台北駅無差別襲撃事件、張容疑者の金流に焦点 口座は1つ、家賃8.4万…無職でも犯行準備は可能だったのか 不審送金なし、母親の支援が唯一の収入

警方の捜査により、張文の戸籍および元の居住地が桃園市楊梅区にあることが確認された。19日夜、警察が両親に事情聴取を行った際、家族は張文が2年以上家族と連絡を取っておらず、兄とも5年間会っていなかった事実を初めて知ったという。家族は、断片的な資金の動きから彼の生活状況を推測するほかなかった。(写真/記者爆料網より)
警方の捜査により、張文の戸籍および元の居住地が桃園市楊梅区にあることが確認された。19日夜、警察が両親に事情聴取を行った際、家族は張文が2年以上家族と連絡を取っておらず、兄とも5年間会っていなかった事実を初めて知ったという。家族は、断片的な資金の動きから彼の生活状況を推測するほかなかった。(写真/記者爆料網より)

台北駅および中山駅周辺で発生し、4人が死亡、11人が負傷した無差別襲撃事件をめぐり、外界が最も困惑している点の一つは、犯行動機だけではない。長期間にわたり無職だった張文容疑者が、どのように生活を維持し、さらに高額な犯行準備費用を捻出していたのかという点だ。警察は直ちに資金の流れを徹底的に洗い出し、未公表の資金提供者や共犯ネットワークの有無について調査を進めた。

張文容疑者に安定収入はなく、生活は何で支えられていたのか

警察の調べによると、張文容疑者は台湾空軍の志願兵として勤務していたが、飲酒運転により除隊処分となった。その後、短期間だけ警備員として働き、2023年6月から2024年頃まで月給約3万9000台湾ドル(約19.3万円)を受け取っていたが、その後は長期の失業状態に陥っていた。

定期的な収入源を失った後、張文容疑者の生活水準に目立った改善は見られず、むしろ極端な節約傾向が強まり、口座残高も徐々に減少していった。捜査の結果、張文が保有していた口座は郵便局のもの1つのみで、使用頻度も低く、主な用途は家賃と最低限の生活費の支払いに限られていた。犯行前日の口座残高はわずか39元しか残っておらず、経済状況が長期にわたり極度に逼迫していたことがうかがえる。

張文容疑者の生活費を支えていたのは誰か 母親からの送金が唯一の収入源か

さらに資金の流れを照合した結果、警察は不明な人物や組織からの送金記録を一切確認できなかった。張文容疑者の口座における唯一の安定した資金源は、母親からの送金だった。

昨年初め以降、張文容疑者の母親はおおむね2〜3カ月ごとに、1月、4月、7月、10月のタイミングでそれぞれ3万元を送金し、生活補助としていた。母親以外に定期的な送金者は確認されていない。警察は、張文容疑者が母親に知られないままこの少額の援助に依存して最低限の生活を維持し、節約によって残した資金を徐々に犯行準備に回していた可能性が高いとみている。

賃貸、日雇い、消費記録から浮かび上がる張文容疑者の日常

張文容疑者は今年1月から台北市中正区の簡易個室に居住し、月額家賃は約1万7000台湾ドル(約8.4万円)で、口座における最も安定かつ重い支出項目となっていた。口座記録をさかのぼると、過去2年以上の間に14件の不定期・不定額の現金入金が確認されており、金額は数千から1万台湾ドル(約5万円)程度で、いずれも2万台湾ドル(約10万円)を超えていなかった。 (関連記事: 舞台裏》台北駅無差別襲撃事件で国家安全システムに激震 国家安全局、軍の衡山指揮所、憲兵が一斉に動く 関連記事をもっと読む

警察は、これらの現金が張文容疑者による単発的な日雇い労働の収入であり、日常生活費の補填に充てられていた可能性が高いと判断している。消費行動は少額のネット取引が中心で、一部は犯行に用いられた器材の購入に充てられたとみられる。11月初旬には口座残高が約5000台湾ドル(約2.5万円)まで減少し、経済状態はすでに崩壊寸前だった。

張文容疑者の家族背景とは なぜ家族とほぼ断絶していたのか

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