週刊文春は17日、日本最高峰の東京大学の「中国化」について報じた。全学生の12%以上が中国人学生となっており、その背景には中国経済の低迷・受験戦争の過熱・若者の中国共産党体制への不満という3つの要因があると分析している。
日本の出入国在留管理庁の統計によると、2023年末時点での在留中国人は82万人に達し、前年比6万人増で過去最高を記録。週刊文春は中国人の日本社会での存在感が増大していると指摘し、東大関係者は「東京大学が中国の学校になりつつある」と懸念を示している。
今年5月時点で、東京大学の学生総数は2万7500人(学部生1.4万人、大学院生1.35万人)で、そのうち中国人留学生は3396人。日本の高校を卒業した中国籍学生は留学生枠に含まれないため、実際の人数はさらに多いとみられる。中国人留学生数は2014年の1136人から2024年の3396人へと急増し、全留学生に占める割合も39.5%から66.5%に上昇。
週刊文春は、早稲田大学も約3300人の中国人留学生を受け入れているが、総学生数4万8000人に対する割合は東大より大幅に低いと指摘。東大では一部の学科や研究科で「中国人学生のみが出席し、日本人学生が一人もいない」討論授業も発生していると報じた。国際化の重要性は否定できないものの、バランスの維持も重要だと強調している。
東大名誉教授:これは安全保障上のリスク
東大名誉教授の山内昌之氏は、特定国からの留学生増加について懸念を示す。東京大学は日本の最先端研究機関の一つであり、国家安全保障に関わる研究も行っているため、「中国人学生がここまで増加している現状にはリスクを感じざるを得ない」と述べている。
山内氏は10年前、増加する中国人大学院生について、その意思と自由を尊重すべきと考えていたが、年間800億円もの公的資金が投入される東大において、現状は「日本国民の資源が特定国の学生に『盗取』されている」とも言えると指摘。中国は日本にとって軍事的脅威となる国であり、無制限な受け入れは危険だと警告している。
中国の若者、共産党体制に失望
北海道大学の城山英巳教授は、中国人留学生が東大に殺到する理由を以下の3つに分析:
一つ目は、中国の若者の共産党体制への嫌気である。一流大学を卒業しても国内での就職が困難な状況や、言論の自由への抑圧により自由な研究が制限されていること。コロナ禍での「白紙運動」では、白紙を掲げただけでも当局に弾圧され、多くの若者が「中国に嫌気がさした」「中国での生活を望まない」と語っているという。 (関連記事: 中国人留学生の入学阻止? 東京大学ウェブサイトに「六四天安門」が埋め込まれる | 関連記事をもっと読む )
東大に留学している李さんは、共産党員の両親を持つが、幼い頃から中国の教育方針に違和感を覚えていたと語る。「共産党統治後に人民は豊かになった」「人民解放軍は強大だ」といった教育しか受けられなかったためだ。高校で初めて英国や日本の「国会」制度を知り、中国人は共産党の作る嘘の中で生きていると感じたという。