舞台裏》台北駅無差別襲撃事件で国家安全システムに激震 国家安全局、軍の衡山指揮所、憲兵が一斉に動く

張文容疑者による台北駅での犯行発生後、国家安全機関および軍は初動でどのような対応を取ったのか。写真はイメージであり、事件当事案とは直接関係はない。(資料写真/張曜麟撮影)

2025年12月19日、台北駅および台北メトロ中山駅で相次いで煙幕弾が投げ込まれ、さらに無差別に通行人を切りつける事件が発生し、4人が死亡、11人が重軽傷を負った。張文容疑者は逃走中に転落し、搬送先の病院で死亡が確認された。この事件は国内外に大きな衝撃を与えた。

不可解なのは、張文容疑者が最初に台北駅で煙幕弾を投げた際、捷運警察(地下鉄警察)が即座に対応せず、そのまま中山駅まで移動して犯行を続けることを許してしまった点である。中山商圏から台北市警察局中山分局までは徒歩5分程度の距離であるにもかかわらず、警察の出動もなかった。

事後に責任を問うのであれば、この二つの警察組織は責任を免れないだろう。では、国家安全を担う軍や国家安全局はどうだったのか。台北駅は重要インフラであり、例年の漢光演習でも反テロ訓練が実施されてきた場所だ。現時点では本件が中国共産党の「第五列」によるものとは認定されていないが、台北駅は首都中枢や総統府、さらには台湾全体の防衛と直結する地点であり、事態は一気に全体へ波及し得る。衛戍の中枢でこのような凶悪事件が起きた際、国家安全機関は初動で何を行い、軍はどのように対処したのか。

今年漢光演習台北車站反特攻作戰。(蘇仲泓攝)
台北駅は重要インフラに位置づけられており、例年の漢光演習では、同駅を舞台に反テロ訓練が実施されてきた。(資料写真/蘇仲泓撮影)

張文容疑者による台北駅攻撃 国家安全システムは極度の緊張状態に

2024年には、中国の正体不明の人物がゴムボートで淡水河に侵入し、重大な国家安全上の漏洞を露呈した。この事件は、中国側による「圧力テスト」とも受け止められた。近年、両岸関係が緊張する中で、中国の第五列問題はたびたび議論の対象となっている。

今回の張文容疑者による「ローンウルフ型」犯行が第五列と関係しているかどうかについて、頼清徳総統は検察・警察に対し、張文容疑者の身分や背景について全面的な調査を指示した。国家安全会議や国家安全局も介入し、蔡明彦国家安全局長は12月20日、自ら警政署を訪れて事件の状況を把握した。

関係者によれば、国家安全情報機関はすでに情報収集体制を強化し、重大な人的脅威事案に関わる警戒情報を集中的に収集するとともに、重要交通結節点、人流が集中する場所、重要インフラに対する安全防護について専門的な助言を行っている。

台北駅は重要インフラであるだけでなく、総統府にも近接している。台湾軍の漢光演習のみならず、行政院国土弁公室が主管する金華演習でも、国内四大特勤部隊が台北駅で訓練を行ってきた。その重要性は言うまでもない。政府が全社会防衛レジリエンスを強調する中で、今回の無差別殺傷事件では警察システムの不備が露呈した。では、「敵を過大評価する」ことを原則とする台湾軍は、どのような対応を取ったのか。 (関連記事: 舞台裏》台北駅・中山駅で無差別襲撃は「1年半計画」判明、変装と移動で追跡困難に 賴清德総統、徹底捜査を指示 関連記事をもっと読む

20251220-總統賴清德(中)、行政院長卓榮泰(左二)、台北市長蔣萬安(左一)、國安會秘書長吳釗燮(右二)、國安局長蔡明彥(右一)20日至警政署聽取「1219北捷隨機襲擊事件」專案報告。(顏麒宇撮影)
頼清徳総統(中央)、卓栄泰行政院長(左から2人目)、蔣万安市長(左端)、呉釗燮・国家安全会議秘書長(右から2人目)、蔡明彦・国家安全局長(右端)は20日、警政署を訪れ、「12月19日・台北メトロ無差別襲撃事件」に関する専案報告を受けた。(写真/顏麟宇撮影)

台北駅の混乱は衛戍中枢を揺さぶる 台湾軍は各レベルで全面待機

関係者によると、事件発生後、台湾軍の各戦情システムが次々と状況を報告し、同日午後6時半から7時頃にかけて、衡山指揮所が憲兵指揮部に対し、衛戍地区周辺の安全防護施設の強化と巡回管理体制の徹底を指示した。

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