論評:「違法判決」か「機能回復」か 台湾・大法官5人が憲訴法改正を違憲、反対意見は「当初から無効」

2025-12-22 17:59
定足数を満たさない5人の大法官が「憲法訴訟法は違憲」と判断したことを受け、台湾の憲法裁判所の判断をめぐり波紋が広がっている。(写真/柯承惠撮影)
定足数を満たさない5人の大法官が「憲法訴訟法は違憲」と判断したことを受け、台湾の憲法裁判所の判断をめぐり波紋が広がっている。(写真/柯承惠撮影)

台湾の立法院が憲法裁判所による違憲判決の成立要件を引き上げる法改正を行い、さらに総統による大法官人事案を二度にわたり否決した結果、いわゆる「新・憲法訴訟法」の制約下で、憲法裁判所は約1年にわたり事実上の機能停止状態に陥ってきた。

そうした中、5人の大法官は、「不足額判決」に反対した3人の大法官を評議の母数から除外した上で、「憲法訴訟法改正案は違憲である」との判断を下し、今後順次案件を審理していくと宣言した。

しかし、これは憲法裁判所の「復活」ではない。むしろ、憲法裁判所が真の意味で「死」に向かい始めた瞬間だと言わざるを得ない。なぜなら、この判決をもはや真剣に受け止める者はおらず、違法な裁判を強行した大法官たちが、憲法ではなく特定の政党に忠誠を誓っているのではないかという疑念が、社会の中で急速に広がっているからである。

さらに深刻なのは、この「手続的正義」を欠いた判決によって、法曹界そのものが真っ二つに分断されたことである。評議への参加を拒否した結果、「総員数」から除外された3人の大法官は、それぞれ反対意見書を提出し、この判決は「当初から無効」であると明確に指摘した。

これらの反対意見書は学術誌に掲載されたにすぎないが、その重みと歴史的意義は、むしろ判決文以上に深いものがあると言える。判決公表後48時間以内に、中華民国憲法学会と民間の司法改革団体が相次いで賛否両論の声明を発表した事実も含め、これらすべては、本来「政治(政党)から超然としているべき」司法界「実務から学界に至るまで」が、もはや司法そのものを沈没させかねない政治の渦中に否応なく巻き込まれている現実を映し出している。

憲法裁判所の停滞の原因は、憲訴法ではなく大法官人事にある

5人の大法官が「新・憲法訴訟法」を違憲と判断した理由は、大きく二つに整理できる。

第一に、立法院の審議手続きが手続的正義に反しているという点である。すなわち、法案が十分な審議を経ないまま第二読会に直付され、議長が異議の有無を確認した直後に、間髪を入れず可決を宣言したことなどが問題視された。

第二に、新たな修正条文が大法官の職能に実質的な影響を及ぼし、憲法裁判所を1年間にわたり麻痺させたことは、権力分立の原則に反するという点である。

これら二つの理由は、まったく根拠がないわけではない。しかし、立法院の議事手続きは本質的に「国会の自律」に属する問題である。台湾が民主化されて以降、立法院は常に喧噪と混乱の中で運営されてきた。激しい口論や衝突の中で三読会を通過する法案も珍しくなく、大法官自身も過去にこの点について解釈を示してきた(例:司法院釈字第342号)。 (関連記事: 台湾野党、賴清德総統の弾劾手続き開始へ 黄国昌氏「来年5月20日に採決予定」 関連記事をもっと読む

その基本的な立場は、立法手続き上の瑕疵は立法院自身が是正すべきであり、政治的対立を司法に持ち込むべきではない、というものである。言い換えれば、議事手続き上の紛争や物理的衝突は、与野党の対立から生じるものであり、大法官は憲法を解釈することはできても、政治的対立そのものを解決することはできない。

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