フィナンシャル・タイムズによると、ソフトバンクは第3四半期決算で、ビジョンファンドにより3,691億円(24億ドル)の巨額損失を計上したことを明らかにした。前年同期の9,500億円の利益と比較すると、この業績は市場予想を大きく下回った。しかし、帳簿上でこの四半期損失は非常に大きく見えるものの、アナリストが指摘するように、円相場の変動や投資ポートフォリオ内の多くの著名企業の時価総額が大幅に縮小した影響を考慮すると、市場は現在、孫正義氏が米国訪問中に発表したAIへの巨額投資計画により注目しているようだ。
この投資計画は「スターゲート」と名付けられ、OpenAIのサム・アルトマンCEOをはじめ、オラクルマイクロソフト、NVIDIAなど主要企業と、現在のAI分野における最先端の企業や専門家を結集し米国のAIインフラ整備を支援する。関係者によると、ソフトバンクは当初150億から200億ドルの投資計画があり、このプロジェクトの今後4年間の総支出は5,000億ドルに達する可能性がある。孫正義氏がAIに期待を寄せる理由は、新たに就任したトランプ米大統領との関係構築の機会とするだけでなく、2024年から現在まで続くAIブームに乗ることも狙いとしている。
ソフトバンクが発表した巨額投資について、テスラのイーロン・マスクCEOは公に批判し、孫正義氏にそれほどの資金力はないと疑問を呈した。これに対し、ソフトバンクの後藤芳光CFOは決算説明会で、スターゲート計画の資金は主に「プロジェクトファイナンス」を通じて調達し、国際投資家からの融資でリスクを分散すると説明。ソフトバンクは株式投資の形で参画し、OpenAI、オラクル、アブダビ国家ファンドMGXなどと共同投資を行うとした。「我々は一定の持分比率を引き受ける必要があり、全体計画の10~20%程度になる可能性がある」と述べた。

スターゲート計画に加え、ソフトバンクはアルトマン氏との協議を経て、OpenAIに約150億~250億ドルを投資する計画で、同社の新規資金調達の中核となる見込み。ソフトバンクからの この資金調達により、ChatGPTを開発するAI企業は400億ドルの研究開発資金を調達できる可能性がある。
現在AIに強い期待を寄せ、AI分野の中心的存在となることを目指す孫正義氏だが、実は「早期参入」の機会は既にあった。ソフトバンク傘下のビジョンファンドは、かつてNVIDIAの主要株主の一つで、約5%の株式を保有していたが、わずか2年で売却を選択。現在の時価総額と比較すると、この判断で少なくとも40倍の損失となり、孫正義氏は少なくとも1,500億ドルの利益を逃すことになった。これは、常に先見の明があるとされる孫正義氏の近年まれに見る重大な失態となった。

AI分野における重要人物となることを目指すだけでなく、孫正義氏はAIの普及も加速させたい考えで、ロボットやデータセンターなど多くの分野への導入を進める。この実業家の最終目標は、グループ傘下の半導体企業Armが独自のAIチップを開発し、NVIDIAやAMDとともにこの新興市場で競争することだ。
編集:佐野華美 (関連記事: トランプの関税脅威と補助金カット、TSMCに対策はあるのか?台経院の専門家が本音を明かす:苦しむのは北米の大口顧客だ | 関連記事をもっと読む )
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