日中関係緊張、中国政府と国民の反応は異なるのか? 消費者は「食べ続け、買い続け」、日系ブランドの中国シェアは影響なし

中国北京で「ちいかわ」コラボ商品を販売する店舗。(AP通信)
中国北京で「ちいかわ」コラボ商品を販売する店舗。(AP通信)

中国と日本は現職首相高市早苗の「台湾有事論」発言に影響され、両国は深刻な外交対立に陥った。それにより北京当局は国民に日本への旅行停止や海産物の輸入停止を呼びかけ、多くの芸術文化活動の突然のキャンセルをもって東京側への強い不満を表明した。しかし、外部メディアの観察によれば、中国国内において日系ブランドの消費状況はあまり大きな影響を受けておらず、依然として安定した発展を維持しているという。

ブルームバーグの報道によれば、上海市区に新しく開店した2つのスシロー店舗は、最近多くの市民を引きつけ、最大の待ち時間は14時間超えに。列に並んでいた福建出身の22歳の消費者、オスカー氏は、「食事は生活の一部であり、政治とは無関係だ」と述べた。

日系ブランドの販売安定

中国のECプラットフォーム天猫(Tmall)の販売データによれば、ユニクロ・無印良品・資生堂・Sony・Panasonicなどの主要な日系ブランドは、最近影響を受けておらず、一部の商品カテゴリーでは成長傾向さえ見られる。分析家も指摘するように、北京は外交面で強硬な反発を示しているが、政府はより重要なこととして、制御不能な国民感情を煽ることを避けていると言える。

2012年を振り返ると、釣魚台の領土主権問題で中日両国は一時、日系商品の大規模なボイコット潮に見舞われた。当時、北京や上海などの大都市では反日デモが発生し、ユニクロは一時的に42店舗が閉鎖され、イオンのスーパーは広東省や山東省で90%の店舗が閉鎖された。陝西省の西安では、トヨタ車を運転していただけの通行人が攻撃を受ける出来事まで発展した。

中国北京の通行人がケイティ猫のアートインスタレーションのある商業街を通り過ぎる。(美聯社)
中国北京の通行人がハローキティの展示物のある商業街を通り過ぎる。(AP通信)

しかし、今日の内需市場の反応は当時とは明らかに違う。深圳にあるトヨタの販売員は、最近の車の販売に波がないと述べる。北京の多くのユニクロ店舗も客が減っておらず、「国の決定を支持するが、現時点ではボイコットする必要はない。日系ブランドの多くの商品は中国で生産されている」と率直に語った。

一方、ある女性は、日本への旅行を予定していたが、両国関係の緊張と「不友好的な動画」が多数出回っていることから、日本への訪問をキャンセルしたという。それにもかかわらず、この女性は消費習慣を変えるつもりはなく、依然として高品質の日系ブランドの商品を好むと話している。

成都の無印良品の店舗にも多くの観光客が訪れ、「四川特色」のラー油風味のアイスクリームを提供したことで、SNSの話題ランキングに登場した。

中国北京の通行人が服屋で試着し、選んでいる。(美聯社)
中国北京でショッピングを楽しむ市民。(AP通信)

復旦大学アメリカ研究センターの主任、呉心伯氏は、中国のすべての抑制行動は戦略考察に基づくものであるが、仮に高市早苗が発言を撤回しない場合、北京は圧力を強める可能性があると述べている。「(日中)後続の発展の方向性は、日本政府が立場を調整するかどうかによる」と見られる。

興味深いことに、これまで強硬派と見られてきた元『環球時報』編集長の胡錫進氏も、今回の日中関係の緊張を受け、最近では自身の微博(Weibo)公式アカウントで、読者に冷静さを保つよう呼びかけている。胡氏は、この日中間の「対立」は長期化する可能性が高く、社会全体として理性的で結束した姿勢を保つ必要があるとの見方を示した。

編集:佐野華美

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