「台湾有事はアメリカ有事」 新国防戦略、台湾防衛を表明―米軍が中国の台湾奪取をどう阻止するか

アメリカの《台湾関係法》は台湾有事の際の米軍の出動について明確に規定しておらず、歴代政府も曖昧な姿勢を維持してきた。しかし、新版NDSには「米軍介入」が仮想シナリオとして含まれ、北京が軍事圧力を加える場合、ワシントンは軍備の配備を強化するだけでなく、解放軍の台湾制圧を直接的に阻止する行動を取ることを意味している。(写真/公式フェイスブック提供)
アメリカの《台湾関係法》は台湾有事の際の米軍の出動について明確に規定しておらず、歴代政府も曖昧な姿勢を維持してきた。しかし、新版NDSには「米軍介入」が仮想シナリオとして含まれ、北京が軍事圧力を加える場合、ワシントンは軍備の配備を強化するだけでなく、解放軍の台湾制圧を直接的に阻止する行動を取ることを意味している。(写真/公式フェイスブック提供)
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アメリカの「国家防衛戦略(NDS)」は、歴代政権が防衛・外交の基本方針を定め、各会計年度の国防予算編成を方向づける中核文書である。トランプ政権は近く第2期の新版NDSを公表する予定で、ヘグセス国防長官が最終案を取りまとめている。2018年版と比べ、今回の戦略は「アメリカファースト」および「力による平和」の理念を継承するとともに、「中国による台湾の武力奪取を抑止する」ことを中核目標として一層明確に位置づけている。

なぜアメリカの新たな防衛戦略は特に台湾に焦点を当てるのか?

米国防総省の政策顧問を務めた経歴を持ち、現在は米海軍研究協会の上級研究員である吉原俊井氏は、産経新聞のインタビューで、新版NDSが台湾の安全を最優先課題として位置づけていると明らかにした。吉原氏は、中国が台湾への上陸作戦や大規模な軍事行動に踏み切った場合、米軍は「その目的達成を阻止する」ために直接介入すると強調した。これは従来の「戦略的曖昧さ」とは異なり、トランプ政権第2期の対中姿勢の転換を示すものである。

アメリカの対台「戦略的曖昧さ」は「戦略的明確化」に向かうのか?

アメリカの「台湾関係法」は、台湾有事の際に米軍が出動するか否かを明確に規定しておらず、歴代政権も曖昧戦略を維持してきた。ところが、新版の国家防衛戦略(NDS)は「米軍の介入」を想定シナリオに組み込み、北京が軍事的圧力を行使した場合、ワシントンは兵力配備を強化するのみならず、人民解放軍の台湾制圧を阻止するため直接行動に踏み切ることを示唆した。これはトランプ政権第2期の対中政策における重大な方針転換と受け止められている。

台湾自身の防衛能力がなぜ国際的な焦点となっているのか?

吉原氏は、トランプ政権が台湾の現段階の防衛準備に満足していないと指摘し、このため新版NDSに「台湾の自助防衛の一層強化」を求める期待を盛り込んだと述べた。解放軍の対台戦略は正面作戦に限られず、「海上封鎖」や「政治・軍事の浸透」などで台湾を弱体化させる可能性があると警告した。アメリカ側はこれに対応し、地域防衛網の強化、台湾の強靱性(レジリエンス)構築の支援、同盟国に対するより直接的な軍事協力の要請といった対処策を計画しているという。

アメリカの新しい防衛戦略はどのように実施されるのか?

報道によれば、アメリカは複数の軍事配備を同時並行で強化する方針である。潜水艦発射型核巡航ミサイルの開発を継続し、グアムのミサイル防衛システムを拡充するとともに、日本など同盟国との協力を一段と深める。また、本土防衛と前方抑止の両立を図るため、「アイアンドーム」型のミサイル防衛体制の構築も計画している。

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