国土交通省は9月12日、第24回「日本鉄道賞」の受賞者を発表した。この賞は「鉄道の日」の趣旨に基づき、鉄道に関する優れた取り組みを表彰するもので、今年の大賞には神戸市交通局の「KOBE KAWARU ACTION 駅から神戸をよくしよう」が選ばれた。

神戸市交通局の取り組み
神戸市交通局は、人口減少という地域課題に対し「駅を地域の玄関として磨き上げる」活動を推進。終電後に職員が駅構内を清掃し、利用者に快適な環境を提供するなど、現場に根差した持続的な取り組みが高く評価された。選考委員会は「駅の変身は神戸の未来の変身につながる」と評価し、大賞の授与を決定した。
特別賞4件を選出
特別賞には以下の4件が選ばれた。
東京地下鉄(東京メトロ)
日本の地下鉄で初めて無線式列車制御システム(CBTC)を導入し、丸ノ内線全線で運用を開始。高精度な列車位置把握や遅延回復性能の向上が認められ、「無線式列車制御で進化する都市鉄道」として表彰された。
四国旅客鉄道(JR四国)
チケットアプリ「しこくスマートえきちゃん」を開発。利用者がスマートフォンで片道乗車券や自由席特急券を発券できる仕組みを整備し、地方鉄道における利便性向上が高く評価された。
のと鉄道
能登半島地震で甚大な被害を受けながらも、震災から約3か月で全線運行を再開。さらに「震災語り部列車」など地域に希望を届ける活動を続けており、「震災復興への取り組み」として特別賞を受賞した。
「テツふる」プロジェクト
旅行読売出版社、読売新聞大阪本社、TOPPAN、DGフィナンシャルテクノロジーなどが共同で展開。現地消費型ふるさと納税を活用し、地方鉄道や沿線自治体を支援する新たな仕組みを構築した点が評価され、「四方よし」の関係を築く取り組みとして表彰された。
多様な専門家による審査
今回の選考では、応募32件から11件がヒアリング対象となり、オンライン審査を経て最終決定された。委員長を務めた加藤浩徳・東京大学大学院教授のほか、鉄道写真作家やアナウンサー、将棋棋士の藤井聡太氏など、多様な分野の専門家が審査にあたり、鉄道の未来を見据えた幅広い視点から評価が行われた。
編集:梅木奈実 (関連記事: 山手線環状運転100周年記念フェス開催 復刻ラッピング列車や特別観光列車が登場 | 関連記事をもっと読む )
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