大阪・関西万博「未払い問題」めぐり下請業者が訴え 海外パビリオン11カ国で支払い停滞、GLイベント社への不満集中

大阪・関西万博の海外パビリオン工事代金未払い問題について、経営者の高関千尋氏と岸田宗士郎氏・記者の西谷文和氏が、11カ国で支払いが滞り中小企業が深刻な被害を受けている実態を訴えた。(写真:FCCJ)
大阪・関西万博の海外パビリオン工事代金未払い問題について、経営者の高関千尋氏と岸田宗士郎氏・記者の西谷文和氏が、11カ国で支払いが滞り中小企業が深刻な被害を受けている実態を訴えた。(写真:FCCJ)

大阪・関西万博において、海外パビリオンの建設工事を担った中小企業が工事代金を受け取れない未払い問題が発生しているとして、経営者の 高関千尋氏、岸田宗士郎氏、そして本件を調査してきた ジャーナリスト西谷文和氏 が外国特派員協会で会見を行い、状況を詳しく説明した。

大阪・関西万博の海外パビリオン工事代金未払い問題について、経営者の高関千尋氏と岸田宗士郎氏、記者の西谷文和氏が、11カ国で支払いが滞り中小企業が深刻な被害を受けている実態を訴えた。FCCJ
大阪・関西万博の海外パビリオン工事代金未払い問題について、経営者の高関千尋氏と岸田宗士郎氏・記者の西谷文和氏が、11カ国で支払いが滞り中小企業が深刻な被害を受けている実態を訴えた。(写真:FCCJ)

会見ではまず、未払いが発生している国が 11 カ国 に及ぶことが示された。アンゴラ館では元請け企業イロハが資金を持って姿を消し、下請けに支払いが届かないケース、アメリカ館では二次請けのネオスペース社が破産し、やはり下請けに資金が流れなかったケースが紹介された。さらに、フランス企業 GL イベント が複数のパビリオンに対して支払いを行っていないと指摘。

高関氏は、工期が大幅に遅れた中で大阪府が中小企業に協力を依頼し、業者が 24 時間体制で施工を行ったにもかかわらず支払いが行われていない現状を説明した。また、未払い額は 20 億円程度にのぼる可能性があると述べた。

岸田氏は、英国系イベント会社 ES グローバルジャパンが元請けであった自身の案件について、建設業の知識が乏しいまま分野別に丸投げしていたと述べ、下請けを保護する建設業法の責任が果たされていないと指摘。大阪府の吉村知事が本件を「民民の問題」としたことに対しては、国家事業である万博で起きた問題であり民間同士の問題ではないと反論した。

マルタ館を担当した高関氏は、30 社以上が困難に陥り、現場で働いた職人を失った企業もあると述べ、未払いが企業と家族の生活に深刻な影響を与えていると語った。また、万博運営側が現場の実態を理解していないと強く批判した。

西谷氏は、未払いが確認されている国として、アンゴラ、中国、マルタ、ルーマニア、セルビア、ドイツ、アメリカ、ネパール、インド、ポーランド、ウズベキスタンを挙げ、GL イベントによる支払い拒否の手法に共通点があったと述べた。

質疑応答では、吉村知事による協力要請と参加の動機について問われ、高関氏は、日本のパビリオンが開幕に間に合わないことが国の恥になると考えたため参加したと説明した。さらに、高関氏と岸田氏は、GL イベントへの即時支払い、業務停止命令、裁判中の企業へのつなぎ融資などを求めた。

行政責任について尋ねられた場面では、工期設定や発注構造に無理があったとの指摘があり、運営側全体の責任であるとの見解が示された。また、岸田氏は、準備期間の不足や延期判断を行わなかったことなどから吉村知事に責任があると述べた。

かつて顔を出して会見できなかった理由については、元請けと下請けの優越的地位の問題から報復を恐れたためと説明された。しかしながら、企業の状況悪化により現状を公表する必要が生じたとして、今回の会見に至った経緯が語られた。

会見の最後には、日本政府への信頼が揺らいだとして、問題の実態を広く海外に伝えたいとの意向が示され、関係者は問題解決に向けた対話を呼びかけた。

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