香港情勢に注目し、東京都豊島区立教大学は14日から15日にかけて、香港研究をテーマとするシンポジウムを開催。同シンポジウムは立教大学アジア地域研究所と台湾中央研究院社会学研究所の共催により開催され、日本、香港、台湾の研究者が一堂に会して議論を行った。主催者の一人である立教大学の倉田徹教授は、2020年に香港国家安全法(国安法)が施行されて以来、香港の「統治システムの再構築」のプロセスが明らかに加速しており、香港の自治の衰退に深い懸念を示している。
今回のシンポジウムには、主催者である立教大学アジア地域研究所の倉田徹教授と台湾中央研究院社会学研究所の陳志柔所長、また主催メンバーである北海道大学公共政策学院副教授の許仁碩を含む、日本、香港、台湾から多くの研究者や専門家が集まった。
その他、東京学芸大学教育学院特任講師の萩原隆太、アジア大学アジア研究所教授の遊川和郎、国立台湾大学社会学系教授の何明修、香港浸会大学政治及び国際関係学系副教授の袁瑋熙、東京大学大学院総合文化研究科教授の阿古智子、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校社会学系教授の李靜君、国立台湾大学社会学系副教授の呂青湖、香港恒生大学社会科学系副教授の鄧鍵一、同コミュニケーション学院副教授の陳智傑らが参加し、議論と発表を行った。
公演内容や専門家の主張
初日の講演で倉田教授は「国安法体制下の香港政治」をテーマに講演し、香港立法会(議会)において、2019年度に習近平国家主席への言及が33回だったのに対し、国安法施行後の2023年度には488回に急増したことを指摘。これらの発言はすべて親中派や香港政府派の議員と官僚によるものであり、香港立法会は「翼賛議会」に変質したと評している。
台湾大学の何明修教授は、台湾への香港からの移民が増加し続けており、より多くの生活支援を提供する必要性を訴えている。香港大学の研究者は、香港のメディアへの圧迫が強まっており、海外移住した香港人の一部が国外からニュースを発信し始めていると述べている。
東京大学の阿古智子教授は、最近中国で禁止されたコンサートが東京で開催されたことに触れ、「日本人は言論統制がもたらす苦痛をまだ認識していない」と指摘。日本は民主主義国家でありながら、日本政府は他国の政治や人権問題への介入を避け続け、内政不干渉を主張している。日本政府は人道主義に基づく国際協力を推進し、経済安全保障の観点から「ビジネスと人権」政策を進めているものの、民主化支援や難民受け入れには積極的ではない。そのような日本において、中国語の書籍を販売する書店が次々とオープンし、講演会、シンポジウム、バンドのコンサート、トークショー、映画上映会など、言論統制の厳しい中国や香港では公開実施できない内容を含むイベントが頻繁に開催されている。
阿古教授はさらに、日本は華人が自由な言論活動を追求する拠点となりつつあるのかと問いかけている。日本における華人移民の増加が続く中、この状況は清末期に華人が日本を拠点に革命を準備した時代を想起させるが、当時の時代背景と現在では大きく異なると強調している。
編集:佐野華美
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