インタビュー》TSMCは米国企業に変わりつつある?緑営政権の誤った親米戦略を指摘 王屏生:「台湾の至宝」を無駄に

トランプが製造業の国内回帰を主張しているが、問題は米国が新エネルギー車でさえ対応できず、米国での工場設立コストは中国の2倍以上、販売価格も2倍以上になることだ。(資料写真、AP通信)
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トランプ政権が貿易パートナーに「互恵関税」を発動すると発表、さらにIntelとTSMCの合弁半導体製造工場設立を強要する可能性があると伝えられている。賴清德総統はGDPの3%まで国防予算を引き上げ、「グローバル半導体民主サプライチェーンパートナーシップイニシアチブ」を対応策として提示した。著名な屋外家具ブランドagio(イタリア語で「くつろぎ」の意)の創業者で、中国全国台湾同胞投資企業聯誼会名誉会長の王屏生氏は『風傳媒』のインタビューで、米国でさえ中国とのデカップリング(脱連結)は不可能だと指摘。「民主サプライチェーン」や「レッドサプライチェーン」は純粋にイデオロギー的な提案であり、台湾は優位性を活かして左右のバランスを取ることができず、反中と内部対立に精力と資源を浪費していると述べた。

米中デカップリングは不可能、中国の新エネルギー車は世界トップレベルに

近年、西側諸国は中国との「デカップリング」を主張し、台湾の与党は中国大陸との関係断絶を推進している。王屏生氏は、「デカップリング」は実現不可能であり、米国でさえ中国とのデカップリングはできないと強調。現代において、国家間は市場でも技術でも切り離せず、国際社会はますます結びつきを強めていくという。「中国人は古代から世界大同を説き、西洋でもアリストテレスから世界一体を見出している」と王屏生氏は皮肉を込めて語り、「デカップリング」を提唱するのは野心を持った一部の人々で、「アメリカ人は時として幼稚で、世界観に欠け、つまらなく無責任な人々もいる」と指摘した。

王屏生氏はさらに、どの国も中国とのデカップリングはできないと説明。国家の力で強制的にデカップリングを行えば、地下ルートが生まれるだけだという。「だからデカップリングを大々的に語ることは、単なるイデオロギー的な言説であり、バイデン時代の民主党の対外政策は派閥作りを好むが、実際にデカップリングができるわけではない」

トランプ2.0時代の到来による影響について、王屏生氏はゴルフに例えて説明。「最初のショットがOBになったら、2回目のショットはより良くなる。単純な経験として、2回目は1回目より良く、より良いスコアを出そうとする。2回目は1回目の過ちを繰り返さず、前回達成できなかった目標を達成しようとする」 (関連記事: 柯文哲、昨日緊急面会へ!「柯父」が今朝永眠 享年92歳 関連記事をもっと読む

王屏生氏は、トランプ氏は4年前に大統領経験があり、1.0と2.0は絶対に異なると推測。トランプ氏の第一期の制裁的関税政策は、確かに米国のインフレの主要因の一つとなり、本人は認めないものの内心では十分承知しているはずだという。トランプ氏は製造業の国内回帰を主張するが、問題は米国が新エネルギー車でさえ対応できず、米国での工場設立コストは中国の2倍以上、販売価格も2倍以上になることだ。このような状況で、バイデン政権が昨年(2024年)中国の電気自動車に100%の関税を課すと発表したことは、「何も驚くことではない」。