第62回金馬奨のノミネート作品が発表され、金馬創投の【台北文創劇作賞】受賞作が合計8部門で候補入りした。このうち、2020年の受賞作『深度安靜(Deep Quiet Room)』は、「最優秀新人監督賞」「最優秀脚色賞」「最優秀主演女優賞」「最優秀主演男優賞」「最優秀助演男優賞」など、主要7部門にノミネート。また、2024年の受賞作『失明(Blind Love)』も「最優秀新人俳優賞」にノミネートされた。
台北文創劇作賞、華語映画の創作を支える「伴走者」
台北文創の劉麗惠総経理は、2014年に企業系基金として初めて脚本家育成支援を開始し、金馬創投会議内に「台北文創劇作賞」を設立した背景について次のように語る。
「私たちは、具体的な支援を通じて華語映画の制作を後押ししたいと考えています。これまでの受賞作は業界から常に高い期待を寄せられており、『深度安靜』『失明』が本年度の金馬奨で多数ノミネートされたことは、映画チームへの最大の賛辞です。台北文創は“伴走者”のような存在として、華語映画が全力で走るその道のりを共にしてきました。今後も脚本創作の支援に注力し、より多くの優れた物語を発掘していきたいと思います。」

25年のキャリアを経て初の長編映画へ 沈可尚監督が「最優秀新人監督賞」に挑む
『深度安靜』は、沈可尚監督にとって初の長編劇映画である。同作は2020年、まだ脚本開発段階にあった時期に金馬創投会議へ選出され、「台北文創劇作賞」を受賞。授賞式で金馬執行委員会の聞天祥執行長は「私たちが最も長く待ち続けた新人監督です」とユーモアを交えて紹介したという。
「長編映画を完成させるには、数多くの縁と幸運が必要です。金馬奨7部門ノミネートの知らせを聞いて、まず思ったのは支えてくれた全ての仲間への感謝でした。今回の結果は、映画を心から愛する人々が全力で作り上げた結晶であり、チーム全員を誇りに思います。」と沈監督は語る。
『深度安靜』は、台湾・イタリア・ポーランド・ニュージーランドの国際チームが5年をかけて共同制作した作品。沈監督は「最優秀新人監督賞」にノミネートされ、主演の林依晨(アリエル・リン)が「最優秀主演女優賞」、張孝全(ジョセフ・チャン)が「最優秀主演男優賞」、金士傑(チン・シーチェ)が「最優秀助演男優賞」にそれぞれノミネートされた。また、沈監督と脚本の陸欣芷(ルー・シンジー)が「最優秀脚色賞」に、撮影の陳大璞(チェン・ダープー)と美術の蔡珮玲(ツァイ・ペイリン)も各部門でノミネートを果たしている。

林依晨、22年ぶりに金馬ノミネート 初のプロデュース作『失明』も話題に
『深度安靜』は、妻を亡くした夫が真相を追ううちに、家族のさらなる痛みと向き合う物語。林依晨、張孝全、金士傑という三人の実力派俳優が繊細に演じることで、現代社会における家族の葛藤や心理的な圧力がリアルに描かれる。 (関連記事: 2025年ノーベル文学賞》村上春樹氏はまたも受賞逃す、ハンガリーの小説家ラースロー・クラスナホルカイ氏が栄冠に 反ユートピアと憂鬱な世界 | 関連記事をもっと読む )
22年ぶりの金馬奨ノミネートとなった林依晨は、「前回のノミネートから長い時間が経ちました。この間の経験が私を成長させてくれたことに心から感謝しています」と語り、喜びを隠せなかった。























































