日本で台湾式朝食「wanna manna」を創設し、そのスローガン「Always hopes, always wanna mana」は、希望と信念を持ち続けるメッセージを伝えている。運営会社GLG FAMILYの創業者である管卓明(John Kuan)氏は、最近『風傳媒』のインタビューに応じ、ブランド設立からこれまでの発展や今後の計画について語った。同氏は、台湾料理を通じて日台文化交流を促進するというビジョンを詳しく説明し、ブランドの背後にある使命として、台湾の飲食文化の普及だけでなく、次世代の人材育成や文化的な深いつながりを築くことにも力を入れていると強調。また、大阪難波と台湾西門町で新店舗の計画を明かし、日台文化の融合をさらに高める意向を示した。
wanna manna(ワナマナ)は、GLG FAMILYが運営する台湾式朝食の専門店で、台北市万華区出身の管卓明(John Kuan)氏によって設立。同店は、台湾の伝統的な朝食文化である蛋餅・おにぎり・豆乳などを現代風にアレンジし、日本の消費者を魅了している。管氏は18歳で日本に留学し立命館アジア太平洋大学を卒業後、妻と共に複数のブランドを創設し、日台文化交流の架け橋となった。GLG FAMILYの本社は大阪にあり、「台湾甜商店」などのブランドも手掛けており、日本で本格的な台湾の味を楽しめる場を提供している。
管卓明氏は自身の若き日の奮闘の軌跡を語りました。彼は留学生として日本に渡りましたが、2002年、19歳の時に家族が破産し、日本での留学生活中に急いで仕事を探さざるを得ませんでした。当時、全く日本語が話せなかったものの、長い時間をかけて努力し、最終的にたこ焼き屋で働く機会を得て技術を学び始めました。その後、冬休みを利用し台湾に帰国し、家族と共に永和の楽華夜市で起業し、たこ焼き屋を営むように。このたこ焼き屋は地元で人気のある美食スポットとなり、彼の起業の出発点となりました。現在でもこの屋台は楽華夜市で「同じ場所で、一寸の移動もなく」営業を続けており、彼の不屈の精神と家族の連携を象徴しています。
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2008年、25歳となった管卓明氏は、日本に戻り、より大きな視点で台湾文化を広めることを決意。彼はまず、台湾を代表する美食の一つであるタピオカミルクティーを起点に選び、福岡で貿易会社を設立。輸出入業務から事業を拡大し、その後は飲食業に注力。広島・大阪・そして東京へと展開し、自らのブランド体系を徐々に構築した。この経験が後に「wanna manna」を創設する基盤に。彼の起業の歩みは、逆境から立ち上がる決意を示すとともに、異国の美食を通じて文化交流を促進する理念を体現している。
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運営会社GLG FAMILY創業者の管卓明氏。(管卓明氏提供)
台湾ブランド「wanna manna」は2021年4月7日に創設され、その名称は『聖書』出エジプト記に由来している。管卓明氏は、「マナ(manna)」とはモーセがイスラエルの民を導いてエジプトを脱出した後、神が天から降らせた食べ物であり、希望と力の象徴であると説明しました。モーセに導かれたイスラエルの民が新しい生活の中で朝食の不足に不満を抱いた際、神が「マナ」を授けたことで希望を取り戻したというエピソードに由来する。ブランド名の「wanna」は、朝食やエネルギーへの渇望を表し、「一日の始まりと希望を提供する」ことを意味。管氏は、「wanna manna」が人々に力を与える存在となり、朝食を通じて支えを提供したいと語っった。
wanna mannaのメニューは、管卓明氏とチームメンバーが「自分たちが本当に好きな台湾料理」を基準に設計されている。管氏は、「もちろん、まずは自分たちが好きなものから始めるべき」と強調した。また、台湾の朝食文化を広める際には、現地の要素を取り入れる戦略が重要であり、これによって現地の消費者に受け入れられると説明した。例えば、台湾のおにぎりを「台湾おにぎり」、牛肉麺を「台湾ラーメン」と名称を調整し、日本人の好みに合うように約20%のアレンジを施す。このように、グローバルとローカルの視野を組み合わせた戦略によって、ブランドは台湾文化を効果的に広めるだけでなく、多様な客層を引き付、文化交流と経営目標の両立を実現する。
看板メニューの「塩味豆乳スープ」は、その健康的なイメージと日本人が豆乳を飲む習慣が合致し、最も人気だ。「豆乳湯」という名前で現地に馴染みやすい形で提供されたことで成功を収めた。コロナ禍の規制緩和後、顧客層は約70%が日本人の地元客、30%が台湾人や観光客に。ブランドは店舗選びとチームワークを重視しており、来年春には大阪難波に3号店をオープン予定。管卓明氏は、これまでの成功の鍵は「ファンの育成」にあるとし、台湾を愛する日本人や在日台湾人の支持を集め、これらのコアな顧客の口コミによってブランド影響力を広げ、又、高い満足度を保ちながら忠実な顧客層を維持してきたと語る。
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wanna mannaを運営するGLG FAMILYは、人材育成にも力を入れている。特に情熱があり、日本語能力の高い台湾人の採用を希望し、日本の地元顧客やチームとのスムーズなコミュニケーションに繋げている。管卓明氏は、言語能力は基本であるものの、真に重要なのは「コミュニケーション能力」であると考える。また、朝食店の運営にとどまらず、これまで10年以上にわたり、12人以上の若手起業家による独自ブランド立ち上げを支援。その分野は飲食業・貿易・ハンドクラフト業など多岐にわたる。同社は「三方よし」の理念を掲げ、社員が経営の知識を学んだ後、独立して事業を展開できるよう支援している。これによりブランドのサービス品質を向上させ顧客のニーズに応え、会社・社員・顧客の三者が満足できる仕組みを実現。
管卓明氏は、2025年4月に大阪・難波で新店舗を開設する計画を明かした。この新店舗では、日本市場で人気のあるベーカリーブランドと提携し、台湾式と日本式の風味を融合させたパンのメニューを提供する予定で、専用のチームも設立される。また、2025年夏には台湾進出を計画しており、初店舗は西門町に予定している。メニュー設計から接客の挨拶に至るまで、日台文化の融合を反映させたものに。台湾市場への進出は、激しい競争が繰り広げられるベーカリー業界において、差別化されたブランドの特徴を打ち出すことを目標とする。ブランドの展開について、管氏は台湾料理に関連する複数のブランド構想をすでに持っており、例えば割包やビュッフェ形式の店舗なども挙げられている。
管氏は、wanna mannaの使命は単に美味しい台湾料理を提供するだけでなく、日台文化の交流と人材育成を促進することにあると強調。店舗運営を通じこれらの価値を実現し、台湾文化に関心のある日本人スタッフを積極的に育成するだけでなく、台湾の若手起業家も支援している。同社のプラットフォームを活用し独自のブランドを立ち上げる人も多くいる。ブランドの成功は、製品だけでなく、その背後にある使命感と情熱に支えられる。文化の伝達と人材育成を結びつけることで、ブランドの長期的な価値を実現できると信じている。この戦略は、wanna mannaを日台文化交流の架け橋とし、起業を目指す若者に発展の舞台を提供する。
管氏は、会社のビジョンの源として『聖書』詩篇第1篇第3節を挙げています。「彼は流れのほとりに植えられた木のようだ。その木は時が来ると実を結び、その葉は枯れない。彼のすることはすべて成功する。」彼は、会社がこの「生命の木」のように、しっかりと根を張り、力強く成長し、社員と顧客に庇護の場を提供できる存在でありたいと願う。この木は豊かな実を結ぶだけでなく、幸福文化の拡大を象徴し、より多くの人々がその実りと庇護を共有できる場を創り出している。
最後に、管氏は日本に住む台湾の住民や観光客に向けて熱い招待のメッセージを送った。東京や大阪の店舗を訪れることが、ブランドにとって最大の励みであり、顧客からの支持とフィードバックが大きな力になる。また、日台での発展を目指す台湾人をチームに迎え入れる機会も広く提供し、ブランドの成長と文化交流を共に推進したいと強調した。
管氏は、wanna mannaの使命が単なる台湾料理の提供に留まらず、飲食文化から創造的な産業、さらにはホテルや宿泊施設の分野にも拡大し、人と人との交流や体験を深めることにあると述べた。wanna mannaは、美食ビジネスを超えた存在となり、日台文化交流の架け橋として、文化と創造力をもとに次世代のリーダーを育成することを目指している。彼は、会社の取り組みがブランドの成長を促進するだけでなく、社員と顧客に幸福をもたらし、文化交流と幸福の拡大という深遠な目的を達成することを期待している。