「女性版安倍」 高市早苗氏が自民党総裁に 対中強硬路線で北京反発、日中関係は悪化するのか

2025-10-06 17:43
自民党総裁に選出された高市早苗氏。日本初の女性首相誕生へ。(AP通信)
自民党総裁に選出された高市早苗氏。日本初の女性首相誕生へ。(AP通信)
目次

日本自民党は10月4日に総裁選を実施し、前経済安全保障担当相の高市早苗氏が決選投票で農林水産相の小泉進次郎氏を破り、第29代総裁に選ばれた。新首相としては15日の臨時国会で指名される見通しで、順当にいけば日本の憲政史上初の女性首相が誕生する。

このニュースが伝わると、中国の微博や百度の検索ランキングで「高市早苗」の名前が急浮上。複数の中国メディアが相次いで特集や人物評を掲げ、彼女を一斉に「女版安倍」と形容した。右派・保守の政治家として対中強硬策を支持してきた経歴を踏まえ、日中関係が再び緊張しかねないとの論調が広がっている。

中国メディアは「女版安倍」と批判 世論はネガティブ一色

中国国営「央視新聞」は、高市氏を安倍政権期にたびたび入閣した「保守派の星」と位置づける。長年にわたり憲法改正と防衛費の増額を主張し、「国家情報局」の設置を提案した経緯もあると紹介。近年は安倍氏の路線を継ぐ「早苗経済学」を推進してきたとも伝えた。

高市氏は2021年9月、当時の台湾総統・蔡英文氏とビデオ対談を実施。同月のインタビューでは「蔡英文は憧れの女性」と語り、理想像として英初の女性首相サッチャー氏を挙げた。9月19日の出馬会見では「台湾有事は日本有事」と強調。安倍氏の銃撃死亡後には、その遺志を継いで台日関係をさらに強化すると表明している。

また高市氏は靖国神社への参拝を重ねるなどナショナリズム色の濃い立場で、戦後憲法の改正に賛成。日本と台湾の「準安全同盟」的な関係構築も唱えてきた。米国との関係では、トランプ大統領が10月27~29日に訪日し、31日の韓国・APEC首脳会議前に日米首脳会談を行う方向で調整が進むとされ、ロイターによれば高市氏はトランプ氏との間で成立した日米投資協定の見直しを提起しているという。

一方、こうした右派的傾向は党内の穏健派に警戒感も呼ぶ。8月15日の靖国参拝を受け、岸田文雄前首相が「タリバン高市」と皮肉ったとされる批判も取り沙汰された。中国のネット世論では「就任すれば日本は軍国主義の旧道へ」「戦争を待ちきれないのか」など過激なコメントが相次いだ。

日本内閣改造、首相安倍晋三(前列左)副首相麻生太郎(前列右)総務相高市早苗(後列左)オリンピック相丸川珠代(後列左)防衛相稲田朋美と集合写真(AP通信)
内閣改造時の記念撮影。前列左から安倍晋三首相、麻生太郎副総理。後列は高市早苗総務相、丸川珠代五輪相、稲田朋美防衛相。(AP通信)

中国側専門家の警鐘――日中は新たな試練へ

中国共産党機関紙『環球時報』は、中国国際問題研究院アジア太平洋研究所の特命研究員・項昊宇氏の見解を引用。高市氏の対中姿勢は「強硬かつ排外的」で、憲法改正、軍備拡張、対米軍事協力の強化を主張していると指摘した。これが実行に移れば、日本国内の政治的分断を深め、韓国など周辺国との摩擦も増す恐れがあるという。

もっとも項氏は、高市氏が実際に政権運営にあたる場合、現実や党内事情の制約を受けるとも分析。自民党と公明党は国会で過半を喪失しており、政権維持には「三党連立」や政策妥協の模索が不可避で、外交ではより実利的で柔軟な対応へ傾く可能性があるとみる。

日本側研究者の見立て――対中・対米の二正面が試金石

最新ニュース
舞台裏》台海の平和は安倍氏の功績か 頼清徳氏が明かす政大「安倍晋三研究センター」の資金源
「台湾はトランプ氏を失った」論が拡大 日経アジア報道:趙怡翔氏が極秘訪米しトランプ陣営と接触 民進党は米台の溝修復を急ぐのか
親台の「鉄の女」 高市早苗氏が自民党総裁に選出 学者「試練はこれから」――鍵は対中姿勢
夏一新氏の見解:立法院団訪日と安倍研究センター――国民党と民進党の対日外交対決
米中交渉に「台湾カード」 習近平が1兆ドル規模の巨額投資でワシントンのレッドラインに迫る 米国議会強硬派、強烈な警告
無人機がロシアの石油供給を遮断 燃料不足とインフレ直撃、プーチンの巨額戦費モデルに限界
「ちいかわぽけっと」ハーフアニバーサリー 記念ポップアップが東京・名古屋・大阪で開催中
ガーディアン紙が警鐘「トランプ2.0時代」は『愚かさの制度化』が進行中 AI全盛でも試されるのは人間の想像力
テック人材争奪戦》米H-1B費用増観測で魅力後退、中国「Kビザ」不透明で失業若者反発
JR東日本クロスステーション、原宿で「なんでもいきもの」スタンプラリーを開催
台湾の果物が日本で大人気!輸出はほぼ独占状態、学校の給食でも使用されるほど、「ファンレベル」の支持を受ける
YOASOBI、新曲「劇上」で三谷幸喜ドラマ主題歌を担当 Ayaseが初のボーカル挑戦 結成6周年生配信も開催
外国人材受け入れ拡大へ 毛受敏浩氏が課題と展望を語る
JERAとデンソー、日本初のSOEC水電解による水素製造実証を開始 新名古屋火力発電所で200kW規模
今田美桜さんが新CMで「陸」愛を告白 キリンウイスキー「陸ハイボール」今年も数量限定発売
佐渡に根づく台湾の味 「慶幸屋」が紡ぐ島民とのつながり
日本初の女性首相誕生か 高市早苗氏が自民党総裁に 台湾民進党・陳冠廷氏「日台は新たな戦略段階へ」
米財務省が確認「フェイクではない」 トランプ氏、ワシントンやリンカーンと並び1ドル記念硬貨の表面に登場へ
ノーベル賞、来週発表 トランプ氏に平和賞の可能性はあるか AIは依然有力か
高市早苗氏が自民党新総裁に 史上初の女性首相誕生へ一歩、決選投票で小泉進次郎氏を破る
台湾・台東グルメ完全ガイド「一日四食」散歩で地元名店と絶品ローカルフードを食べ尽くす 朝の蛋餅から夜の海鮮バーガーまで
麻布台ヒルズで「やきいも広場」開催 サツマイモと栗の秋の味覚が集結
第38回東京国際映画祭 ラインナップ発表
台北近郊の新店から五島列島へ 「島女子Lois」が三階建てで綴る台湾人の離島起業記
英マンチェスターでテロ、2人死亡 容疑者はシリア系男性 『ガーディアン』「近代で最も致命的な反ユダヤ襲撃」――英国は分断か包摂か
なぜ今、韓国は国防費を大幅増額するのか――ソウルの狙いは何か
輝きは「十億個の太陽」に迫る!ウェッブ望遠鏡が謎の「赤い点」を捉え、新天体「ブラックホール恒星」が宇宙起源説に挑む
TSMCが2ナノメートルチップの試作に成功!初号品を高雄市に寄贈 陳其邁市長「ここで成果を公開」
炭酸研究25年の知見を結集 シーオーツープラス、新美容液「VB3セラム」を発売へ
世界初の培養オメガ3脂肪を開発するImpacFat、日本進出を発表
TIFFCOM 2025、10月29日より浜松町館で開幕
アップル、わずか1年でVision Proを事実上「見切り」 開発資源をスマートグラスに集中
ソウルで反中デモ拡大 李在明政権が強硬策、APEC前に習主席訪韓の行方左右も
台湾を北東アジアのクルーズ要衝へ――港務公司、プリンセス・クルーズ日本チームを招へいし現地視察実施
独占取材》MEET YOUR ART FESTIVAL 2025、東京・天王洲で開催 アジアを代表するアートフェスを目指す
第38回東京国際映画祭 コンペティション部門審査委員長にカルロ・シャトリアン氏が決定
Bリーグ、発足10周年で史上最多150箇所に感謝広告
故宮や海科館ではない!台湾最強の博物館に325万人来館 写真映えも好評で、絶対に見逃せない
Nothing、「オータムセール」を開催 イヤホンやスマートウォッチが最大1万円オフ
六本木アートナイト2025開幕 台湾アーティスト范承宗・林介文が東京の街を彩る
COUNTDOWN JAPAN 25/26、史上初の5日間開催へ 出演者発表は10月中旬、オーディション&映像作品公募を同時始動
『かくりよの宿飯』『SAMURAI 7』『白蛇伝』上映へ アニメ東京ステーションで特別鑑賞会開催 声優・並木のり子×GONZOスタッフも登壇
京都先端科学大・松波弘之教授、SiC半導体研究で「SSDMアワード」受賞 EV・発電分野に貢献
福岡ソフトバンクホークス、関東初のファン交流イベント開催 五十嵐亮太氏と新谷あやか氏が登場
「甲子園留学」からプロの舞台へ 台湾出身・陽柏翔、楽天イーグルスで夢の一軍登録
夏珍コラム:台湾与党・民進党は「口先だけの政党」になるな