日本の半導体フォトレジストは世界市場を独占する地位にあるものの、2ナノメートルの先端プロセスでは追い上げの段階にある。Rapidusは、TSMCに追いつき、「日の丸半導体」を再建するという神聖な使命を担っている。Rapidusの外部取締役である小柴満信氏は『風傳媒』のインタビューに応じ、Rapidusの将来に自信を示した。「北海道は現段階ではRapidus一社のみだが、将来的にはRapidusを中心とした新たな半導体クラスターが形成されるだろう」と予言した。
小柴満信氏(以下、小柴氏)は半導体化学材料大手JSRの会長を務め、日本のフォトレジスト技術革新の主要な推進者である。昨年(2024年)には『2040半導体の未来』を出版し、先端半導体製造の振興と量子コンピューティングの発展を通じて、経済安全保障と将来の経済力を確保すべきと主張している。JSR退任後、現在はRapidusの外部取締役を務めている。しかし、Rapidus設立から2年以上が経過し、人材採用、試作、量産、歩留まり、大口顧客の獲得能力について、依然として多くの疑問の声が上がっている。
『風傳媒』は小柴氏に主要な批判的質問を投げかけた。「Rapidusが北海道千歳で単独で2ナノメートル生産拠点を構築することを選択したが、他の協力企業の進出がない中で成功は難しいのではないか?北海道は半導体人材を育成する高等教育機関が不足しており、『遠くて寒い』という特性から、ハイレベルな人材を現地での就業に惹きつけることは困難ではないか?このような見方についてどう考えるか?」
小柴氏は次のように回答した。「その見方には同意できません。まず人材に関して、Rapidusは日本人材だけでなく、多くの海外人材からも応募があります。これはRapidusが純日本企業になることを目指していないことの表れで、より多くの海外人材を取り込んでいく方針です。また、Rapidusの生産拠点が北海道千歳にあることについて、距離の問題はありません。東京と千歳を結ぶ便は多く、片道約1時間半程度で、物流も人の往来も問題ありません」
九州熊本の半導体クラスターについて、小柴氏は笑いながら「TSMCに熊本に進出していただき感謝していますが、あそこは既に混んでいませんか?」と述べた。Rapidusが北海道を生産拠点に選んだことについて、「現在はRapidus一社のみですが、将来的にはRapidusを中心とした新しい半導体クラスターが形成されることが期待できます」と語った。 (関連記事: 台湾有事の対中制裁『段階的アプローチを』米専門家が提言 | 関連記事をもっと読む )
『風傳媒』はさらに、「IBMはRapidusの2ナノメートルプロセス技術における主要パートナーですが、IBMは研究室での開発成功経験はあるものの、大規模量産の経験がないという指摘が多くあります。この点から、Rapidusは他のパートナーを探すべきではないでしょうか?」と質問した。
小柴氏は「Rapidusは既に150人のチームをIBMのニューヨーク本社に派遣し、2ナノメートル技術を学んでいます。IBMは間違いなくRapidusの第一のパートナー選択です。量産については、日本の最も優れた点は生産技術です。IBMから学んだ先端プロセス技術は、確実に日本で商業化、大規模生産が可能です」と回答した。