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台湾立法院で反年金改革が成立 支持率58%の世論が与党民進党を直撃 医師・蘇一峰氏が挙げた3つの要因とは 立法院は青白陣営の協力のもと、迅速に年金改革反対法案を通過させ、与党の民進党は議場内で必死に抵抗したものの、最終的には三読を阻止することができなかった。(写真/劉偉宏撮影)
台湾の立法院は、国民党と民衆党(いわゆる「藍白」陣営)の協力の下で反年金改革法案を迅速に可決した。与党の民進党は議場内で強く抵抗したものの、最終的に三読(第三読会)を阻止できず、採決に敗れた。敗北の瞬間、党内の感情は沸騰したが、議場の外では、さらに厄介な現実が次第に浮かび上がった。反年金改革の政策が世論空間ではむしろ多数の支持を得ていたのだ。ポータルサイトが実施した世論調査によると、「年金削減の停止」という方向性に賛同した回答者は58.2%に上り、支持しない回答者は32.7%だった。両者の差は極めて大きい。
医師の蘇一峰氏は14日、この「反年金改革」争点における民進党の敗因を公開分析し、民進党は手続き面で失っただけでなく、社会的な印象と民意の支持でも全面的に崩壊したと断じた。蘇氏は与党を「賠了夫人又折兵(あれもこれも失った)」と形容し、異例の“三重の挫敗”だとして「立法院の採決で負けた」「軍公教の印象で負けた」「世論調査と世論で負けた」と述べた。
民進党の反年金改革戦線が崩れた核心的要因 蘇一峰氏は、社会の感情はすでに蓄積していたにもかかわらず、民進党は枠組みを適時に調整できず、むしろ反年金改革の語り口が新たな政治的主流になったと指摘する。蘇氏の分析によると、今回の失敗には三つの要因があるという。
第一に、長年にわたる「民族対立」の煽動 により、緑陣営(民進党側)は軍公教問題に直面した際、理解や同情を再び得ることが難しくなっているとした。蘇氏は、人々が繰り返される対立的な言葉にうんざりしており、「軍公教の話になるたびに緑陣営の側翼(民進党支持派)が総出で攻撃する。緑陣営の泥塗り攻撃(誹謗中傷)はまるで快感を得ているかのように繰り返され、それを長年にわたって目にしてきた人々のなかには身近に軍人や公務員、教師の友人を持つ者も少なくない。こうした緑陣営の誹謗中傷に対して、多くの人々は強い嫌悪感を抱いている。」と述べた。この発言には、一般市民や当事者の感情と生々しさが表れており、民進党が長年この層の心情変化を理解できていないことも示しているという。
第二に、民進党が制度をめぐる争いに向き合う姿勢は、手続きに従う誠意に欠ける と見られているという。蘇氏は、緑陣営が「ずっと負けを認めず、署名もせず、実行もしない」ことが社会的印象を悪化させた とし、人々は政府の動機を理解できないだけでなく、長期的な政治の混乱により反感が蓄積し、国家統治が失序に陥っていると受け止めていると述べた。蘇氏は、この不満はすでに明らかな怒りへと転じており、「国も政府も大混乱だと感じ、すでにかなりの怒りが積み上がって与党を懲らしめたいと思っている」と指摘した。
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第三に、政府の財政運営のあり方は自己規律に欠ける と見られ、節約を訴える宣伝が人々を納得させにくくなっているという。蘇氏は社会で広く議論されている疑問を引用し、「政府が大金を次々に米国へ渡し、あちこちで予算を組んで緑の仲間を養っている のに、どうして国民に支出を抑えろと言う資格があるのか」と述べた。反年金改革の論争では、この種の批判が繰り返し拡大され、人々の生活圧力という文脈に置かれることで、民進党が歳出抑制や財政の持続可能性を訴える際の論述上の弱点がより際立ったとした。
世論の反転がもたらす波及効果 反年金改革の世論調査が、反対よりもはるかに高い支持割合を示し続ける中、この争点はもはや立法院内部の採決結果にとどまらず、民進党の民意の温度を測る重大な出来事となった。各種SNSから政治評論番組まで、反年金改革の声は急速に議論の主軸を占め、軍公教が長年蓄積してきた不満感情が公共討論の中心へ戻った 。これにより、これまで民進党の財政規律や権力運用に向けられてきた疑問も全面的に拡大された。
立法院で法案が可決された後、民進党は手続き上の瑕疵を主張し、再議(覆議)に向けた準備に着手したが、社会の反応は明らかに想定ほどではなかった 。世論調査が公表されると、党内の初期検証では、反年金改革の支持が政治的対立によって下がるどころか、むしろ上昇し続ける傾向にあることが確認されたという。一般市民が生活圧力に抱える不安に加え、政府の支出の仕方への不信が重なり、もともと散発的だった批判の声が次第に具体的な政治的圧力へと合流していった。
こうした感情に押される形で、蘇一峰氏のコメントはSNSで急速に拡散した。蘇氏は「政府自身がこれほど浪費しているのを、皆が目に焼き付けている。次の選挙で与党を懲らしめるのを待っているだけだ」「これほど多くの汚職を見て、皆はどうして怒らないのか」と述べた。これらの言葉は直接的で尖っているが、与党が最も無視できない問題、すなわち社会的信頼が急速に低下している現実を反映している。民進党にとって、反年金改革の争点が突きつけたのは単一政策の挫折ではなく、長期にわたって積み上がった社会感情が集中爆発した結果であり、その統治の正当性を試す強烈な一撃になった。
民進党の反年金改革失利がもたらす政治的余波 この争いは、民進党が議会で直面した挫敗を示しただけでなく、統治者と民意の乖離が進む速度を外部に見せつけた。反年金改革が全面的な圧倒的反発の争点になった背景には、人々が、政府が節制を求める一方で政府自身の行動に同じ基準が示されていないと感じ、信頼が失われた ことがある。
民進党にとって今回の敗北は、単なる一度の採決結果ではなく、長期の統治手法が蓄積させた民怨の爆発点だという。民族対立への疲れ、制度手続きへの反感、財政の使い道への不信が重なり、反年金改革は民意の反発が噴出する出口となった。政治の現場はいま明らかに転換しており、今後、亀裂をどう修復し、軍公教および一般市民との信頼をどう再構築するかは、与党が避けて通れない戦略課題になっている。
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