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台湾人が日本地方創生の推進力に――民進党立法委員・陳冠廷氏「三方に利益をもたらす新しい国際協力」 民進党の陳冠廷立法委員(民進党青年局長)は19日、青年局幹部と30余名を率い、自民党青年局海外研修団と歴史的な大規模交流会議を実施。(写真/陳冠廷事務所提供)
日台観光が盛り上がるなか、日本各地に根を下ろし、地方創生の担い手となる台湾人が増えている。民進党の立法委員・陳冠廷氏は《風傳媒》の取材に対し、日本の地方創生における台湾人の役割について「日本の地方、台湾の人材、そして日台関係の三者にとって“ウィンウィン”の構図だ」と強調した。
民進党の陳冠廷・立法委員(民進党青年局長)、自民党青年局海外研修団との歴史的な大規模交流の現場。(写真/陳冠廷事務所提供) 陳氏はまず、2014年に始まった日本の地方創生政策を背景として挙げる。東京一極集中の影響で多くの地域が人口減少や高齢化に直面し、外部人材と新しい発想を必要としていたという。そのうえで台湾人が受け入れられやすい理由として、第一に歴史的な結びつきを指摘。嘉南大圳を築いた八田與一の功績や、東日本大震災時の台湾からの支援は、日本の地域社会に強い信頼感をもたらしていると述べた。
民進党と自民党による「日台外交・防衛政策」2+2会談および拡大政策協議の会見。中央=陳冠廷、右=郭國文、左=王正旭。(写真/顏麟宇撮影) 第二に、文化理解の優位性を挙げる。「台湾人は幼少期から日本のアニメやドラマに親しんでおり、日本文化に自然に溶け込みやすい一方、新たな視点も提供できる」。さらに第三の要素として「地域おこし協力隊」の存在を紹介。最大3年間の給与補助があり、外国人も参加可能なこの制度は、台湾の若者にとって地方生活を体験する大きな機会になっているという。
立法院本会議で質疑に立つ陳冠廷・立法委員。(写真/蔡親傑撮影) 具体例としては、嘉義県長の翁章梁氏が千葉県を訪れ、廃校活用の取り組みを学んだケース、日本の飛騨市と嘉義・新港の高校生交流、阿里山コーヒーを縁に日本人起業家が台湾へ移住し、そのブランドを京都で広めた事例などを挙げた。陳氏は「日台関係は一方向の学びにとどまらず、相互に刺激し合い、新しい価値を共創する段階に入った」と指摘。さらに「日本には約8,000人の協力隊員がいるが、その中に多くの台湾人が含まれ、任期後も現地で起業・就業を選ぶ人が増えている」と説明したうえで、「この流れは続く。地域と地域を結ぶ制度的な連携へ発展すれば、さらに大きな効果を生む」と展望した。
自民党青年局長・中曾根康隆(左)、民進党青年局長・陳冠廷(右)を表敬。(写真/顏麟宇撮影) 一方、観光分野でも日台交流は新局面を迎えている。2025年6月2日、首相・石破茂氏の地元である鳥取で開かれた「2025日台観光サミット in 鳥取」では、日本政府観光局(JNTO)の伊與田美歴理事が報告。2024年の訪日客数は過去最多の3,687万人、うち台湾からは604万人と史上最多を更新したと発表した。台北・高雄・台中と日本25都市を結ぶ直行便は週656便に達し、とりわけ5月29日に新設された「鳥取米子-桃園」便が注目を集めているという。
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「2025年日台観光サミット in 鳥取」。(写真/黃信維撮影) また、台湾人旅行者の特徴として約8割がリピーターで、4人に1人は10回以上の訪日経験を持つ点を指摘。その結果、地方での宿泊需要への寄与が極めて大きく、2024年の台湾人による地方宿泊数は868万人泊で、外国市場の中で第1位となった。宮崎や新潟では宿泊数が倍増し、直行便の復便が地方観光の成長を直接後押ししている。
日台観光サミットの会場風景。(写真/黃信維撮影) 一方で、急速な需要回復は「オーバーツーリズム」への懸念も伴う。日本の観光庁は高付加価値体験や限定イベントの推進など、観光の質を高める取り組みを進めている。台湾市場に向けては、特色ある体験や四季の美食をテーマに、直行便就航都市と連動した地域プロモーションを強化していく方針だ。
編集:田中佳奈 更多新聞請搜尋🔍風傳媒
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