高市首相の慎重答弁でも不満示す中国 台湾外交部「自己欺瞞だ」と史実を挙げ批判

中国はなおも、日本の高市早苗首相の発言に不満を示している。(資料写真/AP通信)
中国はなおも、日本の高市早苗首相の発言に不満を示している。(資料写真/AP通信)

日中関係の緊張はいまだ解消されていない。高市早苗首相が11月7日、衆議院で「台湾有事」を想定した質問に答弁し、北京側の強い反発を招いた後、最近になって参議院でも同様の質問を受けた。高市首相は前回より慎重な表現に終始したものの、中国側はなお不満を示し、半世紀以上前の日中正常化交渉当時の日本側発言を持ち出して、「小出しに説明し、伏線を張って世論を混乱させ、事実をごまかそうとしている」と批判した。

これに対し、台湾外交部は17日午前、中国が繰り返し第二次世界大戦の史実を歪曲しているとして、強く非難し、厳正に反論した。

高市首相は11月7日の答弁で「台湾有事」を想定した発言を行い、日中関係に大きな波紋を広げた。その後、今月15日に開かれた日本の参議院予算委員会で再び同問題について問われた際には、日本の一貫した立場として「台湾に関する問題は対話を通じて平和的に解決されるべきだ」と述べた。これに関連し、茂木敏充外務大臣は、1972年の『日中共同声明』を引用し、日本は台湾問題に関する中国側の立場を「理解し尊重する」との姿勢を改めて示すとともに、『ポツダム宣言』第8項を堅持する立場を強調した。

もっとも、『日中共同声明』の文言を見ても、日本はこれまで「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」と認めたことはない。それにもかかわらず、中国外務省の郭嘉昆報道官は16日の定例記者会見で、日本側がこの点を改めて表明しなかったとして不満を示し、日本は依然として「核心的問題」において説明を小出しにし、伏線を張って世論を混乱させ、事実をごまかそうとしていると批判した。郭報道官はまた、中国の王毅外相が台湾の地位はすでに「七重にロックされている」と「権威的かつ詳細に説明した」と主張し、関連する歴史文書を再度引用した。

これについて、台湾外交部の蕭光偉報道官は17日、『風傳媒』の取材に対し、中国外務省が再び第二次世界大戦の史実を公然と歪曲し、台湾の地位がいわゆる「七重にロックされている」といった誤った主張を唱えていることは、是非を転倒させる自己欺瞞であり、国際社会を誤導するものだと指摘し、外交部として強く非難し、厳正に反論すると述べた。

蕭報道官は、「中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに隷属していない。これは台湾海峡の客観的現状であると同時に、国際社会が公認している事実であり、いかなる主権を歪曲する言説も、この現状を変えることはできない」と強調した。

さらに蕭報道官は、第二次世界大戦後、国際法上の効力を有する『サンフランシスコ平和条約』が、『カイロ宣言』や『ポツダム宣言』といった政治声明に取って代わったと指摘した。同条約では台湾を中華人民共和国に帰属させる規定はなく、中華人民共和国はこれまで一度も台湾を統治したことがないと説明した。

台湾は1980年代半ば以降、草の根から政治の自由化・民主化を進め、1996年には初の総統直接選挙を実施した。これにより、中華民国政府の中央行政および立法機関の代表は台湾の人民によって選出されるようになり、実効的な統治が確立された。中華民国政府は台湾を対外的に代表する唯一の合法政府となり、中華民国(台湾)と中華人民共和国が対等に存在し、互いに隷属しないという現状が確立されたとしている。

蕭報道官は「北京当局に対し、史実を正視し、国際社会を誤導する行為を直ちにやめるよう求める」と述べた。その上で、「いかなる一方的で事実に反する主張、威嚇や軍事的脅威も、両岸関係および地域全体の安全と繁栄に資するものではない」と強調した。

台湾外交部はまた、各国に対し、中国が長年にわたり行ってきた悪意ある虚偽の言説を共に非難し、台湾海峡の平和と安定の現状、ならびにルールに基づく国際秩序を守り、インド太平洋地域および世界の平和、安定、繁栄を推進するよう呼びかけている。

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