台海分析》鄭麗文氏、国民党主席選のダークホースに浮上 北京が注目する「好意2点と懸念1点」

2025-10-09 15:41
中国側は鄭麗文氏を「2つの好意的要素」として注目している。まず、国民党の世代交代を促す可能性があること、さらに九二コンセンサスを受け入れる姿勢を示すことで、国共間の高官交流再開の機会を得る可能性がある。(写真/柯承惠撮影)
中国側は鄭麗文氏を「2つの好意的要素」として注目している。まず、国民党の世代交代を促す可能性があること、さらに九二コンセンサスを受け入れる姿勢を示すことで、国共間の高官交流再開の機会を得る可能性がある。(写真/柯承惠撮影)
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台湾では、2025年国民党主席選挙が10月18日に投票が行われる。元国民党籍立法委員の鄭麗文氏が内部党員調査で急上昇し、30%の支持率を獲得して元台北市長の郝龍斌の17%を上回った。鄭麗文は党内でダークホースとして注目され、さらに「紅統派」としての動きも指摘されている。『風傳媒』によると、中国本土は鄭麗文に対して「2つの好意」を抱きつつ、「1つの懸念」も持っているという。

鄭麗文、国民党主席選のダークホースに

今回の国民党主席選挙では、元台北市長の郝龍斌氏が最有力候補とされ、党内「戦闘藍」のリーダーとして元中廣会長の趙少康の支持も得ている。また、現主席の朱立倫も郝との間で一定の合意があり、主席のバトンを郝に譲る可能性が高いと見られている。そのため、郝龍斌が順当に当選し、再び党のトップに立つと予想されていた。

しかし選挙情勢は変化している。党内で「世代交代」を求める声が高まり、鄭麗文の支持が急上昇している。10月2日の党員調査では、鄭が30%で郝の17.4%を大きく上回り、国民党籍の羅智強が16.3%で3位につけた。また、『ETtoday東森新聞雲』が10月3日に発表した別の調査では、鄭が44.5%の支持を獲得し、郝の18.9%を大きく上回った。羅は26.6%で郝を上回り、党内情勢は予断を許さない状況となっている。

20251005-国民党主席候補者卓伯源(左起)、鄭麗文、国民党秘書長黄健庭、国民党主席候補者蔡志弘、国民党主席候補者張亞中10月5日出席テレビ政策説明会。(柯承惠攝)
国民党主席候補者の卓伯源氏(左から)、鄭麗文氏、国民党秘書長の黄健庭氏、主席候補の蔡志弘氏、張亞中氏が10月5日にテレビ政策説明会に出席。(写真/柯承惠撮影)

党内選挙経験者の国民党関係者は『風傳媒』に、自身の見解を語った。外部調査のデータは多く存在するが、過去の選挙事例を踏まえると、今回の改選は郝龍斌氏と鄭麗文氏の一騎打ちと見られる。郝氏は朱立倫氏の支持を受けており、2021年の朱氏党主席選挙での派閥票やシステム票はすべて郝氏に集まった。郝氏は伝統的な「陸戦隊」的戦術を支柱としている。一方、鄭氏と羅智強氏は「空戦」に強く、両者は「空軍」の流浪票を争う構図になる。簡単に言えば、鄭氏と羅氏が差を広げなければ、棄権票が発生せず、陸戦隊に集中する郝氏が当選する可能性が高い。

この関係者はさらに投票を試算した。2021年の国民党主席選挙の規模は今回と同等で、延べ投票数は18万票。その中で朱立倫氏が8.5万票、孫文学校総校長の張亞中氏が6万票、元党主席江啓臣氏が3.5万票を獲得した。朱氏の8.5万票のうち、5万~6万票がシステム票や派閥票、残り2万~3万票が流浪票であった。張亞中氏の6万票はほぼ全て流浪票、江啓臣氏は流浪票とシステム票が半々であった。

この分析によれば、朱立倫氏の2021年のシステム票6万票が郝龍斌氏の基盤であり、郝氏は流浪票に対する魅力が限られている。残りの約10万票は鄭麗文氏と羅智強氏が争う構図だ。もし両者が五分五分で戦えば、郝氏はシステム票の基盤で勝利できるが、現状では鄭氏が羅氏を大きくリードしており、最終的に「羅を棄て鄭を保つ」現象が起こる可能性が高いとされる。鄭氏は今回の党主席選挙で大きなダークホースとして浮上しており、彼女と郝氏の勝敗はまだ予断を許さない。

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