても台湾の孤立を図り、各国に対して北京の好む立場や文言を採用するよう圧力を強めている。これに対抗するため、台湾側はより大規模な軍事演習を実施し、新たな非対称防衛能力の整備を加速させるとともに、中国のさまざまな行動に対抗する措置を導入し、軍事的抑止力と社会のレジリエンスを高めてきた。併せて、ハイテク供給網における自らの重要なポジションを生かし、経済の多角化を進め、中国依存からの脱却を図っている。アメリカもまた、武器供与や安全保障支援を通じて台湾を側面支援しつつ、経済連携を強化し、より安全なサプライチェーンの構築を進めている。
「数時間以内」で侵攻準備が完了? USCC報告で最も衝撃的な評価は、人民解放軍の対台湾作戦能力が大きく向上したと見る点だ。従来の一般的な見立てでは、大規模な上陸作戦や封鎖を行うには数週間から数カ月にわたる兵力と装備の集結が必要で、その間に台湾や同盟国には一定の警戒・対応時間があるとされてきた。ところが今回の報告は、中国が台湾近海でほぼ途切れなく軍事訓練や演習を続けていること、そして装備や即応態勢の向上を踏まえると、米台の軍事当局者は「解放軍は数時間以内に台湾封鎖を実施し得る」と警告していると明記する。台湾への攻撃に踏み切る前に必要な「切り替え時間」も、きわめて短くなっているという。
この評価は決して根拠のない危機感ではない。報告は複数の具体的な軍事指標を挙げている。第一に、中国が台湾周辺で展開する軍事活動は、「平時」と「戦時」の境界線を意図的にあいまいにし、将来の奇襲行動を隠れやすくしている。第二に、人民解放軍は075型のような大型強襲揚陸艦や機動式桟橋技術など、新たなプラットフォームを積極的に配備中であり、これらが兵力投射の速度と柔軟性を大きく引き上げている。かつて想定された「百万人規模の部隊を長期間かけて集結させる」古典的な侵攻シナリオは、より秘匿性が高く、迅速かつ致命的な「電撃戦」や「窒息型封鎖」へと姿を変えつつある可能性がある。
報告はさらに、台湾が近年直面している厳しい状況をデータで示し、中国による対台湾圧力が新たな段階に入ったと強調する。台湾とアメリカが有効な抑止力を維持できる「時間の窓」が、急速に狭まりつつあるという。
・過去5年間で、人民解放軍機による台湾防空識別圏(ADIZ)への進入回数 は急増し、2019年の20回から2024年には3,075回まで膨れあがった。 ・過去4年間では、人民解放軍機が台湾海峡の中間線を越えた 回数が6,591%増加し、2020年の22回から2024年には1,472回に達した。 ・同じく過去4年間で、中国のためにスパイ活動を行ったとして起訴された台湾人 の件数は967%増え、2020年の6件から2024年には64件になった。 ・過去2年間で、「一つの中国」原則を明示的に支持する声明に署名した国 は133%増加し、2023年2月の51カ国から2025年1月には119カ国にまで拡大した。
二重の締め付け 極限圧力と内部分断 USCC報告は、軍事力による直接的な威嚇だけでなく、中国が台湾に仕掛ける「ハイブリッド戦」の実態にも踏み込む。これは火器を使わないが、同じく致命的な圧力戦である。報告によれば、北京は軍事恫喝に加え、経済的圧力や悪意を帯びた影響工作を組み合わせ、台湾に対して多層的な締め付けを行っている。台湾側は軍事準備の強化、社会のレジリエンス向上、経済多角化で一定の成果を上げているものの、軍内部の官僚的な停滞や、与党民進党と野党側が多数を占める立法院の対立が、防衛近代化のスピードに影を落としている。
報告が特に注意を促すのは、ここ1年で中国の情報戦の焦点が明確に変化した点だ。従来の「統一宣伝」一辺倒から、「台湾内部の政治的対立を深める」「台湾と米国の間に亀裂を生む」という方向に軸足を移している。いわゆる「ウェッジ戦略(wedge strategy)」で、中国は台湾の開かれた民主制度を逆手に取り、偽情報の拡散や論争の煽動により政府への信頼を削ぎ、経済的圧迫や利得提供、スパイ活動、海底ケーブル破壊などを通じて台湾の抵抗意志を弱めようとしている。
中国の宣伝活動はさらに、米国の対ウクライナ政策やトランプ政権の関税方針、半導体をめぐる不確実性を意図的に刺激し、台湾社会の「対米不信(疑美論)」を育てることにも注力している。報告は、トランプ氏の「大国間関係を取引として捉える姿勢」が中国に「百年に一度の好機」を与えていると指摘。中国の研究者の間でも、トランプ氏の対台湾発言が台湾内部の疑念を増幅させ、「米国は台湾を見捨てるかもしれない」という議論に根拠を与えているとの分析が共有されているという。
台湾の対応 ハリネズミ戦略と国内政争 圧力を強める北京に対し、台湾は黙って脅威を受け入れているわけではない。USCC報告は、台湾が軍事的抑止力や社会の防衛力を強化している点を評価する。台湾軍は、より実戦的で大規模な演習を実施し、不対称防衛装備の調達を加速させている。中国による影響工作への対抗策も進んでおり、偽情報に対する社会の耐性向上が図られている。
報告はまた、与党民進党と最大野党・国民党の対中政策が大きく異なる点にも触れる。民進党は中国の圧力により批判的で、防衛費増額や不対称戦力の強化に重点を置く。一方、国民党は「対話」を重視し、緊張緩和と衝突回避を優先する「2D(Defense+Dialogue)」路線を掲げる。
しかし、野党が多数を占める立法院では、賴清徳政権が提出した予算の一部が大幅に削減あるいは凍結され、国防関連では2億8千万ドル(約1.3%)の削減に加え、30億ドル(約14%)が凍結されている。民進党は国民党が台湾の防衛力強化を妨害していると批判し、国民党側は賴政権が「北京を不必要に刺激し、国内の市民自由を制限しようとしている」と反発している。7月と8月に行われた2回のリコール投票で野党議員はいずれも失職しなかったことから、2028年の総統選まで台湾の政治的分断は続く可能性が高いと報告は分析している。
米国は台湾の自衛能力強化を継続支援 報告は、資金の流れが一時的に停滞した時期があったとしても、2025年になっても米国が台湾の防衛力強化を継続的に支援していると指摘する。米政府高官は、トランプ政権が台湾への武器輸出を今後さらに拡大する方針を示し、販売額はトランプ政権1期目の183億ドルを上回る可能性があると述べている。台湾軍も米製のSwitchblade300やAltius-600Mといった無人機システムの調達を増やし、同時に国産無人機4種類の開発を進めている。
一方で台湾が米国に発注した武器は依然として大量に未引き渡しの状態だ。2025年9月時点で台湾が支払い済みの未納品武器は総額215.4億ドルに及び、その中には2021年に遡る契約も含まれる。F-16戦闘機やM1エイブラムス戦車が未納品額の半分以上を占める一方、ハープーン対艦ミサイルやHIMARS多連装ロケット砲など不対称戦力も39%近くを占めている。
引き渡し遅延の理由として、報告はF-16やスティンガーミサイルなど輸出装備の生産能力の制約、世界的な需要の増加、台湾が新たに提示した防衛調達案件、トランプ政権の販売目標引き上げなど複合的要因を挙げる。生産スケジュールを加速し、台湾向けを優先しない限り、未納品は今後さらに膨らむ恐れがある。
ただし報告は、米国防長官ピート・ヘグセスが今年3月の内部メモで「中国による台湾侵攻の抑止を米軍の最優先任務とする」と明記し、国防総省が大量の無人システム調達を進めている点にも触れ、台湾の防衛支援に対する米国のコミットメントは依然強固だと評価している。
シリコン・シールドと台米半導体協力の現在地 経済面において、台湾が依然として握る切り札が半導体である。USCC報告は、台湾が先端半導体製造の世界的中心地という地位を生かし、供給網の多角化を進めて中国依存を減らしている点を強調する。これは単なる経済政策ではなく、安全保障戦略でもあり、民主主義陣営との供給網を強く結びつけることで、中国が軍事行動に踏み切る際の経済的負担を引き上げる狙いがある。
報告は、中国が仮に台湾の半導体拠点を占領したとしても得られる利益は限定的だと指摘する。というのも、TSMCを含む台湾のファブ(工場)は、製造プロセスの多くを米日欧の特殊装置や素材に依存しており、例えばオランダのEUV装置メーカーASMLは、不測の事態には遠隔操作で装置を停止させることが可能と報じられている。したがって、北京が武力行使を検討する際には、自国内で半導体の代替供給能力を確保できるかどうかを避けて通ることはできない。
また報告は、台湾が最先端半導体の製造能力で圧倒的な存在感を保ってきた事実を、改めて数字で示す。2022年時点で10ナノ以下のチップを量産できるのは台湾と韓国だけで、その世界シェアは台湾69%、韓国31%だった。米国は生産の分散と国内回帰を進めており、ボストン・コンサルティング・グループの試算では2032年に台湾・韓国の合計シェアは56%に低下し、米国は28%を占める見通しだという。中国はわずか2%にとどまる。
特に米国内の先端半導体回帰戦略において、TSMCの投資は中心的役割を担っている。TSMCは今年初め、米アリゾナ州での追加投資として1,000億ドル規模の計画を公表した。フェニックスに3棟の先端ファブを建設し、4ナノ以下の高度なプロセスを製造するほか、追加で3つのファブ、2つの先進パッケージ拠点、そして研究開発センターの建設も構想している。これらが完成すれば、TSMCの最先端チップの30%が米国内で生産されることになる。台湾政府も今年1月、米国での最先端製造に関する制限を撤廃し、アリゾナ工場で2ナノ製造を可能にする政策転換を行った。
一方、中国は成熟プロセスで存在感を高めつつある。BCGは、2032年に中国の28ナノ以上のチップ市場シェアが37%に達し、2027年には台湾を上回る可能性すらあると予測する。台湾のシンクタンク「民主・社会・新興技術研究センター(DSET)」によれば、中国は政府補助金による価格競争力を武器に、太陽光パネル向け基礎半導体では80%、スマートフォンでは56%、電気自動車では73%、ディスプレイ分野では66%を占めている。議論の多くは先端チップに集中しがちだが、需要の大半は成熟プロセスであり、米国自動車産業が使うチップの95%、米国防総省の重要装備で使われるチップの99.5%が基礎半導体だと報告は指摘する。
報告はまた、台湾企業が先端半導体のみならず基礎半導体でも世界供給網の重要ノードとなっている点を強調する。台湾の役割は、AIや高性能計算の分野で中国が技術的主導権を握るのを防ぐうえでも不可欠であり、もし台湾をめぐる戦争が起きれば、世界全体のGDPの10%が一気に失われる可能性があると警告している。その衝撃は2008年の世界金融危機に匹敵する。
対等関税と台米経済関係の行方 報告は、今年4月2日に発表されたトランプ政権の「リベレーション・デー(解放日)関税」についても詳述する。台湾に対して32%の対等関税が課され、8月には20%に引き下げられた。一方、台湾の対米輸出の64%を占める半導体と電子製品は、一時的にすべての関税が免除されている。しかし報告は、進行中の232条交渉により、これら製品も将来的に関税対象となる可能性があると指摘する。2023年の台湾の平均関税率は6.5%で、米国側には農業、デジタルサービス、バイオテック、医療機器、エネルギーなどで依然として多くの参入障壁が残っている。
4月2日の対等関税発表後、台湾は米国との貿易協議を積極化させた。賴清徳総統は、米国産のエネルギー・農産物・防衛装備の購入拡大、非関税障壁の縮小、台湾企業の対米投資機会の拡大による貿易赤字解消を目指す方針を示している。報告は、台湾の対米輸出が5月に過去最高の155億ドルとなり、前年同月比で90%増えた点にも触れる。企業が将来の関税リスクを避けるため、前倒しで注文を増やしたとみられる。
米台は近年、関税・非関税障壁の低減と投資促進に向けた協議を積み重ね、自由貿易協定(FTA)に向けた土台作りを進めてきた。2022年に始まった「台米21世紀貿易イニシアティブ」は2024年12月に第1弾合意が発効し、反腐敗、規制実務、中小企業支援などを盛り込んだ。2025年6月には、米国通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア氏が、台湾が合意内容を完全に履行していると評価した。
一方、農業、環境、労働、紛争解決といったテーマの協議について、今後も継続されるのか、それとも対等関税交渉に吸収されるのかは不透明だと報告は述べる。台湾はすでに米国のトップ10貿易パートナーに位置づけられ、対米輸出額は20年以上ぶりに対中輸出を上回った。台湾の半導体企業による米国での直接投資も過去最高を更新している。
北京の対台湾姿勢──変わるもの、変わらないもの USCC報告は、北京の対台湾アプローチでこの1年最も顕著だった変化として、「中国寄りの個人や団体に対して、より積極的に物質的利益を提示する姿勢」を挙げている。2025年2月の対台工作会議では、台湾政策の最高責任者である王滬寧氏が「祖国統一の必然性を形づくる」という新たな概念を打ち出し、中国側が統一に向けた条件づくりに踏み込んでもよいという考えを示した。王氏は「台湾同胞が中国式現代化の成果と機会を共有できるようにする」と述べ、中国で事業を展開する台湾企業家の支援や、台湾の若者が中国で「夢を追い、実現できる環境」を整えるべきだと強調した。李強首相も2025年の政府活動報告で、「両岸の経済・文化交流を促進する制度・政策の整備」を呼びかけている。
国際社会に対しては、中国は依然として「台湾侵攻の具体的計画はない」と主張し、「平和統一」を最優先とする姿勢を繰り返す。中国の著名な外交政策学者である閻学通氏も『フォーリン・アフェアーズ』誌で、「今後4年間で米中が台湾を理由に戦争へ突入する可能性は低い」と述べ、「中国は自国のGDP成長に集中する限り、台湾統一に具体的な期限を設けることはない」と論じた。しかし、中国国務院台湾事務弁公室は、閻氏の寄稿を「学者の個人的見解」と距離を置きつつ、台湾側の「挑発がレッドラインを越えた場合、中国は断固たる措置を取る」と強調した。中国国営メディアは、賴清徳総統を「典型的な戦争屋」、民進党を「ナチ化している」と批判し、「台湾独立は戦争を意味する」との論調を強めている。
北京が描く台湾侵攻の三つのタイムライン USCC報告は、中国が台湾侵攻に関する「タイムテーブル」を公式に認めたことはないとしながら、米情報機関の分析や北京側の発言をもとに、三つの潜在的“節目”を示している。 それが2027年、2035年、そして2049年である。
2027年 米情報機関の公開報告によれば、習近平国家主席は人民解放軍に対し「2027年までに台湾侵攻が可能な軍事能力を備える」よう指示したとされる。これは必ずしも“侵攻日”そのものではなく、軍事近代化を加速させるための内部目標とされる。2027年は人民解放軍創建100周年でもあり、習氏はそれまでに「機械化・情報化・スマート化」を大きく前進させると宣言している。
2035年 この年は中国が「国防・軍隊の基本的近代化を実現する」と明言している節目だ。さらに北京は、2035年までに中国と台湾を結ぶ高速鉄道網を“技術的に実現可能”にすると表明している。2023年には台湾海峡に面した福建省で新たな高速鉄道区間が開通し、「多層的な統合交通ネットワーク」が完成したと発表されたことで、将来的な台湾連結構想を後押ししている。
2049年 建国100年に当たる2049年までに台湾問題を解決する──これは北京が長年繰り返してきた明確な国家目標だ。習氏は「中華民族の偉大な復興」を2049年までに実現するとしており、「台湾問題の解決」はその中核に位置づけられている。
台湾の脆弱なエネルギー供給 封鎖リスクの最大弱点 報告は、エネルギー安全保障を台湾の大きな弱点として挙げる。台湾はエネルギーのほぼ全てを輸入に頼っており、中国による封鎖・侵攻シナリオでは最も深刻な脆弱性となるためだ。
台湾政府は2030年までに天然ガス比率を50%へ引き上げる目標を掲げ、現在はLNG受入基地や貯蔵設備、パイプラインの整備を急ぐ。2024年時点の天然ガス比率42%から段階的に引き上げる計画だ。残りの電源構成は石炭20%、再生可能エネルギー30%と想定されている。また台湾は2025年5月に最後の原発を停止しており、同年8月に実施された原発再稼働の是非を問う国民投票は、成立要件に届かず否決された。
エネルギー供給多角化に向け、台湾中油は今年3月、アラスカLNGパイプライン計画への出資に向けた意向書を締結した。この計画は年間600万トンを供給する見込みで、台湾は2023年に計2,000万トンのLNGを輸入している。主な供給国は豪州(40.2%)、カタール(27.9%)、米国(9.8%)だ。しかし台湾には約20日分のLNG備蓄しかなく、USCC報告は「天然ガス依存の拡大は、封鎖リスクへの根本的な脆弱性を解消しない」と警告する。
石炭火力は削減の方針が続いているが、台湾は非常時に備えて石炭備蓄を42日分まで増やしており、危機時には廃止した発電所の再稼働を検討する可能性もあるという。
編集:田中佳奈 更多新聞請搜尋🔍風傳媒
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蔡英文氏が欧州行を終えて台湾へ戻る 「台湾が必要とするなら、私はここにいる」 副総統・蕭美琴氏は先日、外交部長・林佳龍氏の陪同を受け、ベルギーの首都ブリュッセルにある欧州議会へ訪問し、その後、前総統の蔡英文氏が引き継いで訪欧に。蔡氏は15日早朝にドイツからの一週間の訪問を終えて台湾に帰国。外交部は蔡英文氏の訪問について、台湾とドイツの民主主義と自由をさらに強固にし、台湾が国際社会と共に世界を前進させる力となっていることを示した。蔡氏は......
中国の国営メディアが警告「高市首相の改心なければ、日本は破滅へ」 日本の高市早苗首相が国会答弁で「台湾有事が日本の『存立危機事態』に当たり得る」と述べたことを受け、比較的安定していた日中関係が一気に緊張した。日本政府が台湾海峡危機に際し「集団的自衛権」を行使する、すなわち「武力を用いた台湾海峡への介入」を示唆したことが、中国側の「レッドライン」を踏んだ格好だ。中国外交部、国防部、官製メディアが相次いで反撃の姿勢を強め、中央......
WSTが明かすAI業界の光と影:なぜOpenAIは2030年まで赤字なのか? 「OpenAIが大手テック企業にどれだけの資金を投入したのかを正確に測ることはできないが、OpenAIの今季の損失額は、Microsoft、NVIDIA、Alphabet(Googleの親会社)、Amazon、およびMeta(Facebookの親会社)の今季の基本利益合計の65%に相当する。」《ウォール・ストリート・ジャーナル》人工知能が現代のテクノロジーに......
パグウォッシュ会議、広島で第63回世界大会 核兵器の危険性と新技術リスクを強調 パグウォッシュ会議の第63回世界大会が広島市で11月1日に開幕し、5日に閉会した。7日には会長のフセイン・アル・シャハリスタニ氏と事務総長のカレン・ホールバーグ氏が日本記者クラブで会見し、核兵器の危険性と新しい科学技術がもたらすリスクについて語った。司会は日本記者クラブ企画委員の滝隆一氏が務め、通訳は池田薫氏(サイマル・インターナショナル)が担当した。司会は......
中国が日本への渡航自粛呼びかけ 「台湾有事」巡る外交摩擦拡大、観光損失は2.2兆円規模と試算 日本の高市早苗首相が国会で述べた「台湾有事」に関する発言が、中国から「内政干渉」「軍国主義復活」だと批判を受けた問題は拡大を続けている。中国政府は官製メディアや報道官を通じて連日非難を繰り返すだけでなく、日本への旅行や留学を予定する中国国民に対して警告を発出し、日中関係は一気に冷え込んだ。こうした「交流阻害」の動きに対し、日本の木原稔官房長官は17日、「到底......