台中の23歳兵士、新兵訓練でいじめ被害か 除隊後に脳萎縮まで判明

陸軍の部隊でいじめ問題が発生(イメージ写真/顔麟宇撮影)

公的機関でいじめ問題が相次ぐ台湾で、今度は軍隊内でいじめ事案が発生。台中の男性が昨年の新兵訓練中に頭を殴られ、水をかけられ、喫煙を強要されるなどのいじめを受けた疑い。軍は対応せず、12月に訓練離脱を認めただけ。男性は除隊後に症状が悪化し、脳萎縮と診断。これまで心身の病歴がなかったことから、家族は軍内での不当な扱いが原因と指摘。報道後、軍当局が声明を発表した。

昨年8月、台中の23歳の男性は嘉義中坑営区で新兵訓練を受けた際、いじめを受けた疑い。家族との連絡では詳細を語らなかったが、「同期から手の甲を殴られた」と打ち明けた。11月に心身の状態が急激に悪化、家族が精神科に連れて行った。

被害者の兄は部隊の班長とビデオ通話でいじめの有無を確認。班長は「異常なし」と回答。本人も家族の問いに「何でもない」と答え続けた。後に友人から黄氏が軍で頭を殴られいじめられていたと聞かされたが、証言する者はいなかった。家族は不審に思い申立てを行い、憲兵隊が調査に入った。

憲兵隊の調査で、被害者は軍用車内で2度失禁していたことが判明。軍は家族に通知せず、受診を勧めただけだった。また4、5本の煙草を一度に吸うよう強要され、水をかけられ、金銭をチャージするよう強要されるなどのいじめを受けていた疑い。軍は「耳にしていた」と認めながら、厳密な調査や対応をせず、昨年12月に訓練離脱を認めただけだった。今年4月から症状は悪化、突然話せなくなった。検査で「脳萎縮」と診断され、知能が1、2歳児レベルまで退化。痛覚に反応せず、トイレも介助が必要で、情緒不安定で攻撃性も。一部のデイケアセンターしか受け入れを認めない状態に。

黄氏は入隊前は極めて正常で、外交的な性格でバスケットボールを友人と楽しむほど。軍務中の突然の発症に、母親は軍内での不当な扱いが原因と指摘している。

これに対し陸軍教育訓練・準則発展指揮部は、黄氏は昨年除隊、家族は今年4月に服役中の某下士官による不当な扱いで身体に損傷を受けた疑いがあると報告したと説明。指揮部は「過ちも見逃しもしない」方針で司法調査を要請したと強調。本件は10月5日に台中地検が不起訴処分としたと述べた。

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