小泡芙だけではない 義美が無人機・ロボット産業に本格参入 株主には雲豹エネルギーの名も

2025-11-16 11:18
義美の高志明総経理は昨年、無人機メーカー「新樂飛無人機」に出資した。(資料写真/柯承惠撮影)
義美の高志明総経理は昨年、無人機メーカー「新樂飛無人機」に出資した。(資料写真/柯承惠撮影)
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台湾は今後5年間で無人機関連に総額500億元(約2450億円)を投じる予算を計画しており、不対称戦力の強化を進める中で、政策の後押しを受けた民間企業の参入が相次いでいる。食品大手・義美(I-Mei)もその一つだ。昨年、義美の高志明総経理は無人機メーカー「新樂飛無人機」に出資した。同社は政府の「偏鄉物流運送サービス」プロジェクトに参加しており、昨年末の取締役会では大幅な人事刷新が行われ、新取締役には台湾大学暗号研究室出身の「恆智資安」代表・池明洋氏が就任した。池氏は義美による無人機やロボット分野への広範な投資にも関わっており、さらに「恆智資安」の背後には雲豹エネルギーが株主として名を連ねている。

台湾では近年、無人機メーカーが雨後の筍のように増えている。与党寄りとされる「經緯航太」だけでなく、ナイスグループ二代目の陳冠如氏も雷虎科技や、2022年の国慶花火で無人機群飛行を担当した「台灣希望創新」に積極的に関わっている。ただし、国内企業の中で無人機とロボットの両方に本格的に進出している企業は多くはなく、義美はその数少ない例となっている。

レッドサプライチェーンへの関与を懸念し、「非レッドサプライチェーン」を強調

義美は今年5月、TSMCの半導体設備サプライヤーとして知られる「盟立自動化」と提携し、ロボットメーカー「鞍新盟ロボット製造公司」を設立した。9月の半導体展示会では、自社で開発した産業用ロボットとロボット犬を披露した。半導体業界が最も警戒するのは機密情報の流出と、中国系サプライヤー、いわゆる「レッドサプライチェーン」の介在であり、同社はAIロボットの減速機からソフトウエア制御まで、すべての部品を台湾国内で製造している点を強調している。

義美が展開する無人機・ロボット事業は、いずれも「非レッドサプライチェーン」を掲げ、ソフトウェアからハードウェアに至るまで台湾の技術者と企業で固めている。その中核を担うのが、義美が関わる情報ソフト関連企業群だ。そこには「恆智資安」「微智安聯」、NFT取引プラットフォーム「明合智能」、今年出資した「台梟視覺」などが含まれ、いずれも池明洋氏が深く関わっている。

台灣量子安全產業協會秘書長、池安量子 Chelpis創辦人池明洋(右)。(取自臉書粉專池安量子 Chelpis)
台湾量子安全産業協会の事務局長で、池安量子 Chelpis 創業者の池明洋氏(右)。(写真//フェイスブック公式ページ「池安量子 Chelpis」)

池氏は台湾大学の暗号実験室出身で、現在は台湾量子安全産業協会の事務局長、台湾無人機産業技術統合協会の理事などを務める。「恆智資安」はブロックチェーンのセキュリティを専門とし、コールドウォレットやチェーン上の安全ソリューションを提供する企業として知られる。

台湾の半導体産業は過去に深刻なサイバー攻撃を受けたことがある。2018年8月には、TSMCの装置がウイルス感染で停止し、売上損失は52億元(約255億円)に達した。さらに2023年6月末には、ハードウェア供給企業・擎昊科技の情報漏洩事件で、ランサムウェア組織「LockBit」がTSMCを名指しし、7000万ドルの身代金を要求。支払わなければ盗取したデータを公開すると脅迫した。

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