民進党団総括の柯建銘は1月4日、「二重罷免」問題を提起し、立法院正副院長の韓国瑜・江啟臣、および国民党の41名の地域立法委員の罷免を目指すとした。これを受け韓国瑜は1月6日、「これが最後の協議の司会になるかもしれない。すぐに罷免されるから」と自嘲。しかし、行政府・立法府・党は広範な対立を望まず、民進党主席を兼任する総統の頼清徳は1月8日の中央常務委員会で「憲法は憲政機関に各種の救済権を付与しており、立法議事手続きの他にも、努力できる憲政手続きがある」と述べた。つまり頼清徳は明言こそしなかったが、二重罷免に反対の立場を示したのである。ただし「市民団体が自主的に起こす行動については、民進党は尊重する」とした。
行政府・立法府・党は柯建銘が41名の立法委員罷免にこだわることに頭を悩ませ、何とか打開策を探っていた。しかし、総統が前日の中央常務委員会で発言したにもかかわらず、柯建銘は翌1月9日の取材に対し、「疑う必要はない。毎回の院会で彼らは罷免を提起する。記録に残るだけでも構わない」と述べた。柯建銘がここまで強硬な姿勢を示すのは、頼清徳が本当は韓国瑜の罷免を望んでいるからなのか。しかし頼は先日、韓国瑜と和解のコーヒーを飲もうとしていたのではないか。二面戦略を取っているのか。総統と総括は、一体どのような手を打とうとしているのか。
柯建銘が韓国瑜の罷免にこだわる中、中央常務委員会「誰も相手にしない」状況に
情報筋によると、行政府・立法府・党は柯建銘による国民党41議席の罷免案に実際に反対しており、韓国瑜の罷免にも反対している。頼清徳も同様の立場だが、「永遠の総括」の面子を立てるため、中央常務委員会では柯建銘の労をねぎらいつつ、まずは憲政手続きを進め、市民団体による自主的な罷免は尊重すると婉曲的に強調。
このように、この記事では総統と党総括の間の微妙な政治的駆け引きが詳細に描かれており、民主的手続きと党内力学の複雑な関係が浮き彫りになっている。
しかし、その日の中央常務委員会で頼清徳がこのように発言した後、出席者たちは理解を示したものの、柯建銘は頼清徳の面前で、なお大規模罷免を進める姿勢を崩さなかった。情報筋によると、彼は中央常務委員会で「国民党は立法院で憲政秩序を破壊しており、韓国瑜は不適任である。民進党は議席で劣勢にあるが、立法院内部で罷免を提起し、議案として処理し、こうした記録を立法院公報に残すべきだ」と主張。関係者によると、柯建銘は自説を延々と述べ続けたが、中央常務委員会の場の雰囲気は「誰も相手にしていない」状態だったという。
まだ決裂はしていないが、総統と総括は確かに不一致
民進党の林右昌秘書長はかねて、二重罷免を提起すれば逆に野党に政治闘争の材料を与えることになり、市民団体による罷免の正当性を弱めることになると指摘。「全面対決となれば、今後どうやって政権運営をしていくのか」と。また頼清徳も中央常務委員会で「民主主義とは人民が主体となること」と述べ、民進党が主導して罷免を発起することや、コーヒーを飲もうと考えていた韓国瑜の罷免には消極的な姿勢を暗に示していた。
総統は総括に体面を保つ余地を与えたが、柯建銘は「党団の自主性」を掲げて独自路線を突き進み、毎回の院会で韓国瑜の罷免を提起する姿勢を崩さなかった。党内関係者はこの状況を見て、頼清徳と柯建銘の関係は2013年の馬英九総統と王金平立法院長の「馬王の政争」ほどの対立には至っていないものの、現在の総統と総括の不一致は事実であると指摘。特に中央常務委員会で総統が憲政手続きを進めると述べた翌日に、総括が意に介さず韓国瑜罷免を主張したことは象徴的だった。つまり総統と総括は何らかの策を弄しているのではなく、まさに対立している最中なのである。
編集:佐野華美 (関連記事: 舞台裏》賴清徳、宜蘭の民主聖地奪還へ強い意思 2026年の障害を自ら排除 | 関連記事をもっと読む )
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