台北近郊の新店から五島列島へ――「島女子Lois」が三階建てで綴る台湾人の離島起業記

台湾出身の「島女子Lois」さんは長崎・五島列島に移住し、夫とともに多機能拠点「五島時光」を運営。地域に根差した交流と発信の場を築いている。
台湾出身の「島女子Lois」さんは長崎・五島列島に移住し、夫とともに多機能拠点「五島時光」を運営。地域に根差した交流と発信の場を築いている。

台湾出身で現在は長崎県・五島列島に暮らす「島女子Lois」さんが、都市生活から離島への移住、言葉の壁を乗り越えて地域に受け入れられ、起業に至るまでの道のりを《風傳媒》の取材で語ってくれた。夫の橋本さんとともに現地で事業を立ち上げ、「五島時光」という多機能の複合施設を運営。五島の対外発信の拠点として、台湾からの旅行者が安心して訪ねられる場を築いている。

台湾出身の「島女子Lois」さんが長崎・五島列島に移住し、夫と共に多機能施設「五島時光」を運営しながら、地域に根差した交流と発信の拠点を築いた。
台湾出身の「島女子Lois」さんは長崎・五島列島に移住し、夫とともに多機能拠点「五島時光」を運営。地域に根差した交流と発信の場を築いている。

移住を決めたきっかけは、娘を連れて親戚を訪ねた経験だったという。「娘は当時3歳くらい。義姉や義両親が心から受け入れてくれて、遊んで、愛情を注いでくれた。その様子を見て、こんな環境で成長できるなら、と強く思いました」。その瞬間、「ここに住もう」と心が決まった。

台湾出身の「島女子Lois」さんが長崎・五島列島に移住し、夫と共に多機能施設「五島時光」を運営しながら、地域に根差した交流と発信の拠点を築いた。
台湾出身の「島女子Lois」さんは長崎・五島列島に移住し、夫とともに多機能拠点「五島時光」を運営。地域に根差した交流と発信の場を築いている。

「最初は観光ビザで来て、生活のリズムは気に入りましたが、正直少し退屈で。」本格移住を決めたのは、遠距離中だった橋本さんと連休に再会し、娘とともに五島を訪れた時だという。「人の温かさを実感しました。とくに家族が娘を心から受け入れてくれたのが大きかった。子育てに向いた土地だと確信しました」。

台北近郊の新店で暮らしていたころは都市の便利さに慣れていた。「家を出ればコンビニが5軒、駅のそばに住んでいて、マクドナルドもモスバーガーもケンタッキーも全部ある」。一方、五島では「ローソンができたのも最近で、それしかないんです」と笑う。「島を出たらまず行くのはUNIQLO、次はマクドナルド」。

台湾出身の「島女子Lois」さんが長崎・五島列島に移住し、夫と共に多機能施設「五島時光」を運営しながら、地域に根差した交流と発信の拠点を築いた。
台湾出身の「島女子Lois」さんは長崎・五島列島に移住し、夫とともに多機能拠点「五島時光」を運営。地域に根差した交流と発信の場を築いている。

とはいえ、本当に苦労したのは言葉だった。来日当初は日本語が話せず、日本に特別な関心もなかったという。「毎日、会話相手は娘だけ。娘が4歳で、幼稚園体験や買い物など、生活の中から少しずつ適応していきました」。何より難しかったのは心を落ち着けること。文化の違いと孤独を越える必要があった。「地域の伝統文化には驚きました。家族行事では男性は座り、準備はすべて女性が担う。20~30人規模の集まりも普通。コロナ以降はそうした習慣も減りましたが、当初は大変でした」。

台湾出身の「島女子Lois」さんが長崎・五島列島に移住し、夫と共に多機能施設「五島時光」を運営しながら、地域に根差した交流と発信の拠点を築いた。
台湾出身の「島女子Lois」さんは長崎・五島列島に移住し、夫とともに多機能拠点「五島時光」を運営。地域に根差した交流と発信の場を築いている。

Loisさんと日本人の夫が出会ったのはオーストラリア。Loisさんはワーキングホリデーではなく、現地で働く妹を訪ねていた。「彼が『五島出身』と言ったとき、地図で探しても分からず、ズームしてようやく見つけました」。

二人はまず賃貸で暮らし、その後に公営住宅を申請。ある妊婦健診のとき、偶然出会った元産婦人科医院の家主から「10年以上空き家の3階建てがある」と紹介を受ける。「夫も義姉もここで生まれたという建物で、格安で譲ってもらえる代わりに、島を離れるときは自分たちで処分するという条件付きでした」。

建物は1階60坪、合計180坪の大きさ。「みんなに『破産するよ』と言われましたが、1年に1フロアずつ、少しずつ直しました」。夫が創業支援の補助金を申請し、家を再生。現在の「五島時光」が生まれた。

施設は当初、家族や友人の宿泊先として始まり、「母が初めて来たときは、まるでVIP待遇でした」と笑う。宿に加え、2階はシェアオフィスにして若手起業家を支援。すでに何組も巣立ち、地域に根付いているという。

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