台湾大学名誉教授・明居正氏「中国共産党は高市首相を政局から退陣させようとしている」日米が台湾問題で合意した可能性

2025-11-17 17:45
台大政治系名誉教授の明居正氏は、番組「下班瀚你聊」で、中国共産党(中共)が台湾情勢に対する日本の介入可能性を十分に認識していると分析した。(写真/柯承惠撮影)
台大政治系名誉教授の明居正氏は、番組「下班瀚你聊」で、中国共産党(中共)が台湾情勢に対する日本の介入可能性を十分に認識していると分析した。(写真/柯承惠撮影)
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高市早苗首相は最近、中国が台湾に武力攻撃を仕掛けた場合、日本政府は「存立危機事態」に当たると判断し、自衛隊による集団的自衛権の行使を認める可能性があると述べ、この発言が国際的な大きな論争を呼んでいる。これについて、台湾大学政治学系名誉教授の明居正氏は、『風傳媒』の番組「下班瀚你聊」で、米国のトランプ大統領と高市氏は高い確率で台湾問題について協議し、一定の共通認識に達しているとの見方を示した。この出来事は、日中関係に確実に影を落とすものであり、中国共産党(中共)は日本国内の政局を通じて、高市氏を首相の座から引きずり下ろそうとするだろうと指摘している。

明氏によれば、高市氏は衆議院予算委員会での質疑で、日本の台湾海峡問題に関する一貫した立場は「平和的解決を望むことだ」と前置きしたうえで、「それが存立危機事態に当たるかどうかは、その時々の具体的な状況を踏まえ、あらゆる情報を集めた上で判断する必要がある」と説明した。高市氏は具体例として、中国共産党が軍艦を用いて台湾に対する海上封鎖を行い、米軍が封鎖を突破するため支援に入ろうとした際、中国側が米軍の介入を妨げるため何らかの武力行動に出る可能性がある、と想定。その場合、日本としてはこうした事態を想定して備えを整え、最悪のシナリオをあらかじめ想定しておかなければならないと述べた。軍艦の投入や武力の行使といった事態が現実に起きれば、「いずれにせよ存立危機事態を構成しうる」とも語っている。

ただし明氏は、高市氏の説明はあまりに率直で詳細すぎると指摘する。本来、国家の指導者や政策決定者はここまで踏み込んで言葉にしないのが普通であり、経験豊かな指導者ほど仮定の質問への回答を避ける傾向がある。それにもかかわらず、高市氏は「本来は短く答えればよい問いを、論述問題のように詳しく答えてしまったことが最大の問題だ」と評した。

さらに明氏は、高市氏の発言は「日本がこの種の状況を存立危機事態とみなす可能性が現実にある」ことを示していると分析する。存立危機事態とは、国家の生死に関わり、安全保障の根幹に直結する事態を意味する。日本国憲法第9条の基本的な考え方に従えば、日本はどのような問題であっても武力によらない解決を目指すことになるが、明氏はこれを「理想論に過ぎ、むしろ行き過ぎだ」と批判する。それは事実上、「日本は攻撃されても決して反撃しない」と宣言しているに等しく、国家としては無条件降伏を意味しかねないからだ。自衛隊を出動させることは厳密には武力行使そのものであり、日本が実際に行動に踏み切るかどうかは、日本国憲法第9条の改正問題とも密接に結びつくと明氏は指摘している。 (関連記事: 自衛隊が中国空母の「撃沈検討」と言い出したのは誰か 高市早苗氏の「台湾有事」発言と関係はあるのか 関連記事をもっと読む

日本首相高市早苗。(美聯社)
高市早苗首相は衆議院での答弁で、「台湾有事」が日本の「存立危機事態」に当たる可能性があると明言した。(写真/AP通信)

明居正氏:トランプ氏は「高市と安倍の立場の違い」に強い関心

居正氏は、高市早苗首相の発言は「米国と高市氏の共通した姿勢を反映している」と分析し、両者がすでに台湾問題について協議し、一定の共通認識に達している可能性が高いと述べた。トランプ氏が最近訪日した際、日米関係に加え、アジア太平洋、世界情勢、中国、台湾に関する両国の見解を幅広く協議したとされる。

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