総統・頼清徳が就任後初の太平洋友好国訪問で、1日、米国ハワイに経由到着したことについて、米メディアCNNも論評を発表。中国が予想通り強く反発したものの、頼清徳の今回の経由は米国政府移行期にあたることから意義が重大であり、「熟考を重ねた計画的な行動である」としている。
頼清徳は「南島の繁栄、スマート永続」の旅として、南太平洋の友好国であるマーシャル諸島、ツバル、パラオを訪問。その途中での米国ハワイ経由に対し中国が反発し、国台弁の陳斌華報道官は「米台間の公式往来及び台湾地区指導者のいかなる名目、理由による米国経由にも断固反対する」と主張した。
CNNもこれについて記事を掲載し、頼清徳のハワイ短期滞在について、米国による正式な接遇も盛大な演説も予定されていないものの、「花輪や宴会以上の意味を持つ」とし、経由は単なる立ち寄り以上のもので、台湾、米国及び他の民主主義国家間のパートナーシップを強化するものだとしている。
同記事は、中国が予想通り強く反応し、国台弁がこれを「挑発行為」と呼び、中国外交部は「米側による頼清徳の経由手配を強く非難し、厳重な抗議を提起する」などと表明したと伝える。しかし前総統府報道官のKolas Yotaka(谷辣斯・尤達卡)は、このような反応は例行的なものだと述べている。
記事は、一部の批評家が台湾と太平洋島嶼国との外交関係維持の価値に疑問を投げかけていることに言及。これに対しKolasは、ある国が小国だからといって重要でないとされるなら、台湾も同様に無視されかねないとし、「これらの関係は象徴的なものだけでなく、台湾の安全保障にとって極めて重要だ」と強調。
同記事は、頼清徳のハワイ経由が行われている現在、台米関係は重要な時期にあると指摘。トランプ次期大統領の白宮復帰に伴い、台湾は大きな不確実性に直面していると述べる。トランプは第1期で対台湾軍事売却を増加させたものの、最近では台湾は「保護料を支払うべきだ」と述べ、国防支出の増加や米国製武器のさらなる購入などの「取引」を示唆している。
同記事はさらに、台湾は実際に米国に対して数十億ドルの国防費を支払っており、米国との「相互防衛条約」も締結していないため保護は受けていないと指摘。しかし頼清徳の今回の南太平洋訪問は、控えめな訪問となったハワイ経由を含め、独裁的圧力に直面する最前線の民主主義国家として、台湾が認知と主権のために継続的に闘っていることを浮き彫りにしている。
記事は、北京からの圧力と世界のパワーバランスの変化のなか、台湾の将来は適応力、革新性、同盟国との団結力にかかっているとし、「頼清徳の太平洋横断の旅程は、この目標を実現しようとする試みであり、長期的かつハイリスクな地政学的ゲームにおける、熟考を重ねた計画的な行動である」と強調している。
編集:佐野華美
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