高市早苗氏、靖国参拝を見送りへ調整 首相就任目前で見せた「穏健転換」の背景とは

2025-10-09 10:40
2014年8月15日、高市早苗は第二次世界大戦終結69周年の日に靖国神社を参拝し、戦没者を追悼する。(写真/AP通信提供)
2014年8月15日、高市早苗は第二次世界大戦終結69周年の日に靖国神社を参拝し、戦没者を追悼する。(写真/AP通信提供)
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自民党総裁に当選した記者会見で「適切な時期に判断する」といった曖昧な表現で、靖国神社参拝の質問を避けた日本の次期首相候補、高市早苗氏。しかし、わずか三日後、保守派支持者を失望させ、東アジアの国際情勢を懸念する者にとっては歓迎すべき答えが示された。7日、複数の日本の政治関係者がメディアに対し、高市氏が「今月17日から始まる靖国神社秋季例大祭には参拝しないことを慎重に検討している」と明らかにした。

石破茂氏が早期に辞任を決定した後、高市早苗氏は4日に小泉進次郎氏との総裁選挙対決で逆転勝利を収めた。国際的な関心は、高市氏が「アベノミクス」の看板を再び掲げるかどうかにとどまらず、この保守派の鉄壁の女性政治家が首相に就任後、靖国神社を参拝し、日韓関係改善の好機を台無しにするのではないか、さらにはソウルでのAPEC首脳会議で習近平と会う貴重な機会を潰してしまうのではないかという点にまで及んでいる。ワシントンのシンクタンクは「強硬な保守派の小さな枠を超えなければ、首相として安定した道を歩むことはできない」と公開で助言しており、複数の日本メディアによると、高市早苗氏はその助言を受け入れたようだ。

2025年10月4日、高市早苗が自民党総裁選に勝利。(美聯社)
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選に勝利。(写真/AP通信提供)

高市氏本人はまだ正式にこの件について発表していないが、メディアを通じて示された風向きは、高市氏が「靖国神社参拝」を個人の政治的象徴としてきた強硬派の女王が、実際に権力の頂点に立ち、国家機構の舵を握る立場になった際、過去に最も軽蔑していた「政治的現実」や「外交圧力」に屈する可能性があることを意味している。これは単なる参拝の是非にとどまらず、「高市路線」に対する初めての重大な試練である。日本のメディア『朝日新聞』や『日本経済新聞』は、高市早苗氏がこれまで強硬保守派として知られていたが、今回「穏健保守派」として自民党総裁の座を勝ち取った点に注目している。結局、トランプが主導する混乱の時代において、日本には外交上の緊張を生み出す余地や余裕がないという現実がある。

高市早苗氏の「靖国史観」を解説

『日経新聞』は6日、高市早苗氏の外交政策における強硬な立場を詳細に振り返り、高市氏が何度も日本政府に対して「自虐史観」を持つべきではないと批判し、これにより保守派の有権者から支持を得ていると報じた。しかし、今回の総裁選では高市氏は自らの発言を控えめにし、党内で広範な支持を集めている。『日経』は、もし高市氏が過去のように保守派的な強硬な発言を繰り返せば、外交問題が高市政権の大きな課題になる恐れがあると指摘している。

実際、高市氏がまだ新人議員だった頃、当時の村山富市首相が行った植民地支配、侵略戦争、慰安婦問題に対する謝罪について不満を表明し、「なぜ私たちを代表して勝手に謝罪するのか」と怒りをあらわにしたことがある。さらに、高市氏は戦後世代として「反省する必要は全くない」とも語った。また、右派の政治雑誌『正論』に寄稿し、村山内閣の立場について「もしこのような愚かな見解を続けるなら、日本の後代を『犯罪国家の市民』として扱うことになる」と宣言したこともある。

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