日本の静かな革命:400万人の「新日本人」が支える経済 自民党は「中年世代」への政策転換へ

2025-10-14 12:00
2025年10月4日、日本自民党は総裁選挙を実施し、最終的に高市早苗氏が二回目の投票で小泉進次郎氏を破り勝利した。(写真/AP通信提供)
2025年10月4日、日本自民党は総裁選挙を実施し、最終的に高市早苗氏が二回目の投票で小泉進次郎氏を破り勝利した。(写真/AP通信提供)
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2025年の秋、自民党の大物たちは総裁の座をめぐる争いを終えたばかりだった。世間の関心は、「初の女性総裁」と「最年少総裁」のどちらが先に日本政治の現実となるのか、そして「次期首相」が少数与党という逆風をどう乗り越え、内外の課題や難題を解決していくのかに集まっていた。だが、この五者が一つの椅子を争った総裁選では、候補者たちがそろって「失われた世代」と呼ばれる労働人口に焦点を当てた一方で、単一民族国家として知られてきたこの島国に前例のない速度で移民労働者が流入し、地方の農地から都市部の介護まで、労働力の空白を埋めている。

表面的には並行して見えるものの、実際には深く絡み合うこの二つの潮流は、日本の将来のアイデンティティをめぐる静かな革命を同時に形づくっている。一方では政治が中産階級に対する覚醒と迎合を示し、他方では経済が「新日本人」への不可逆的な依存を強め、そこに伴う社会的痛みと融合の課題が横たわる。

シルバー民主主義の黄昏?自民党の「中年の覚醒」

「労働世代が本当に『努力が報われる』と実感できる日本をつくる!」――前経済安全保障担当相の小林鷹之は9月22日の合同会見でこう力強く訴え、2025年の日本政界における核心的変化を的確に言い表した。

長らく日本政治は、いわゆる「シルバー民主主義(シルバーデモクラシー)」に支配されてきた――政治家は投票率の高い高齢層を優先し、政策もその方向に傾く。しかし、2025年7月の参議院選挙は、自民党に痛烈な一撃を与えた。結果は、労働年齢層の有権者が大規模に自民党を離れ、消費税減税を掲げた野党に票を投じたことを示した。自民党の現金給付策は、彼らの目には非現実的で、どこか侮蔑的にさえ映った。

『日本経済新聞』が引用した選後の検討報告は、「共働き世帯への対応が皆無」「自民党は高齢者を優先し、若い世代を見捨てた」との声を伝える。さらに同報告は、この「シルバー民主主義」というレッテルこそが支持離れと他党への票流出を招いた決定的要因だと率直に認めた。

まるで長い夢から覚めたように、与党はようやく現実を直視した。この石破茂氏の後継を決める総裁選で、候補者5人――小泉進次郎氏、林芳正、茂木敏充、小林鷹之、高市早苗はいずれも政策の重心を中産階級と労働世代に移し、「中年世代へのアピール」を競う政策軍拡を繰り広げた。平均年収を100万円引き上げる(小泉進次郎)、毎年1%の実質賃金成長を常態化させる(林芳正)、3年で賃金10%増(茂木敏充)、具体的数値を掲げない小林鷹之と高市早苗も、可処分所得の拡大を中核公約に据え、所得税法の見直しで実現する計画を示した。 (関連記事: 独占インタビュー》高市早苗氏、極右派ではなく戦略的保守派として米国との互恵関係重視 関連記事をもっと読む

さらに、各種の税制改革や減税案の提示、さらには野党の「消費税10%引き下げ」提案を検討・議論する可能性までが、有権者の支持獲得に向けた争点となった。しかし、減税と歳出拡大の約束は日本国債利回りを直近で史上最高水準に押し上げ、ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ステファン・アングリックは「誰が勝っても結果は大差ない。政府は財政ブレーキを緩め、家計の生活コスト圧力を和らげる方向へ向かう」と指摘する。

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