日本の新首相・高市早苗氏が就任してわずか十数日だが、中国との間で台湾問題をめぐる摩擦が急速に強まっている。台湾危機論が日中関係に衝撃を与えたことに加え、中国の「戦狼外交官」と呼ばれる薛剣駐日大使の発言が米国・日本の外交界の強い注目を集めている。一連の動きから、今後の日中関係はこの世論の波の影響を受け、さらに大きな揺れが生じる可能性がある。
取材に応じた学者は、安倍晋三元首相がかつて「台湾有事は日本有事」と述べた際も大きな反発を引き起こしたが、当時は退任後の立場での発言であり、あくまで「重要政治人物の見解」にすぎなかったと指摘する。だが今回は、高市氏が現職首相として同様の趣旨を語り、台湾海峡での武力衝突に自衛隊が関与する可能性を示唆したことから、日本国内でも激しい論争を招いた。これに対し、中国駐日大使は強烈な反応を示している。
中国駐日大使の発言、米日の外交界で議論に
薛剣大使はSNSに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿。この過激な文言は瞬く間に中国のSNSで拡散し、多くの民族主義者が「痛快だ」と反応した。
日本政府の木原稔官房長官は7日の会見で、「このような発言は、大使という立場に極めてふさわしくない」と述べた。日本側は北京に抗議を行ったが、日本駐中国大使が呼び出されたとの情報は確認されていない。
また、この発言は米国駐日大使ジョージ・グラス氏の注意も引き、同氏はSNSで「再び本性が露呈した。ほんの数カ月前、中国の薛剣・駐大阪総領事はイスラエルをナチス・ドイツになぞらえたばかりだ。今度は、高市首相と日本国民を脅しにかかっている。中国政府は『良き隣人』を口癖のように繰り返すが、全く実態が伴っていない。いい加減に、その言葉通りの振る舞いを示すべきではないか。」と批判した。
日本の「存立危機事態」論は挑発か
日中の世論戦の焦点は、日本の安全保障法制における「存立危機事態」である。これは、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃を受け、日本の存立が明確に脅かされる状況を指し、自衛隊が集団的自衛権を行使できる条件の一つである。
11月7日、高市首相は就任後初の衆院予算委員会で台湾について問われ、「台湾海峡で武力衝突が発生した場合、『存立危機事態』と見なされる可能性がある」と述べた。立憲民主党の岡田克也議員が「どのような場合に台湾有事が日本の生存を脅かすのか」と質問した場面だった。
南京大学紫金メディア智庫研究員の燕志華氏は、これについて「トランプ氏の『視察』による日韓訪問の直接または間接の結果だ」と指摘する。特に、トランプ氏と高市氏の「親密な笑顔」ばかりがメディアの注目を集め、両首脳会談が日本の政策に与える影響についての深い分析が欠けていたと述べ、「高市氏の言動は、トランプ氏の東アジア訪問の余波と見なせる」と語った。 (関連記事: 習近平氏「台湾」言及なし トランプ氏「米中関係は良くなる」と明言、台湾海峡リスクは低下するか? | 関連記事をもっと読む )
中国外交部の強硬な声明内容を踏まえると、北京が今後、日本に制裁的措置を取る可能性が高いとされる。




















































