台湾の蕭美琴副総統は7日、林佳龍外交部長の同行のもと、ベルギー・ブリュッセルの欧州議会を訪問し、対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)の年次総会に招かれて出席、「激動の国際情勢における信頼できるパートナーとしての台湾」をテーマに演説を行った。一行は9日早朝に台湾へ帰国し、蕭氏は空港で短いコメントを述べた。外交関係者によれば、今回の訪問は台湾の副元首による非外交国訪問として前例のない突破となったほか、台湾と欧州の関係が新たな段階に入ったことを象徴するものだという。また、この重大な外交成果の背後には賴清徳総統の全面的な支持があり、準備過程では賴氏自身が会議を主宰し、台湾が欧州議会を通じて世界に発信できるよう後押ししたと明かした。
IPACの位置づけと台湾への重要性
IPACは2020年に設立され、現在は43カ国の議会および欧州議会、計290名の超党派議員が参加している。中国政策の監視と改革を目的とした国際連携組織で、米国務長官であり当時フロリダ州上院議員だったマルコ・ルビオ氏が共同創設者の一人である。IPACは台湾海峡の平和と安定にも関心を寄せており、中国が国連決議2758号を歪曲して解釈していると批判。昨年の台北での年次会合で可決された決議テンプレートは、各国議会の親台決議の基礎となり、台湾が中国の「法律戦」に対抗するための重要な国際パートナーとなっている。
外交官は、国際社会で中国が展開する認知戦および外交的圧力に対し、賴清徳総統が外交部に「チーム戦で臨み、精鋭を投入せよ」と指示し、さらに「機会があれば蔡英文前総統や陳建仁前副総統を元首経験者として国際会議に派遣するよう全力で調整せよ」と命じたと説明。林佳龍部長による一連の突破的な訪問や、蕭副総統の欧州議会での演説実現は、その戦略の結果だという。
「極秘任務」だった訪欧 蕭氏には許可が下りるまで知らせず
蕭氏の欧州議会演説は、IPAC欧州議会共同代表であるミリアム・レックスマン(Miriam Lexmann)議員とベルナール・ゲッタ(Bernard Guetta)議員の正式招待によるものだった。外交官によると、林佳龍部長が1カ月前にIPACから副元首を招待したい旨の情報を得ると、すぐに賴清徳総統へ報告。賴氏は強く支持し、外交部に「歴史的任務」として準備を指示した。
関係者は、今回の訪問が極めて機微に触れる案件であったため、全行程が最高レベルの秘密裏に進められたと証言。すべての調整が完了し、外交部・駐外機関の最終評価で「ゴーサイン」が出るまでは、蕭氏本人にも報告されなかったという。賴総統が出席する直前の最終準備会議までは、蕭氏自身も「オンライン演説」だと思っており、現地に赴くことを知らされたのは最終段階になってからだったという。 (関連記事: 台湾副総統・蕭美琴氏の欧州演説が波紋 「国民党と民衆党協力の最大リスク」と識者が分析した理由とは | 関連記事をもっと読む )
中国は事前に把握し欧州側へ抗議 台湾側は緊張の準備作業
中国駐EU使節団は、蕭氏がIPACに招かれたことに対し、4回にわたって激しい批判声明を発表し、欧州側へ厳重抗議した。外交官によると、台湾側は事前に中国の圧力を予想しており、準備期間中は林佳龍部長と賴清徳総統が密に連絡を取り、進捗を逐次報告。賴氏は「蕭美琴が欧州議会に入り、台湾の国際貢献を説明すること」を明確な目標として示した。



















































