米国のピート・ヘグセス国防長官はバージニア州で数百人の高級将校を前に演説し、国防総省の一連の改革を発表した。近年のいわゆる「覚醒( woke )政策」を「愚かだ」と断じて転換し、兵士の体力基準を引き上げると明言。方針に賛同できない者は軍を去るべきだと、将校らに率直に告げた。
ヘグセス氏は、米軍は長年にわたり「愚かで軽率な政治家」に振り回され、誤ったテーマにリソースを費やしてきたと批判。「本日の要点は、数十年来の歪みを正すことだ。目に見えるものもあれば、まだ見えないものもある」と述べた。
BREAKING: War Secretary Pete Hegseth announced several changes to the department’s operations on Tuesday morning during a speech in front of hundreds of senior military leaders in Quantico, Virginia.https://t.co/jlNg7IOHOZ
— Washington Examiner (@dcexaminer)September 30, 2025
剃毛規定と体力基準を原点回帰
各軍種で緩められていたひげや身だしなみの規定、体力基準を復活。特に戦闘職種(combat MOS)・戦闘兵科については「最も厳しい男性基準」へ戻すと表明した。
ヘグセス氏は「息子が体力不足の隊員と肩を並べて任務に就くこと、男性と同一の戦闘基準を満たせない女性が戦闘部隊にいること、武器や任務に不案内な兵士と戦うことは望まない」と強調した。
米国国防総省(ペンタゴン)の多様性政策を痛烈批判
演説では、国防総省が進めてきた多様性推進(DEI)、トランスジェンダー関連対応、「覚醒」文化を痛烈に批判。政権発足当初から「政治的正しさ」と「有害なイデオロギー」の排除に取り組んできたとし、今後は“アイデンティティ月間”、DEIオフィス、男性のスカート着用といった取り組みは行わないと明言した。
「気候変動教、分断、混乱、性別幻想も不要だ。軍に無駄は要らない」と言い切った。

さらに、方針に反発する将校に対しては「今日の話を聞いて心が重くなったのなら、名誉ある選択を——辞職を」と退任を促した。
単なる意見の相違にとどまらず、過去の文化に染まり「愚かで軽率な政治指導者」に導かれてきた者は軍を去るべきだとし、「真に戦士であろうとする者だけが残れ」と突き放した。

異例の大規模会議でトップが相次ぎ登壇
この大規模な会議では、ヘグセス長官に続き、ダン・ケイン統合参謀本部議長やドナルド・トランプ大統領も演説。会場には現役の高級将校が多数出席し、海外から急きょ帰国して臨んだ者も少なくなかったという。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp (関連記事: 戦場で実地検証――ウクライナの無人機技術は米国を超えたのか 米国防長官のひと言が突く本質 | 関連記事をもっと読む )