いじめ事件を告発し総統まで謝罪を引き出した男  ~労働部を揺るがした民進党の若手議員~

労働部の公務員がいじめを受けて自殺したとされる事件で、民進党新北市議員の李宇翔が内部告発を主導し、北部分署の基層職員の声を代弁した。(資料写真、顏麟宇撮影)
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労働部労働力発展署北部分署の公務員1名が11月4日、職場いじめを受けて自殺したとされる事件で、労働部の調査報告書が公開され、北部分署長の謝宜容に実際のいじめはなく「目的は善意」だったとの結論が出された後、世論の反発は収まるどころかさらに激化した。当初から内部告発を行った民進党新北市議員の李宇翔は、事件発覚以降、連日各種SNSプラットフォームで内部事情を暴露し、北部分署の基層職員の声を代弁し続けた。

労働力発展署の呉姓公務員が事務所で自殺した後、北部分署の職員とされる人物がSNSのThreadsで、この呉姓公務員が生前、謝宜容から職場いじめを受けていたと指摘した。続いて、メディアや議員を通じて謝宜容の様々な「輝かしい実績」が暴露され、事態は拡大の一途をたどった。最終的に頼清徳総統、卓榮泰行政院長までもが謝罪に追い込まれ、何佩珊労働部長も謝罪後に辞意を表明したが、危機解決を優先するよう慰留された。

当初からこの事件に注目していた李宇翔は、謝宜容による同僚へのいじめの実態を告発する数百通の陳情を受け取った。大声で怒鳴る、人身攻撃的な嘲笑、公文書を投げつけるなどの行為があり、2月には同僚が耐えきれず労働部に陳情したが、逆に分署長から告発者を法的に処罰すると脅されたという。

勞動部於臉書發布考績會公告,但短時間內竟將文章刪除。圖為勞動部長何佩珊(左)、勞動部勞動力發展署長蔡孟良(右)。(顏麟宇攝)
​​労働部の調査報告書はリスク管理できず、むしろ民意の反発を招いた。写真は何佩珊労働部長(左)、蔡孟良労働力発展署長(右)が衛生環境委員会で答弁する様子。(資料写真、顏麟宇撮影)​

労働者家庭出身の李宇翔:傍観はできない

​​事件の真相は単純ではないようだが、なぜ李宇翔はこの事件に注目したのか。32歳の李宇翔は、かつて民進党の趙天麟立法委員の国会事務所副執行長、新北市議員何博文の事務所主任を歴任し、その後地方選挙に転じて新北市第2選挙区の議員に当選した。『風傳媒』のインタビューで彼は、この事件に注目した理由として、自身が労働者家庭の出身であることに加え、過去に労働部北部分署で代替役務(兵役代替勤務)を務めた経験があり、さらに北部分署がある新莊連合事務所が自身の選挙区である新莊と泰山の境界に位置し、署内の多くの職員と親しいことを挙げた。地縁と服役の背景から、傍観することはできないと述べた。

李宇翔はまず、ネット上で北部分署の内部告発を行った人物と連絡を取り、より多くの情報を入手し、各種SNSプラットフォームで北部分署内部の職員がいじめを受けている状況を公表した。メディアの報道が増えるにつれ、労働部は小さな問題として処理することができないと認識し始め、対外的な回答を行い、メディアに対して許傳盛政務次長に調査の再開を指示すると述べた。 (関連記事: 労働部いじめ事件で民進党政権の闇が露呈 評論家が批判「黙り続けた与党議員も共犯!」 関連記事をもっと読む

しかし李宇翔は、労働部が調査すると言っているのは嘘で、まったく積極的な行動を取っていないことを発見した。そこで彼は更に圧力を強めたが、自身はただの小さな議員で中央との連絡ルートを持たないため、インターネットの力を借り、連日Facebookで謝宜容の様々な常軌を逸した行為を公開し、これによって労働部に行動を起こさせることを期待した。そしてついに11月9日、労働部は正式に報道発表を行い、外部専門家と職員代表を招集して調査を開始した。

民進黨發言人張志豪及新北市議員顏蔚慈、李宇翔、張錦豪今(30)日召開記者會,批評國民黨總統侯選人侯友宜土地問題。(民進黨中央提供)
​​李宇翔(左から2番目)は国会、議会の助手を務めた後、地方選挙に転じて新北市第2選挙区議員に当選した。(資料写真、民進党提供)​
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