北京観察》中国共産党4中全会開幕 「第15次5カ年計画」と人事刷新 習近平氏の次の一歩は?

2025年、中国人民、北京天安門前にて。中国共産党は京西賓館で第20回4中全会を開催中。(AP通信)
2025年、中国人民、北京天安門前にて。中国共産党は京西賓館で第20回4中全会を開催中。(AP通信)
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中国共産党4中全会が20日に北京で開幕し、3日間にわたって議論が行われる。中国共産党の慣例に従い、会議の詳細は全会終了まで公表されないが、今回は「第十五次五カ年計画」と「人事調整」が主な議題となっている。この計画は今後5年間の中国経済の発展に重要な影響を与えるとされ、特に「国内外経済の二重循環」の強化と、米国の関税措置に対する警戒が強調されている。

4中全会の開幕と同時に、中国のA株市場は全体的に上昇し、上海総合指数は3866.09ポイント、深セン成分指数は12863.53ポイントで取引を終えた。

会議では、党の権威を維持することが社会の統治と経済発展の中心的課題とされている。

新華社の社説では習近平中心の体制が強調されており、これは「軍中の腐敗対策」と「官界の粛清」を経て得た政治的安定を維持し続ける姿勢を反映している。解放軍報では、会議前に失脚した9名の上将についても言及され、単に「誤った立場を取った」のではなく、党の指導権を深刻に破壊したとされている。その中で、「党が指揮する銃の原則を破壊し、全基層兵士に影響を与えた」と警告している。

社説の中で最も重要な言葉は「中国をうまく行うためには、党が鍵である」というものであり、これは中共四中全会の核心にあたる。また、度重なる官界の粛清運動の後、基層の党政権力が弱まり、政策が地方に届かない問題が浮上していることを示唆している。

基層をうまく管理できないことが上級政府にとって最大の懸念事項となっており、社説には「党の自己改革が社会革命を導き、恒久的に厳格な党の統治を推進する」と記され、今後さらに「反腐敗」を名目にした官界改革運動が激化することが予想されている。

中共十八届四中全会は「憲法に基づく国の治め方」と「憲法に基づく行政」を強調するが、本当に憲法を愛するわけではない。(ネットより)
中国共産党第20回4中全会は「第15次5カ年計画」草案の審議に焦点を当てており、これは中国経済発展の重要なリスクを解決するための鍵となる。(ネットより)

経済の下振れを打開するための鍵とは?

また、4中全会では「第15次5カ年計画」草案が重要な議題となっており、これは中国経済の発展における大きなリスクを解決するための鍵となる。社説では、「発展環境は深く複雑に変化し、戦略的な機会とリスクが共存しており、不確実で予測できない要因が増えている」と指摘されており、これは現在の中国経済が直面している深刻な下振れトレンドを間接的に認めるものである。

中国の国家統計局が発表したデータによると、第3四半期のGDP成長率は昨年から最も低いペースに鈍化し、経済成長率は4.8%となった。しかし、追加の刺激策が効を奏し、今年の中国経済成長率は5%近くで維持できるとの見通しが立っている。中国の有名な財経ブロガー「宏観辺界」は、「今年は第14次5カ年計画の最終年で、4.9%に達しても、長期的には予想以上の成果である。だが、来年の第15次5カ年計画の初年度で目標が5%に設定され続けるなら、来年5%を超えることは政治的に重要だ」と述べている。

宏観辺界はさらに、「今年のマクロ政策は現状維持が基本であり、次に注目すべきは来年に向けた接続である。仮に今年5%の目標が達成できなくても、年末(12月)には来年に繋がる政策が発表される可能性が高い」と指摘している。

最近の対米輸出データによれば、中国の外貿市場は米国への依存から徐々に脱却しており、今年の中国の対米輸出は前年同期比で27%減少したが、欧州連合向けの輸出は14%増加している。また、一部の民間企業は市場の焦点を東南アジアや台湾市場に向けている。

さらに、「汎国家安全化」の進展により、中国社会の安定維持がますます重要になっていることが示されている。今年の中国人民大会で発表された公共安防支出のデータは、安定維持の重要性が今後も長期間にわたり大きな課題となることを示唆している。新華社の社説でも「発展と安全の両立を堅持する」と強調され、これは現在の中国社会が抱える政治的安定への懸念と深く関わっている。

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編集:田中佳奈

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