日本のソフトバンクグループは、米半導体大手でAI(人工知能)チップの世界的リーダーであるNVIDIA(エヌビディア)の保有株をすべて売却すると発表した。売却総額は約58億ドル(8,979億)に達するとみられ、この決定は市場に衝撃を与え、AIバブル懸念が再び浮上している。
しかし、台湾の著名投資アナリスト「王董大盤籌碼」はFacebookへの投稿で、「ソフトバンクの売却は225億ドルの『穴』を埋めるための動きであり、最終的にはAI分野への再投資だ」と分析。AI産業の将来を悲観しているわけではないと指摘した。
米国市場では「資金の流れ」が転換 NVIDIA株3%下落でナスダックを押し下げ
王董大盤籌碼は、「昨夜の米国株式市場はまちまちの展開だった。ダウ平均は550ポイント超上昇し、終値で史上最高値を更新したが、資金はハイテク株から伝統的ブルーチップ銘柄へと明確にシフトしている。NVIDIA株が約3%下落したことで、ナスダックは0.2%安で引けた」と述べた。
また、ADPが発表した10月の民間雇用統計(小非農)によると、民間部門の週間平均解雇者数は約1.1万人に達し、先週のチャレンジャー社の大量解雇報告と一致している。労働市場の弱さが鮮明になりつつあり、上院で予算案が可決されたことから、早ければ今週水曜にも下院で採決が行われる見通しだという。これにより、停滞していた経済データ、特に政府版の非農業部門雇用統計の発表が再開され、FRBが利上げ判断を行う上で「盲目飛行」を続ける必要はなくなるとの見方を示した。
ソフトバンクは「NVIDIA売却→OpenAI再投資」
王董大盤籌碼によると、ソフトバンクは58.3億ドルで保有するNVIDIA株をすべて売却し、その資金をOpenAIなどAI関連プロジェクトへの投資に充てる計画だという。この動きは市場に驚きを与えたが、「225億ドル規模のOpenAI出資やロボット関連買収案件の支払いに充てる意図がある」と同氏は分析。これらもすべてAI分野の事業であり、「AI業界を悲観しての売却ではない」と強調した。
一方で、この売却が「NVIDIA株が天井を打ったシグナルではないか」との懸念を生み、同社株は約3%下落。これに連動してAMD、ASML、Micron、Armなどの半導体関連株も軒並み下落した。また、AI関連企業のCoreWeaveが通期業績予想を下方修正したことも、AI関連銘柄の売りを加速させ、同社株は16%急落したという。
TSMCの成長鈍化も投資家心理を冷やす
王董大盤籌碼はさらに、台湾の半導体大手TSMC(台積電)が発表した10月の売上高が前年同月比16.9%増だったものの、昨年2月以来最も低い成長率となったと指摘。これを受けてTSMCのADRは1.3%下落した。
一部のウォール街アナリストは「テック大手は潤沢なキャッシュを持つが、株価バリュエーションが過熱しているため、わずかな悪材料でも資金流出を招く」と分析。これは先週のハイテク株調整と同じ構図だという。
米国テック株を代表するXLK ETFも前日比約1%下落し、AI関連セクター全体が短期的な売り圧力にさらされている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 蔡英文氏、台湾の抗戦力について語る:中国の武力侵攻を前に、台湾は犠牲になり得ない「1つの理由」 | 関連記事をもっと読む )
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