論評:賴清德は「トランプの心」を理解していない

台湾・賴清德総統は元旦演説で国防予算の引き上げを宣言。このような方法でトランプの心を掴み対中抗戦の偉業を成し遂げられるのか?(資料写真、AP通信)
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総統の賴清德は就任後初の元旦演説を行い、全編で26回「民主」という言葉を使用した。その調子は就任演説や国慶節演説よりも穏やかに見えたが、実際には賴総統と国家安全保障チームが、バイデン時代の価値観路線に依存したままであることを露呈した。イデオロギーを用いればアメリカの全面的支持を得られ、「台湾尚勇」による対中抗戦の偉業を成し遂げられると考えているようだ。「アメリカ・ファースト」と「利益交渉」を重視するトランプ2.0の就任がもたらす地政学的衝撃に対し、賴総統は明らかに準備ができていない。

交流を掲げて反交流を行い、「互いに隷属しない」4文字のない「二国論」

トランプ2.0による世界情勢の変化について、賴清德政権は単純すぎる、あまりにも楽観的な見方をしているようだ。「互いに隷属しない」という4文字を避け、国防予算の継続的引き上げを約束するだけで、アメリカの新政権による「賴への疑念論」を鎮め、さらにはトランプの選挙期間中の台湾への「保護費」要求に応えれば、政権交代後の台米関係を「シームレスに接続」できると考えている。そのため、賴総統のこの元旦演説は、至る所に後退しながらの見せかけの妥協が見られるが、実際には依然として中台問題に対する強硬な態度を示している。また、「民主主義の保護傘」という言葉遣いからも、賴政権が価値観優先の「バイデンの影」から抜け出せていないことが分かる。

賴総統の元旦演説、特にメディアからの質問に対する回答では、台湾海峡の平和と中台交流を強調しながら、「実際に中台交流を妨げているのは中国であり、台湾ではない」と強く批判した。この演説は「民主主義を掲げて反民主主義を行う」だけでなく、実際には「交流を掲げて反交流を行う」ものであった。賴総統は全編を通じて「台湾/中国」という「二国論」を想起させる対立的な呼称を使用し、また対岸に台湾をアメリカ、日本、世界各国と「同等に扱う」よう呼びかけたことからも、その背後には「互いに隷属しない」という4文字はないものの、実質的な「互いに隷属しない」論が見える。

20250101-賴清德總統1日以「以民主厚植國力,迎向世界新局」為題,發表新年談話。(顏麟宇攝)
賴清德総統は元旦の新年演説後、記者の質問に答え、台湾を世界各国と「同等に扱う」よう中国に求めた。(撮影:顏麟宇)

この対内外への宣戦布告のような「檄文」は、一見「和戦併用」に見えるが、実際には「戦あって和なし」であり、平和と和解は闘争貫徹の包装にすぎない。賴総統の新年の出だしは、人々を安心させるどころか、むしろ一層の不安を煽るものとなった。特に中台関係の行方について、この「実務的台湾独立工作者」の「実務的」という性質は、「台湾独立」の信念と実践を他の言葉で「言い換える」だけであり、緩和の可能性は全く見えない。 (関連記事: 柯文哲ら4人が再び勾留面会禁止!拘置所に戻る 関連記事をもっと読む

二国定位下の中台交渉は空言に終わり、トランプ2.0への判断は過度に楽観的

去年(2024年)12月中旬、前南投県議員の史雪燕が内政部により「国籍法」違反で議員職を解除された。内政部は戸籍放棄と国籍放棄は別物だと主張した。問題は、中華民国の「一つの中国」憲法が、中台関係を大陸地区と台湾地区の関係と定義しており、「二国関係」ではないのに、どのように外国人を規制する「国籍法」を適用できるのかということだ。つまるところ、この措置は現政府が準法理台湾独立の段階に入ったことを証明しており、今後は台湾独立を明言しない形での台湾独立の動きがさらに増えるだろう。

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