TEC台湾エクソソーム株式会社、トヨタ・ホールディングスと提携 世界の再生医療市場を狙う

2025-10-16 16:28
台湾エクソソーム株式会社とトヨタホールディングス株式会社が共同で「日本エクソソーム株式会社」を設立し、国際戦略的パートナーシップを正式に開始。(写真/台湾エクソソーム提供)
台湾エクソソーム株式会社とトヨタホールディングス株式会社が共同で「日本エクソソーム株式会社」を設立し、国際戦略的パートナーシップを正式に開始。(写真/台湾エクソソーム提供)
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世界のバイオ産業は「目に見えるブレークスルーの波」に入った。エクソソーム技術は「次のAI産業」とも称され、医療のイノベーションを押し広げると同時に、資本市場の熱狂も呼び込んでいる。台湾のTECエクソソーム株式会社(以下、TEC)は、老舗コングロマリットのトヨタ・ホールディングス株式会社(中国語表記:トヨタ控股公司)と共同で「日本エクソソーム株式会社」を設立し、国際的な戦略パートナーシップを本格始動させた。台湾の技術革新、日本の製造力、世界の流通網を束ねた“アジア発の新バイオ連合”として、再生医療産業の勢力図を塗り替えることが期待される。

国際調査では、世界のエクソソーム市場は2024年に45.8億ドル(約6,800億円)、2034年には241億ドル(約3兆5,700億円)規模へ拡大し、年平均成長率(CAGR)は18.3%と予測。市場分析各社は、エクソソームを「AIに続く」投資妙味の高い新興分野と位置づける。再生医療では、エクソソームとNK細胞治療が「二大エンジン」として並走し、国際資金の流入が加速している。

TECは、臨床グレードの「非遺伝子編集・汎用型」NK細胞製造プラットフォームを保有。世界で同様の能力を持つ企業は現在6社とされ、TECはその中で最新の認証取得企業だ。研究チームは10年以上の細胞プロセス開発の実績を持ち、差別化された技術と臨床トランスレーションの力で、海外のバイオ系ファンドからも注目されている。さらにTECは、台湾で初めて衛生福利部FDA(台湾当局)認証を得たNK細胞製造工場を擁し、「免疫細胞製剤」「エクソソームR&D」「産学医による臨床検証」という三つの製造・開発ラインを強みに、がん・自己免疫・神経変性・アンチエイジングなど幅広い臨床領域で、先端バイオの開発力を示してきた。

台日攜手啟動再生醫學新紀元,要將台灣優越的外泌體生醫技術推展至全世界。(圖/ 台灣外泌體公司提供)
台日共同で再生医療の新しい時代をスタートさせ、台湾の優れたエクソソームバイオテクノロジーを世界に広げる。(写真提供/台湾エクソソーム会社)

TEC洪奇昌会長「台湾はアジアのバイオ医療イノベーションを牽引する中核」

TECの洪奇昌会長は「2025年は世界のバイオ・ヘルスケア産業の転換点。エクソソーム、免疫細胞、再生医療技術は、臨床応用の新たな戦場であると同時に、資本市場が競って進出する“黄金ゾーン”だ」と指摘。「台湾は政策支援、R&D、国際協力に優位性があり、生産基地から“アジア生医イノベーションの中核エンジン”へ進化している。今回の日台アライアンスは単なる企業間の強強連合ではなく、台湾が国際バイオ資本の舞台で主導権を握る一歩だ」と語る。

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「日本エクソソーム株式会社」は2025年7月9日に日本での登記を完了。今後は現地市場の開拓を進め、医療機関向けに臨床グレードの細胞製品やヘルス応用の提供を予定する。日台で再生医療の新章を切り開くこの取り組みは、技術交流にとどまらず、「研究開発—製造—臨床—流通」を一気通貫で束ねる戦略同盟だ。今後は日本をハブに、欧州・東南アジアへ展開を広げ、台湾発のエクソソーム・バイオテクノロジーを世界市場へ届ける構えである。

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