台湾民意基金会調査》台湾で高市早苗首相を57.6%が評価 専門家・游盈隆氏「魅力が全土を席巻」

台湾では、日本の高市早苗首相に対して好意的な受け止めが広がっている。(写真/AP通信)
台湾では、日本の高市早苗首相に対して好意的な受け止めが広がっている。(写真/AP通信)

高市早苗首相による「台湾有事」に関する発言をめぐり、中国側が強い不満を示し、日中間の摩擦は一段と緊張を増している。一方、日本政府は原則や立場に変更はないと繰り返し強調しつつも、発言後は関連する表現を複数回調整しており、緊張緩和を意識している様子がうかがえる。

こうした中、台湾民意基金会は「台湾人は現職の日本首相・高市早苗氏をどの程度評価しているのか」をテーマに最新の世論調査を発表した。その結果、台湾の20歳以上の成人のうち57.6%が「評価している」と回答し、「評価していない」は15.8%にとどまった。「意見がない・分からない」は27.6%だった。

台湾民意基金会は調査において、高市氏が日本初の女性首相として就任後2カ月足らずで「台湾有事は日本有事」と明確に表明し、中国側の反発を招いた点を踏まえ、「台湾人は現職の日本首相・高市早苗氏を評価しているか」を質問した。

調査結果によると、台湾の20歳以上の成人のうち、27.1%が「非常に評価している」、30.5%が「ある程度評価している」と回答し、合計で57.6%に達した。一方、「あまり評価していない」は8.3%、「全く評価していない」は7.5%だった。また、「意見がない」は14.8%、「分からない」は11.8%だった。

台湾民意基金会の董事長である游盈隆氏は、この結果について「台湾世論は高市早苗氏を一面倒に評価しており、その魅力が台湾全土を席巻していることを示している」と分析した。

台湾人対日本首相高市早苗の態度は一面的な支持を示す。(台湾民意基金会提供)
台湾民意基金会の調査によると、台湾では日本の高市早苗首相に対し、評価する声が圧倒的に多い。(資料/台湾民意基金会)

年齢層、学歴、職業別に見ても、高市氏を評価する傾向は一貫して強く表れている。政党支持別では、民進党および民衆党支持層で評価が顕著である一方、国民党支持層では評価が割れている状況が見られた。具体的には、民進党支持者の89%が高市氏を評価し、評価しないと答えたのは0.7%にとどまった。国民党支持者では33%が評価、34%が評価しないと回答した。民衆党支持者は42%が評価、24%が評価しないと答えた。無党派層では39%が評価し、20%が評価しないとしている。

游氏は、高市氏が首相就任からまだ2カ月余りであるにもかかわらず、就任前に台湾を訪問していたことや、故・安倍晋三元首相の後継者と見なされてきた経緯により、台湾ではもともと知名度が高かったと指摘する。さらに、11月7日に日本国会で行った「台湾有事は日本有事」とする力強い発言が、台湾人の間での好印象を一層強めたと分析した。

台湾人対日本首相高市早苗の態度は明確である。(台湾民意基金会提供)
台湾民意基金会が実施した世論調査では、日本の高市早苗首相に対する台湾世論の評価が明確に表れている。(資料/台湾民意基金会)

今回の調査では、台湾民意基金会の游盈隆教授が質問票の設計、報告書の作成、調査結果の解釈および関連する公共政策・政治的意義の分析を担当した。世論調査会社・山水民意研究公司は、同基金会の委託を受け、主にサンプリング設計、電話インタビュー、データ整理および統計分析を担った。

調査期間は2025年12月15日から17日までの3日間で、対象は台湾全土の20歳以上の成人だった。抽出方法は固定電話と携帯電話を併用したデュアルフレーム無作為抽出法を採用し、固定電話が70%、携帯電話が30%を占めた。有効回答数は1077件で、内訳は固定電話752件、携帯電話325件だった。95%の信頼水準における標本誤差は±2.99ポイントである。内政部の最新人口統計に基づき、地域、性別、年齢、学歴について加重調整を行い、母集団構成に適合させている。調査費用は、財団法人台湾民意教育基金会(略称:台湾民意基金会、TPOF)が負担した。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

編集:梅木奈実

最新ニュース
JR上野駅「エキュート上野」、約2年半におよぶリニューアルが完結 年末年始に向け限定スイーツや弁当、イートインを展開
日本橋室町一丁目で工事仮囲いを彩るアート企画「NIHONBASHI RIVER WALK MUSEUM」第3弾がスタート
舞台裏》台北駅・中山駅で無差別襲撃は「1年半計画」判明、変装と移動で追跡困難に 賴清德総統、徹底捜査を指示
「台湾軍の信頼を崩せ」 中国系インフルエンサー、プロパガンダ協力で高額報酬を提示と告発
米政治学者・黎安友氏が米中台関係を分析 「トランプ氏は習近平氏やプーチン氏の言葉を重視する傾向」
福原愛、再婚と妊娠を自ら公表 一般男性との新生活と現在の心境を語る
日中外交衝突から1ヶ月、ルビオ米国務長官が沈黙を破る 「日中バランス」重視の姿勢を鮮明に
台湾・憲法法廷で異例の内紛――「憲法訴訟法」改正に違憲判決も、大法官3人が「5人による判決は無効」と猛反発
台北・無差別襲撃の張文容疑者、3人死亡の末に転落死 両親「2年以上連絡していなかった」
国際の焦点》1人の提供者で197人誕生 がんリスク遺伝子が14カ国に流通、精子提供の遺伝子管理、世界共通ルール不在の現状
台北「通り魔」事件 なぜ犯人は放火し、無差別殺傷に及び、転落死したのか 精神科医が読み解く犯行心理
北京観察》キヤノン中国工場、24年で閉鎖 最大40万人民元補償が示した外資撤退と中国労働法の現実
米国、台湾に110億ドル超の軍事販売を承認 中国は強く反発
ジェットスター・ジャパン、東京(成田)―高雄直行便が就航
第76回NHK紅白歌合戦、出場歌手の曲目決定 全曲一覧と見どころ発表
切りつけられたバイク運転手は無事だったのか 台北駅・中山駅の無差別襲撃、死者4人に 被害者一覧
香港民主派の象徴・黎智英氏に有罪判決 終身刑の可能性も、国際社会に波紋
台北駅で煙幕弾投擲、逃走した男が繁華街で刃物襲撃 複数人死傷
トランプ再登板後の日米同盟、「米国は日本を守るか」への懸念と日本の役割拡大=千々和・防衛研究所室長
外国人の不動産取得、国籍登録を義務化へ 政府が実態把握強化、2026年度中に実施
永住許可要件に日本語能力追加へ 2027年度にも導入、地域との共生促進狙い
「オレンジの悪魔」と「エメラルドナイツ」、台湾遠征の合間に交流 西門町でフラッシュ演奏後に宵夜で英気補給
寺田倉庫、天王洲で「TERRADA ART AWARD 2025 ファイナリスト展」を1月16日開幕
台湾・西門町が熱狂の渦に 「オレンジの悪魔」「エメラルドナイツ」「荘敬高職」三校合同ストリートパフォーマンス実現
経団連外国人政策委員会、入管行政の課題共有 丸山入管庁長官が人手不足と制度改革に言及
台湾、見えない「サイバー戦争」の最前線に 9割が破壊目的、1530億回の攻撃が示す異常事態
台湾・公教年金「削減停止」にまだ波乱? 李来希氏が指摘する民進党の思惑「次はどう再び削るか」
台湾・公教年金「削減停止」法案、三読へ前進か 退職者の給付水準に再び議論火種
90秒で「店の味」 蒸式調理ロボット「STEAMA」、埼玉県内の一部セブン‐イレブン店舗に導入
台湾・台北で無差別襲撃、煙幕弾投擲と刃物で死傷者 行政院長「動機を徹夜で解明」
台湾・台北駅で相次ぐ攻撃事件、煙幕弾投擲と刃物襲撃 1人死亡・8人負傷 警察は「テロ」レベルで捜査
高度3万6000キロの静止軌道で「宇宙のドッグファイト」常態化 米巡視衛星vs中国機動衛星、WP報道が描く新局面
台湾民意基金会の世論調査》行政院長の法案副署拒否に反対42.8%、反対が支持上回る 与野党対立再燃
TSMCアリゾナ工場、来夏に3ナノ設備を設置へ 技術者は段階的に台湾で研修、2027年量産を目指す
台湾民意基金会の世論調査》年金削減停止に逆風 世論調査で反対多数、野党主導修法に打撃
TSMC米国投資は成功か 市民団体CCU代表が指摘する「半導体回帰の隠れたコスト」
メキシコ、アジア製品に最大50%関税へ 新たな貿易摩擦の引き金となる可能性
舞台裏》台湾・新竹市長の高虹安氏、汚職無罪を聞いた瞬間に漏れた二言 「高飛車」批判の渦中で抱えた1年の恐怖
80年続いた平和は終わるのか 欧州指導者が国民に異例の警告「ロシアとの衝突はすぐそこまで来ている」
槇村香の等身大立像が登場 「シティーハンター大原画展」上野の森美術館で12月28日まで
玉置浩二、紅白特別企画に登場 3年ぶり書き下ろし新曲「ファンファーレ」初のテレビ披露へ
GREEN×EXPO 2027公式ライセンス商品に「ブラック」新色 大人向けデザインが12月22日発売
連続テレビ小説『あんぱん』、紅白特別編に ショートドラマ&出演者スペシャルステージ決定
連合・芳野友子会長、2026春季生活闘争で「5%以上の賃上げ」継続を表明 労働時間規制緩和には反対を明言
潜水艦エンジンのデータを20年にわたり改ざん 川崎重工は防衛省から取引停止処分、現役のおやしお・そうりゅう・たいげい型にも影響
TSMC米工場、想定以上に進展 3ナノ量産を2027年に前倒し、最先端半導体拠点が本格始動へ
コスモスイニシア、横浜・白楽に全63戸の新シェアレジデンス 2026年2月21日入居開始へ
アスコットジャパン、国内全21プロパティでGSTC認証を取得
電通・電通デジタル・DAZN、データクリーンルームを共同構築 スポーツ視聴データ活用で広告効果測定を高度化
台湾茶業者が仏の世界茶葉大賞で受賞 会場で中国籍とみられる人物が妨害 林佳龍外相「長年の縁がある茶農」