舞台裏》高市早苗氏が初の女性首相就任、維新と連立で始動 林佳龍氏と極秘会談も、対台湾は「安倍路線」継承か?

2025-10-21 12:25
自民党総裁の高市早苗氏(写真)は「自公連立」の解体という混乱を乗り越え、最終的には新政権の発足に成功し、首相官邸に入った。(写真/AP通信提供)
自民党総裁の高市早苗氏(写真)は「自公連立」の解体という混乱を乗り越え、最終的には新政権の発足に成功し、首相官邸に入った。(写真/AP通信提供)
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日本自民党の第29代総裁に就任した高市早苗氏は、3度目の挑戦でついに党のトップに上り詰めた。26年にわたって続いた自公連立は公明党の離脱によって終止符を打ったものの、自民党はわずか1週間足らずの集中協議を経て、国会第3党である日本維新の会との連立に成功。これにより、高市氏は念願の首相官邸入りを果たした。

安倍晋三元首相を「政治の師」と仰ぐ高市氏は、首相就任の半年前に台湾を訪問。さらに3か月前には極秘に来日した台湾の外交部長・林佳龍氏とも会談している。高市氏はかねてから台湾に親しい政治家として知られ、今回タッグを組んだ日本維新の会も「台湾支持の姿勢は変えない」と明言してきた。高市政権の誕生は、果たして台日関係をさらに前進させることができるのだろうか。

2025年10月4日、高市早苗が自民党総裁選で勝利した(美聯社)
日本は最近、参議院選挙と自由民主党総裁選を経て、政局が大きく動いた。石破茂前首相(左)が退陣し、高市早苗氏(右)が後任として政権を引き継いだ。(写真/AP通信提供)

日本初の女性首相・高市早苗 安倍の遺志を継ぎ台湾支援を表明

東京都霞が関西側の永田町にある首相官邸に入った高市氏は、石破茂氏の後を継いで日本初の女性首相となった。外相や防衛相などの閣僚人事を発表したが、その政策の全容はまだ見えていない。

注目すべきは、高市氏が自民党史上初の女性総裁であり、同党政策責任者である政務調査会長も務めた初の女性政治家である点だ。政調会は政策立案や審議を担う自民党の中枢組織であり、高市氏は岸田文雄政権下で政調会長として「台湾など普遍的価値を共有するパートナーとの連携強化」や「台湾のCPTPP加盟支持、WHAへのオブザーバー参加を歓迎する」など、台湾を明確に支援する政策を公約に盛り込んだ。

また、高市氏は政調会長時代、「安倍晋三氏の遺志を確実に継ぎ、台湾との関係をさらに強固にする」と公言。友好関係のみならず、政策面での協力を深めることで相互の安全保障を高める必要があると訴えた。

自民党総裁選の期間中には、米国のシンクタンク「ハドソン研究所(Hudson Institute)」からの質問に対し、「台湾海峡の平和と安定は日本にとって極めて重要」と明言。中国の指導者とは「率直で現実的な対話」を望むとし、「台湾問題を武力や威圧によって一方的に変えることは断じて許されない」と強調した。その上で「台湾は日本にとってかけがえのない友人であり、基本的価値を共有する重要なパートナーだ」と改めて語った。

日本首相安倍晋三(美聯社)
高市早苗氏は「安倍晋三氏(写真)の遺志を継承する」と強調しています。(写真/AP通信提供)

維新との連立で新局面 高市政権は台湾に新たなチャンスとなるか

26年間続いた自公連立が崩壊したことで日本政界は一時的に混乱したが、自民党が日本維新の会と手を組んだことで、新たな政権が誕生した。この新体制は台湾にとっても新しいチャンスになり得る。 (関連記事: 「自公連立」ついに終焉 自民×維新が「閣外協力」で新時代へ 高市政権誕生の舞台裏 関連記事をもっと読む

安保政策で穏健路線を取る公明党に対し、日本維新の会は防衛力強化を重視する姿勢が自民党に近い。台湾外交部によると、2021年に日本の参議院が「WHOにおける台湾問題の処理」を求める決議を全会一致で採択したことが象徴するように、台湾への支持は日本国内で超党派の共通認識となっているが、各党の「台湾支持度」には微妙な温度差があるという。

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