トランプ政権発足前に対日関係改善へ 中国が2025年に福島産水産物の輸入再開へ

日中関係に改善の兆し、中国政府が2025年上半期にも日本産水産物の輸入再開を検討開始(AP通信)

日中関係に改善の兆しが見られ、中国政府は2025年上半期にも日本産水産物の輸入再開を検討し始めていることが分かった。日本経済新聞中文版が報じた。これに合わせて、岩屋毅外相が24日に北京を訪問し、25日に王毅外相との会談を予定している。水産物輸入再開についても協議される見通しだ。林芳正氏以来、約1年ぶりの日本外相の訪中となる。岩屋外相の訪問中には閣僚級の「日中ハイレベル人的交流対話メカニズム」も開催される予定。

昨年8月、中国は福島の処理水海洋放出開始を受けて日本産水産物の輸入を禁止した。北京が禁止令解除を検討する背景について、日経中文版は以下の2点を指摘:

1. 海水サンプル検査の結果、安全性が確保できると判断したこと

2. 来年1月に就任する米国次期大統領トランプ氏への対応として、対日関係改善を図る意図があること

実際、日中双方とも関係改善に前向きな姿勢を示している。今年9月には処理水問題で4項目の合意に達し、IAEAによる監視範囲の拡大や中国の採水検査への参加を認めることで合意。この条件下で段階的な水産物輸入再開を目指すとしている。10月には、IAEA主導のもと、中国の専門家が初めて福島第一原発周辺海域での採水を実施し、中国の専門機関による分析が行われた。

11月には、APEC首脳会議でのXi主席と岸田首相との初会談で、9月の合意を着実に履行することを確認。12月18日には北京で第3回技術対話が開催された。関係者によると、中国側が今回の対話を提案し、水産物輸入再開のタイミングを探っているという。

報道によると、日本政府は来年5~6月頃に日中韓首脳会談の開催を検討しており、李強首相の訪日を招請する方針。それに先立ち、王毅外相の訪日を検討している。中国側はこれらの機会を通じて、輸入解禁のタイミングを探る予定。

分析によると、北京が日本産水産物の輸入再開を検討する背景には、保護主義的な通商政策を掲げるトランプ氏の大統領就任を控え、対日関係の重要性が増していることがある。北京は発言力と交渉力を高めるため、同じ輸出国である日本などとの関係改善を有効な手段と考えているとされる。

編集:佐野華美 

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